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住宅街に佇むやさしい時間のカフェ 武蔵小山「Olive&Dorothy」

2025.07.10

東急目黒線・武蔵小山駅から歩いて5分ほど。駅を出て線路沿いを北東へ進み、住宅街へと足を向けると、街のにぎわいが次第に落ち着き、どこか懐かしさを感じさせる静かなエリアへと入り込んでいきます。その一角、住宅や個人商店が穏やかに並ぶ通りに「Olive&Dorothy(オリーブ・アンド・ドロシー)」はあります。

店先には、テイクアウト用に設けられた小さな窓があり、キッチンの様子がうかがえるのが特徴です。風にはためく旗が目印となり、初めて訪れる人にもすぐに見つけられる親しみやすさがあります。そこには、目立ちすぎず、それでいて確かな存在感で街に根づいていくような、静かで優しいたたずまいがありました。

明るく家庭的な空間で味わう、穏やかな時間

扉を開けると、外観の印象そのままに、明るくどこか家庭的な空間が広がっていました。白を基調とした店内に日の光がふんわりと差し込むことで、心までほっとゆるむような居心地の良さを感じさせます。

壁際や棚には、オーナー夫妻の趣味がうかがえる小物やアート作品がさりげなく飾られており、それらが全体の空気をやわらかく包み込んでいました。手づくり感のあるディスプレイには気取りがなく、来る人の緊張をほどくような空気が漂っています。

取材時に応じてくださったご主人。最初はやや寡黙な印象を受けましたが、話しかけると一つひとつの問いに丁寧に応えてくださり、その言葉の端々から、日々の積み重ねとお店への愛情が伝わってきました。

コーヒーとトーストに込められた、丁寧なひと手間

この日は「本日のコーヒー」として、コスタリカ産の豆を使用した一杯をいただきました。マスターがハンドドリップで丁寧に淹れてくださったコーヒーは、口に含んだ瞬間から芳醇な香りがふわりと広がり、深みのあるコクとやわらかな苦味が絶妙なバランス。目覚めの時間にぴったりの一杯で、身体がゆっくりと目を覚ましていくような心地よさがありました。

一緒にいただいたチーズトーストもまた、シンプルながらも印象に残る味わい。とろけるチーズのコクと、しっとりとしたパンの食感がぴたりと合い、噛みしめるごとにやさしい余韻が広がっていきます。重たさがなく、朝や軽めのランチにもぴったりの一品。パンは、近隣で長年親しまれているヨシナガブレッドという老舗から仕入れているそうで、地域とのつながりもこのカフェの魅力のひとつになっているようです。

夫婦で紡ぐ、小さな夢のかたち

Olive&Dorothyがオープンしたのは、昨年の夏。店舗は奥さまのご実家の1階部分を活用して作られたとのことで、その成り立ちからも家族との距離の近さや温かな関係性がうかがえます。お店の運営は主にご夫婦でおこなっており、ご主人は以前、電機メーカーに勤めていたとのこと。退職を機に、まったくの未経験からこのカフェをはじめる決意をしたといいます。

現在は、田園都市線の青葉台から通っているというご主人。通勤の負担がある中でも、この場所を選び、続けているという事実には、お店への確かな愛着と地域への思いがにじんでいます。

また、コーヒー豆は店舗のすぐ近くにあるブランという焙煎所から仕入れているそうで、豆の個性を知ったうえで選び抜いたものを、自分の手で丁寧に提供するという姿勢が伝わってきました。地域の人やお店と支え合いながら、日々の営みを大切に積み重ねていく。そんな姿勢が、お店の空気にも自然と反映されているように感じられます。

Olive&Dorothyは、特別な装飾や派手なメニューがあるわけではありません。それでもこの場所には、訪れる人の足をふっと止めるような、静かな魅力があります。日常の延長にある、心が整うひととき。慌ただしい毎日から少しだけ離れて、そんなやさしい時間を味わってみてはいかがでしょうか。

Olive&Dorothy
住所:東京都品川区小山2-7-21
アクセス:東急目黒線「武蔵小山駅」徒歩約5分
電話:非公開
営業時間:月・金・土・日曜日 10:00~19:00
火曜日:10:00~17:00
定休日:水・木曜日