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投稿日:2022.02.03  
最終更新日:2025.11.29

北側斜線とは?建築基準法の基本ルールと高度地区・道路斜線まで徹底解説!

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不動産のルール

はじめに

マイホーム用に購入する土地には、建物の高さ制限が設けられています。「北側斜線」とは、北側にある住宅の日当たりを確保するために、北側境界からの距離に応じて自分の建物の高さを制限する、建築基準法(第56条)および各自治体の建築基準法施行条例に基づくルールです。

さらに、自治体によっては「高度地区」という、より強い高さ制限が定められている場合もあります。
本記事では、「北側斜線」「道路斜線」「隣地斜線」と高度地区の関係をわかりやすく解説します。数値や起算位置は自治体条例で異なるため、最終判断は必ず所管窓口・条例で確認してください。

本編

北側斜線とは?建築基準法による高さ制限の基本

北側斜線の定義

「北側斜線」とは、建物が建つことで北側に位置する家の日照・採光を妨げないように、北側境界からの水平距離に応じて建物の許容高さを段階的に抑えるルールです。

建物の高さや形状を決めるうえで非常に重要な基準となります。

全国統一ルール「北側斜線」

真北を基準にする理由(磁北との違い)

北側斜線の方位基準は地図上の「真北」です。
方位磁石が示す「磁北」は地域差があるため、磁北を基準にすると計算がずれます。

設計時は測量図や都市計画図に基づく真北で検討しましょう。

北側斜線の算定根拠(建築基準法第56条)

北側斜線は建築基準法第56条で規定され、具体の数値・起算方法は各自治体の施行条例で細かく定められます。目的は、住環境の保全(採光・日照・圧迫感の緩和)です。

北側斜線の基本構成(指定高さ+勾配による二段制)

制限は一般に二段構成です。

指定高さ(立上げ):北側境界から一定の高さまで垂直に立ち上げる基準値
勾配:指定高さを起点に、所定の傾斜(例:1:1.25)で上に向かって許容高さが増える線

この「立上げ+勾配」に建物の外形を納める必要があります。

北側斜線の計算式(例:高さ=指定高さ+水平距離×勾配)

一般形は「許容高さ = 指定高さ +(北側境界からの水平距離 × 勾配)」。

代表例として、第一種低層住居専用地域で指定高さ5m・勾配1:1.25が多く採用されています。
(例)北側境界から4mの場合:5m+(4m×1.25)=10mが上限。

※指定高さ・勾配は自治体で異なるため、必ず該当条例を確認してください。

北側斜線の始点と測定方法(敷地境界線・道路中心線)

原則の起算線は敷地の北側境界線です。
ただし北側が道路に接する場合は、条例で道路中心線または反対側の道路境界線を起算とする方式が定められており、起算線が変わると許容高さが大きく変わります。

該当自治体の施行条例で方式を確認しましょう。

北側が道路に接している場合の取り扱い

北側が道路の場合は、条例で定める起算線(道路中心線・反対側境界線 など)から算定します。
敷地北側境界を起算にしてしまう誤算が多いため、必ず該当自治体の施行条例で起算線を確認してください。

北側斜線による建物デザイン・外観への影響

3階建てや高さが上限に近い計画では、北側屋根面が斜めに切り欠かれる形状になりがちです。
外観上の制約となる一方、採光・通風を確保する設計上の工夫にもつながります。

土地購入や基本設計の段階で、立面に斜線ラインを描き、形状影響を確認しておくと安心です。

北側斜線が適用される用途地域と勾配基準

低層住居専用地域での厳しい制限

第一種・第二種低層住居専用地域では、良好な住環境を守るため比較的厳しい北側斜線が設定されるのが一般的です。

多くの自治体で指定高さ5m+勾配1:1.25が代表例です。

各用途地域の勾配数値(代表例)

代表例として、
・低層住居専用地域:1:1.25(指定高さ5m)
・中高層住居専用地域:1:1.25 または 1:1.5(指定高さが5mまたは10m等)

これは、水平距離1mごとに1.25mまたは1.5mの高さを上限とするという意味です。
※名称も数値も自治体で差があります。必ず条例をご確認ください。

中高層地域での緩和・適用除外条件

第一種・第二種中高層住居専用地域では、北側が道路である、必要な採光距離が確保できる、などの条件で緩和・適用除外となるケースもあります。

あわせて日影規制(別制度)が主要なコントロールになることも多く、高度地区・絶対高さとの重なりは自治体運用に差が出ます。

北側斜線制限が不要な地域(商業・工業地域など)

北側斜線の制限は、すべての地域に一律で適用されるわけではありません。
商業・近隣商業・準工業・工業・工業専用では、北側斜線が原則適用されません(容積率・建ぺい率・道路斜線・隣地斜線・日影規制等が主な管理)。

ただし高度地区や特定地区の上乗せ指定で厳しくなる場合があります。

道路斜線制限との関係

道路斜線制限とは(道路中心からの高さ制限)

道路斜線は、前面道路の反対側境界線(または中心線)を起算に、所定の勾配で建物高さを制限するルールです。街路空間の確保と圧迫感の抑制が目的です。

北側斜線と道路斜線の優先関係

北側斜線と道路斜線は同時に適用され、より厳しい方が優先します。
北側斜線で成立しても、道路斜線でさらに高さが削られるケースがあります。

隣地斜線・絶対高さ制限との関係整理

高さ関連の主要ルール
・北側斜線(住居系の一部で北側配慮)
・道路斜線(前面道路側の制限)
・隣地斜線(境界からの距離に応じた制限。用途で適用差)
・絶対高さ(例:低層で10m/12m上限)
・日影規制(季節・時刻ごとの影の長さを規制:中高層中心)

複数が重なる場合は最も厳しい条件が支配します。

高度地区と北側斜線の関係

高度地区とは(都市計画法による地域指定)

高度地区は都市計画法に基づく都市計画決定で、地域の環境・景観を守るために独自に高さ形態をコントロールします。北側斜線だけでなく、別の角度・立上げ高を設定していることが多いです。

高度地区の種類(東京都の代表例)

・第一種高度地区:5m立上げ+1:0.6
・第二種高度地区:5m立上げ+1:1.25
・第三種高度地区:10m立上げ+1:1.25
※名称・数値・立上げ高は自治体により異なります。同一区内でも地区ごとに告示が分かれるため、指定図・告示文の確認が必須です。

木造3階建の住宅では高さが10mに満たないことが多いため、さらに高い建物に適用される追加制限については省略される場合があります。

北側斜線より厳しいケース(例:20m+勾配など)

高度地区では、例として20m立上げ+1:1.25など、北側斜線と全く異なる線形が指定される場合があります。

結果として北側斜線より厳しくなることも。高度地区は都市計画決定にもとづき、条例の北側斜線より優先して運用されるのが通常です。

指定根拠と行政区ごとの違い(港区・世田谷区などの例)

都心部(例:港区)は比較的緩やかな指定、住宅地(例:世田谷区・杉並区)は日照配慮で厳しめ、など行政区・地区ごとに指定が細分されています。

都市計画図・告示・条例での確認が不可欠です。

北側斜線を考慮した設計テクニック

まずは法適合チェックの順番を押さえましょう。

①用途地域・高度地区・防火指定
②絶対高さ
③道路/北側/隣地斜線
④日影規制
⑤景観・地区計画
この順で段階的にクリアランス確認をすると、やり直しが減ります。

セットバック設計(階ごとに下げる設計)

上階ほど北側へセットバックすることで、斜線内に外形を収める基本技です。
3階建てでは階テラスや庇位置の調整も有効です。

段々状の屋根・ルーフバルコニー設計

北側斜線で斜めに制限される部分を「段々状のバルコニー」として活用すれば、採光・通風を確保しつつ居住性を高められます。

屋上や各階に段差のあるルーフバルコニーを設けるなど、制約をデザインに転化する発想が有効です。

吹き抜け・勾配天井での空間確保

高さが取りづらい計画では、吹き抜け・勾配天井で開放感を演出。
2階リビング+南面大開口の組み合わせも効果的です。

ロフト・スキップフロアを活用した容積有効化

ロフトで小屋裏空間を活かす、スキップフロアでレベル差を利用するなど、実質的な使い勝手を上げる工夫が有効です。

3Dシミュレーション・建築ソフトによる確認方法(例:メガソフト3Dマイホームデザイナー)

設計段階で斜線制限ラインを可視化できるソフトを使うと、形状超過の早期発見・屋根勾配やセットバック位置の最適化に役立ちます。

北側斜線を理解して土地選び・設計に活かす

土地購入前に確認すべきポイント

土地の北側境界の位置・方角、隣地との高低差、北側既存建物の高さ・離隔を確認しましょう。

また、北側に高い建物がある場合は、日照の確保や建築計画への影響を事前に把握しておく必要があります。

用途地域・高度地区・前面道路幅員のチェック

用途地域や高度地区の有無により制限は大きく変わります。例えば、第一種低層住居専用地域では厳しい北側斜線が適用されますが、商業地域では制限が緩やか、または適用除外となることもあります。

さらに、高度地区が指定されている場合は、北側斜線よりも厳しい制限が優先されるケースもあります。前面道路の幅員が広いほど、道路斜線制限が緩和されることもあるため、土地の法規制を一体的に確認することが重要です。

行政の建築指導課での事前確認方法

北側斜線や高度地区の制限を正確に把握するには、自治体の建築指導課(または都市計画課)での事前確認が確実です。都市計画図や建築基準法に基づく制限情報を直接確認できるほか、用途地域や高度地区の指定内容、道路幅員なども正式に確認できます。

窓口や自治体の公式サイトで図面を入手し、北側斜線がどのように適用されるかを具体的に確認しておくことで、購入後の設計トラブルを防げます。

▼持参・取得したい資料
・都市計画図一式(用途・高度・地区計画・道路種別)
・道路台帳(幅員・種別、みなし道路の有無)
・敷地測量図(真北・境界確定)
・施行条例の該当条文(起算線が中心線か反対側境界か 等)
・(中高層なら)日影規制の地域区分表

まとめ

北側斜線を正しく理解し、理想の住まい設計を

北側斜線は、建築基準法で定められた全国統一ルールとして、住宅地における日当たりや住環境を守るために設けられています。

さらに自治体ごとに「高度地区」が追加され、北側斜線よりも厳しい制限が課されるケースもあります。制限の算定には真北を基準とすることや、適用される用途地域の限定、北側が道路に接する場合の始点規定など、理解すべきポイントが複数存在します。

また、北側斜線は二段構成で制限が決まり、建物の外観が斜めに削られるような形状になる場合もありますが、その制約を工夫して段々畑状のルーフバルコニーを設けるなど、デザインに活かす方法もあります。さらに、北側斜線と道路斜線の優先関係にも注意が必要で、より厳しい規制が適用されます。

これらを正しく理解することで、土地選びや設計の段階で想定外の制約に悩まされるリスクを減らせます。北側斜線は一見不便な規制に思えますが、住環境や街並みを守る大切な役割を持つものです。

土地購入や建築計画を進める際は、北側斜線と関連する高度地区や道路斜線を確認し、安心できる住まいづくりにつなげましょう。

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