はじめに
昨年は世界的なインフレや金利上昇、
世界各地での戦争や
新型コロナウイルスからの回復過程で
不動産市場は、エリアや物件により
高騰と下落する傾向が分かれてきています。
そのような状況の中で
「2025年問題」のワードを
耳にしている方も多いかも知れません。
2025年問題は急速に進む高齢化社会に伴って、
日本の社会構造や経済に
大きな変化が起きているということで
特に団塊世代が75歳以上になることに伴う
経済的、社会的な課題を指しています。
そして巷では、2025年問題の影響から
不動産価格大暴落か?とも言われています。
不動産の購入や売却を考えている方の中には、
そのような情報を聞いて
今後の不動産市場がどうなるのか
不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
正しい情報を知らずに、
そのような不安を抱えたままでいると
自分たちにとってのベストな買い時を逃してしまい、
あの時買っておけば良かった…。
と後々後悔してしまうかも知れません。
今回は、2025年問題で激震が走る
不動産市場価格暴落の真相を
4つの項目に分けて解説していきます。
①不動産2025年問題とは
②2025年、不動産市場に起こる変化
③2025年不動産価格暴落の真相
④不動産会社社長の見解 持ち家=値上りは期待するな
本編
2025年問題とは?
まず、2025年問題とはどのようなものなのか、
解説します。
2025年問題とは、
1947年から1949年生まれの方
(第一次ベビーブーム世代)が
75歳以上つまり後期高齢者となることで、
医療、介護、年金などの
社会保障制度に大きな負担がかかり、
様々な問題が発生するだろうと
予測されていることです。
2025年には約730万人の団塊世代が
75歳以上の後期高齢者となると言われています。
この結果として主に医療費の増大、介護需要の増加、
年金財政の悪化、労働力が不足するなどの問題が
発生すると予想されています。
まずは医療費が大幅に増加することに関して、
高齢者は慢性疾患を抱えている割合が高いので、
医療サービスの需要が年々高まっています。
特に入院や長期的な治療は、
高齢者ほど増加する傾向にあります。
この医療費の負担が、
国家財政に大きな圧力をかけることが懸念されています。
さらに、介護が必要な高齢者が増加することで、
介護サービスや介護職員の不足が
深刻化することも予測されています。
現状でも介護人材は慢性的に不足しているため、
今後さらに多くの介護労働者を
確保する必要がありますが、
現状は労働条件の改善や
外国人労働者の活用など
解決策の模索が続いているような状況です。
年金受給者の増加に対しては、
現役世代が減少していることから、
年金財政の悪化が懸念されています。
年金制度の維持が困難になる可能性があることから、
年金受給額の見直しや
保険料の引き上げなどが議論されています。
生産年齢人口の減少による労働力不足も深刻な問題です。
特に建設業や製造業、
また介護業界でその影響が顕著です。
労働力の不足は経済成長を鈍化させる要因になるため、
技術革新や自動化の推進、
外国人労働者の受け入れなどが進められています。
このように2025年問題は
日本社会全体に大きな影響を及ぼすため、
各所にどんな影響が及ぶのか、話題になっています。
2025年問題で不動産市場に起こる変化
では、2025年問題は不動産市場にどういった影響を及ぼすのでしょうか。
それは主に次の4つです。
・空き家問題
・後続問題の増加
・社会保障費の増大による公共施設数の縮小
・新築物件の価格の高騰
それぞれ詳しく解説します。
■空き家問題
まずは空き家問題です。
2025年以降団塊の世代が後期高齢者となり
高齢者住宅、子供の家への転居や
亡くなる方も増えたことで、
所有者不在の空き家が増加していくことが
予想されています。
すでに全国的には空き家が増加し、
特に地方や過疎の地域ではこの問題が顕著です。
実際に総務省が公表している総住宅数総世帯数及び
1世帯当たり住宅数の
推移全国版(1958年〜2023年)によると
1988年〜2023年のおよそ30年間で
空き家数が2倍以上です。
(参考)令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果
2033年には、
空き家率が30%を超える可能性があるとも言われ、
空き家の増加は周辺地域の地価に
悪影響を及ぼすだけではなく、
防犯や防災の面でも
空き家の倒壊やゴミの不法投棄、
害虫の繁殖、火災などの問題を抱えているため、
自治体の財政負担も増大させています。
政府は様々な対策を行っています。
例えば、空家等対策特別措置法の制定と施行や
空き家バンク事業の実施のほか、
特定空き家に対する助言・指導・勧告・命令など
実施していますが、
十分な効果が出ているとは言い難いのが現状です。
■相続問題の増加
次は相続問題の増加についてです。
2025年以降の団塊世代の相続が本格化して
多くの不動産が相続されることが予測されます。
相続に伴って不動産の所有権が
次世代に移ることになりますが、
相続された不動産が必ずしも利用される訳ではなく、
売却や管理が難しい物件は空き家として
放置されるケースが増えています。
実際に日本の統計が閲覧できる
政府統計ポータルサイト政府統計の総合窓口によると、
相続その他の一般承継による所有権の移転は、
2013年が85万8740件に対し、
2023年は125万2245件と大幅に増加しており、
今後も増加が予測されています。
(参考)政府統計の総合窓口相続 その他の一般承継による所有権の移転
今後も相続による所有権の移転は
増加することが考えられますが、
相続税や相続手続きに対する知識不足から
相続トラブルが増加しているのが現状です。
土地などの不動産を
相続する際に発生するトラブルは、
不動産の分割が難しい、
評価方法によって相続人間で合意ができない、
名義変更が相続人が多数いて出来ない
など、相続税が払えないという事例が挙げられます。
このようなトラブルが多く発生することに加え、
相続が増えると売却される物件数も増えるため
需要と供給のバランスが崩れる可能性も高くなります。
これに空き家問題が重なると供給過多になり、
不動産価格の下落に繋がる懸念も出てきます。
■公共施設数の縮小
次に社会保障費の増大による、
公共施設の縮小についてです。
日本は高齢化が進行している中で
社会保障費は年々増大しています。
実際に内閣が公開しているデータによると
社会保障給付費全体について
令和3年度は138兆7,433億円となり、
過去最高の水準になったと公表されています。
これにより自治体の財政が圧迫され、
公共施設の維持、運営が困難になりつつあります。
結果として図書館や福祉センターなどの
公共施設の統廃合、閉鎖が進められており、
人口減少が著しい地域ではこの影響が顕著なのです。
実際、このような地域に住んでいる方であれば
図書館が閉鎖した、学童施設が閉鎖した
など公共施設が減少していると
感じる方もいらっしゃるかと思います。
公共施設数が減少することによって
地域住民は生活に必要な施設への
アクセスが制限されるだけではなく、
地価の下落や生活環境の悪化が進む可能性があります。
そうなると、その地域の不動産価値に
悪影響が出ることが懸念されています。
なぜ不動産価格にも悪影響があるの?
と感じられる方も
いらっしゃると思いますが、
公共施設は地域社会の
インフラとしての役割を果たしています。
施設が閉鎖されると地域住民の利便性が下がって、
地域全体の魅力が損なわれ、
長期的な人口減少や過疎化を
さらに加速させる可能性があります。
■新築価格の高騰
次に新築物件の価格の高騰についてです。
2025年問題によって、
人件費の高騰に拍車がかかると言われています。
高齢化が進む中、
建設業界でも若年層の人材不足が深刻化しており、
職人の確保が難しいため人件費が上がり、
その人件費を確保するために
物件価格も引き上げざるを得ない状況が
さらに加速してしまうということです。
また、価格だけではなくて
人材不足によって工期自体が長期化したり、
施工精度が低下することも懸念されています。
特にこれまで高い技術力を持っていた
熟練工の方々が退職して行く中で、
適切な技術継承が行われないと、
建設の安全性や耐久性に影響が出る可能性もあります。
このように2025年問題は、
不動産市場に様々な方面から
影響を及ぼす可能性があり、
高齢化や人口減少による構造的変化を
見据えた対策が求められるような状況になっていきます。
2025年の不動産価格の暴落の真相
このような問題が発生すると言われている
2025年となった今、よく耳にする
不動産価格大暴落の真実について解説していきます。
先ほども解説したように、
後期高齢者が増えることで相続による売却や
空き家がの増加が懸念されています。
また、日本の人口動態を考慮すると、
不動産を購入する世帯である30代くらいの人口は
確実に減っていくため、
不動産の供給過多が懸念され、
これが価格に影響を与えると予測されます。
特に地方や郊外では人口減少が加速するため、
ダイレクトに影響を受けます。
全体的に供給量が増える一方で需要が減り、
需給のバランスが崩れ、
不動産価格が暴落するのではないかと言われています。
■不動産価格が急激に下落するとは考えにくい
近年の高齢化を背景として
日本では立地適正化計画が推進されています。
これは人口減少、高齢化を背景に
住みやすいエリアに人口を集めることで
地域の活性化と効率的な都市運営を目指す取り組みです。
具体的には住居や商業施設を集中的に配置する
居住誘導区域を設定し、
それ以外の区域ではインフラ投資が抑制されます。
その結果、居住誘導区域内の
不動産は需要が集中するため、
価格が維持または上昇する可能性が高いのですが、
この地域外では人が集まりにくいので、
今後価格が下落するリスクが高まります。
今後、人口減少や高齢化が
加速していることを想定すると、
このようなエリアの価格下落は
進んでいくと思われます。
このようなことから、
2025年問題によっては不動産価格は
下落するのではと言われていますが
本当にそうでしょうか?
不動産会社社長である私の見解では
今後、急激な価格暴落が起こるかというと
必ずしもそうではないと思われます。
2025年問題が騒がれていますが、
2025年になったからといって
突然高齢者の人数が何倍にもなるわけではないです。
実際に、東日本不動産機構が発表している
首都圏中古マンション㎡単価推移データでは、
首都圏全体で見ると、まだ緩やかに上昇しており、
特に都心部では高騰と言えるような状況が続いています。
(参考)東日本不動産流通機構の首都圏中古マンション㎡単価の推移
この傾向が2025年に突入したからといって、
急激に下落傾向に変わることは、かなり考えにくいです。
エリアや物件によって
それぞれ状況が変動する動きが今後、
しばらくは継続していくのではと考えています。
■段階的に不動産価格に影響が及ぶ
高齢化や人口減少による
不動産価格の影響はあるものの、
一気に日本全体、市場全体に波及するのではなく、
長期的に見た際に段階的に
影響が出てくると予測しています。
これから購入や売却を検討している方は、
焦ってマンションの売買を考えるのではなく、
信頼できる不動産会社に相談をしながら、
世の中の情報に踊らされずに
堅実に検討を進めるべきです。
■資産価値=値上りの固定概念は捨てるべき
いざマンションを購入することになった時には、
ここ最近、不動産市場で当たり前になっている
ある風潮に惑わされないでほしいと思っています。
それは、持ち家の
「資産価値=値上り」という固定概念です。
ここ10年くらい値上がり基調が
当たり前の市場になっており、
持ち家に対して値上がりを期待して
購入する人が増えているように感じます。
もちろんそれも1つの考え方ではありますが、
不動産、特にその中でも住まいは
本来居住するものであるため、
住むところへ払うお金=そこに暮らすことへの対価を払うことです。
よく賃貸と持ち家で比較されますが、
その違いはこの対価を他の人の資産である
賃貸物件に払うのか、
自分たちが所有している
持ち家のローン返済に払うのかということです。
そこでの暮らしを手にするための
対価を払った上で資産として残るものが「不動産」です。
そう思うと住まいとして不動産を買うというのは
価値が上がることだけを期待するものではありません。
もちろん購入後に大きく価格が下落してしまったり、
なかなか売却できないような負債になる買い物は
当然避けるべきですが、
持ち家=値上りを1番に期待して物件を探してしまうと
結局どの物件にも決められず、
ずっと家が買えないという状態が続くと思います。
自分たちの買い時(例えば子供が生まれた時)に、
自身の住みやすさを第一に考えて
マンション購入を検討しましょう。
まとめ
不動産2025年問題に踊らされてはいけない
今回は、2025年問題と
不動産・マンション市場について解説しました。
2025年問題は、
これからの不動産市場への影響を与える重要な課題です。
しかし実際は、長期的に見たときに
段階的に影響が出る可能性があるもので、
すぐに価格暴落へと転換することは考えづらく、
しばらくは、エリアや物件によって
それぞれ状況が変動していく動きが続くと思われます。
このような状況の中で大切なのは
市場の動向、デマなどに踊らされずに
冷静な判断をすることです。
自分たちにとってのマイホーム購入の目的や
きっかけを忘れず「持ち家を持つということは、値上がりを期待するだけのものではない」という考えをしっかり念頭に置いてご検討下さい。
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