はじめに
一戸建てを建てるため100m2の土地を買ったはずのに、土地が90m2に減っちゃった。ということがあります。使える土地が減ると、建てられる家の面積も減るので、これは大問題。今回はこの「自分の土地なのに使えない」という原因になる「セットバック」についてパトロールします。「セットバックって何?」という建築のルールや、土地探しをするときの注意点、不動産広告表示の見方についてチェックしていきましょう。
本編
セットバックとは道路幅を4m確保するためのルール
セットバックとは建物を建てる時、土地の前面道路幅が4m未満だった場合に、道路の中心線から2mさがったところまでは道路として提供してください、というルールがあるんです。道路幅が4mないと救急車などの緊急車両が入れないので、何かあったときに、そこに住んでいる人たちを守れないという考え方なんですね。道路が4mないところなんてたくさんあります。でもそれらの場所すべてで家が建てられないということになると困りますので、建て替えをするときに道路の中心線から2メートル下がったところまでは道路にできるようにしておいてくれれば、みんなが建て替えしていけば、いずれ4mの道路になって緊急車両が入れるようになるよね、ということなんですね。
https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chumon/c_knowhow/set_back/
セットバックすると建てられる家の面積も減る
具体的に考えてみましょう。例えば100m2(30坪)の土地があったとします。間口が10m、奥行きが10mで100m2。そしてこの土地の前面道路幅は2mだったとします。このとき、道路中心線から土地までの距離は1mしかないので、2mにするためには1mさがらないといけない。これがセットバックですね。そしてこの土地の間口は10mなので、1mセットバックすると10m×1mで10m2になります。本当は100m2の土地なんですが、建て替える時には使える面積は10m2小さくなって、90m2になってしまうんですね。
100m2の土地ですが使用できる面積は90m2なので、本来なら販売図面や広告上も90m2が使える土地ですよ、と書かなければいけない。でも、中には適当なというか、よくない業者もあって、100m2の方がお客様が興味をもってくれるから、100m2って書いておこう、という業者がいまだにあったりします。そういう業者さんにあたってしまうと、最悪の場合、いざ重要説明事項を聞く段になって、セットバックがあるので建築上使える面積は90m2になります、という説明を受けることになったりします。
そうならないためのポイントしては、まず道路幅に注意することです。前面道路の幅が4メートルある物件に関しては心配いらないですが、4メートルない場合は、100平米書いてあるけど、セットバック後の面積なのか、ここからセットバックして面積が減るのか、ということを不動産業者に確認しましょう。
中古戸建てを購入するときも資産の目減りに注意!
このセットバックで建物を建て替えるときに土地が減ってしまうという話なので、すでに建っている中古の一戸建てを買って、しばらく建て替えををする予定がない場合は当面の間セットバックの必要はないですが、将来的に建て替えをしようとしたときには、このセットバックが必要いなってきます。100m2だと思って100m2の中古戸建てを買ったのに、お子様の代になって建て替えようと思ったら土地が10m2減ってしまうことになります。土地の値段は高いですので、資産の目減りはあってはならないことだと思いますので、中古戸建てを買われる場合でも必ずチェックしておいた方がいいポイントです。
庭もいらないし、土地が10m2減ってもいいよ、という方もいらっしゃるかもしれません。しかし建物を建てられる面積は、土地の面積に対して何%と決まっているので、土地の面積が10m2減ると建物の面積も減ります。仮に土地の面積が100m2あって建物の床面積が100m2とれる容積率100%の土地があったとして、これがセットバックがあって土地が10m2削られると、建物の床面積も90㎡になってしまいます。10m2は6畳くらいの広さなので、4LDKにしようと思ってたのに3LDKになっちゃった、ということになりかねませんので、十分に注意して不動産購入を進めていきましょう。
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まとめ
Point.
1
土地に接している道路の幅が4m以下だと土地を一部提供しなければならない。
Point.
2
セットバックすると土地面積が減り、建てられる建物の面積も小さくなってしまう。
Point.
3
中古戸建てを購入する場合も将来的な影響があるので道路幅はしっかり確認。
Point.
4
記事監修者
朝倉 大樹(宅地建物取引士)
株式会社ウィローズ 代表取締役
2000年不動産ベンチャー企業入社、28歳で最年少営業部長、29歳で最年少役員に抜擢。上場準備にも携わるが、リーマンショックによる倒産危機を経験するなど激動の20代を送る。
2012年株式会社ウィローズを創業。「お客様の利益を第一に」を理念に、売上高30億円を超えるグループ企業に成長。
不動産業界とお客様との情報の非対称性を解消するべくYouTube「不動産ポリス」を配信中。