はじめに
マンションを購入する際には、住宅ローン返済だけでなく管理費や修繕積立金も含めた月々の支払いが、いくらになるのかを計算することが重要です。
管理費や修繕積立金の相場には、築年数毎に特徴があり、築年数毎の傾向を考慮せずに資金計画を立ててしまうと、ある築年数に差し掛かる時に大きな負担になることが懸念されます。
月々の支払額が高騰し、最悪の場合、住宅ローン破綻して負債を抱える可能性もあります。
そこで今回は、管理費・修繕積立金の基礎知識と築年数別の相場などを徹底解説します。
本編
中古マンション購入における管理費・修繕積立金の重要性
築40年以上マンションの増加で管理が重要視されている
現在、築40年以上のマンションの物件数が年々増えています。
東日本不動産流通機構のデータを見ると、新規登録物件のうち築40年以上の物件の割合が10年間で約5倍(2013年:5.9%→2023年:27.3%)になっていることが分かります。
(参考)東日本不動産流通機構|築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)
その一方で、用地不足や建設資材の高騰により、新築マンションの供給数が激減しています。
さらに、築40年以上のマンションストック数は
●2023年:136.9万戸
●2033年:274.3万戸
●2043年:463.8万戸
に増加すると予想されています。
(参考)国土交通省|築40年以上のマンションストック数の推移
建物の経年劣化は避けられず、年数が経過するにつれて外壁や共用部分の老朽化が進みます。
よりマンションに長く住むためには、マンションの住人がお金を出し合い、定期的にメンテナンス管理をすることが必要不可欠です。
適切なメンテナンスが行われていないと、資産価値が下がり、建物自体の寿命が短くなります。
今後、築古マンションが増えることで、このようなリスクを抱える建物が増加し、今の建物を長期的に活用していくためにも、マンション管理が重要になってきています。
中古マンション購入前に知っておくべき管理費の基礎知識と相場
管理費とは
マンションの日常的な維持・管理に必要な費用です。
具体的には
●清掃費
●管理人の人件費
●エレベーターの保守費
●管理組合の運営費用
などがあります。
管理費の相場
一世帯当たりの管理費平均額は11,503円/月です。
中古マンション購入前に知っておくべき修繕積立金の基礎知識と相場
修繕積立金とは
建物や設備の大規模修繕に、備えるための積立金です。
具体的には、
●外壁塗装
●防水工事
●設備の更新費用
●工事費用
などに使われます。
修繕積立金の相場
一戸あたりの平均額は、約13,000円です。
管理費と修繕積立金を合わせると約24,503円となり、
毎月のコストを考えると、かなり大きな額といえるでしょう。
これを考慮せずに資金計画を立てることは非常に危険です。
管理費・修繕積立金が高い理由
近年、マンションの管理費・修繕積立金が上昇傾向にあります。
(参考)東日本不動産流通機構|首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2023年度)
高騰している理由は様々ありますが、
●新築時に低く設定しすぎている
●工事費の高騰
●当初の計画外の工事が発生している
●国土交通省のガイドライン改正
などが挙げられます。
詳しくは、関連記事で解説しているため是非チェックしてみてください。
▼関連記事
中古マンション選びでベストの戸数は?大規模・小規模マンション戸数別の特徴を解説
管理費は築浅の方が高く、修繕積立金は築古の方が高い!?|築年数と管理費・修繕積立金の関係
【築年数別】管理費の傾向
管理費は、築年数が浅いほど高い傾向にあります。
東日本不動産流通機構が発表しているデータによると、築20年以上の物件では管理費は1万円台ですが、築20年未満になると2万円台に値上がりしています。
要因として、下記が挙げられます。
●築浅マンションの方がセキュリティシステムや共用施設が充実しており、人件費や設備維持費が高くなっているため
●マンション管理人の人件費や水道光熱費、物価の値上がり
ここ数年は最初から管理費が高く設定される傾向があり、全体として築浅の方が管理費が高い傾向にあります。
【築年数別】修繕積立金の傾向
修繕積立金は、築年数が経過しているマンションほど、高い傾向にあります。
この要因としては、築年数の経過とともにマンションの劣化が進みメンテナンス周期が短くなることが挙げられます。
このメンテナンス費用を賄うために、築古物件ほど修繕積立金を多く徴収する必要があります。
修繕積立金の「段階増額方式」とは?
段階増額方式とは、初期の積立額を抑え、一定期間ごとに徐々に値上げしていく、修繕積立金の徴収方法を指します。
2005年ごろから、新築時に「段階増額積立方式」を採用するマンションが過半数を占めるようになり、2015年以降には8割を超えています。
そのため、2015年以降に建てられたマンションの修繕積立金の額は、新築時に低く設定されることが多く、築浅のほうが定額となる傾向にあります。
【築年数別】管理費・修繕積立金の合計額
修繕積立金の築年数ごとの変動幅は比較的少なく、
合計額は、管理費の変動に近い動きとなります。
令和5年度マンション総合調査結果のデータを参照すると、
築年数別の管理費・修繕積立金の平均合計額は下記の通りとなります。
●築25年未満:30,000円~35,000円
●築25年以上:25,000円~30,000円
築25年以下の築浅マンションで、比較的高い傾向にあることが分かります。
検討するマンションの管理費と修繕積立金と比較して、上記の相場よりも高い場合は、その理由を、信頼できる不動産業者に確認するのがおすすめします。
築年数の経過に伴う管理費・修繕積立金の変化
築40年以上のマンションには「2つの老い」が発生します。
●物件の老朽化
●所有者の高齢化
が重なると、管理費・修繕積立金の負担が急増し、大きく資産価値が下がります。
物件の老朽化による修繕積立金の引き上げ
物件が築40年を超えると、外壁や設備の老朽化が進み、大規模修繕の頻度や費用が増える傾向にあります。
その結果、修繕積立金の引き上げが避けられず、月々の支払い額が増えるケースが多いです。
築30年目で修繕積立金が月額1万円だった物件が、築40年目には1.5万円以上に引き上げられることも珍しくありません。
入居者の老後の資金計画不足がマンション資産価値に影響する
築40年のマンションでは長く住んでいる方も多く、定年退職を迎えて年金生活に入る方が増えます。
そして管理費・修繕積立金の支払いを見越して資金計画を立てていなかったために、管理費や修繕積立金が高くなった場合に、老後資金だけでは賄えず支払いが滞るケースが増加しています。
さらに、管理費・修繕積立金が予想以上に増えると、さらに滞納する高齢者が増えるでしょう。
物件の老朽化と入居者の老化が重なると、今後のマンション運営が厳しくなる可能性が高くなります。
(参考)国土交通省|令和5年度マンション総合調査結果からみたマンションの居住と管理の現状
実際、国土交通省の調査によると、1984年以前に建築された築40年以上のマンションでは、3ヶ月以上管理費・修繕積立金が滞納されている住戸の割合が10%を超えるケースが、半数近くあることが分かります。
このような状態になると、物件の資産価値が低下し、新たな購入希望者に敬遠されてしまい、健全な管理運営に戻せないという悪循環が起こりえます。
また、管理費延滞率が10%以上のマンションは、売却時に値引き交渉の対象となる確率が高くなるデータもあります。
【リスク回避】中古マンション購入、管理費・修繕積立金で失敗しないためのチェックポイント
資産計画を念入りに立てる
今後、管理費・修繕積立金の金額がさらに引き上げられていく可能性があります。
購入時に余裕を持たせずに、住宅ローンの返済額やその時の固定費を基準にして資金計画を立てたことにより、修繕積立金の値上がりに対応できず、生活費が圧迫されるということが起こるかもしれません。
そのような事態を避けるために、自分が検討しているマンションの築年数と、築年数別の管理費・修繕積立金をの平均額見比べて、金額が上がっても問題なく支払いができるのか、検討した上で資金計画を立てることが重要です。
もし現在の管理費と修繕積立金が、合計2万円だとした場合、将来の引き上げを見越して、合計3万円で資金計画に組み込むようにするといいでしょう。
現在の修繕積立金額を確認する
積立金が計画通りに貯められていないマンションは後々、大規模修繕費工事が現実的になるタイミングで、積立金の値上げを提示されるケースが多いです。
そのため、現状を確認することが大切です。
管理費や修繕積立金の現在の積立額は、長期修繕計画書で確認することができます。
特に「積立金不足」がないかを、注意深くチェックするようにしましょう。
長期修繕計画書は、不動産業者を通さないと確認できないため、信頼できる不動産営業担当者の方と一緒に、チェックしましょう。
管理組合が健全に機能しているか確認する
定期的な修繕やそのための計画、日々の暮らしの小さな問題を解決するためには、管理組合が適切に機能しているかが、重要なポイントになります。
問題なく機能している管理組合であれば、もし滞納者が出た時もしっかりと対応して、回収に動くはずです。
管理組合が問題なく、機能しているかの判断基準に下記が挙げられます。
●定期的な会議が行われていること
●修繕計画がしっかりと策定されていること
こちらは総会議事録や共用部分の状態などで確認することができるため、
長期修繕計画書と合わせて、不動産業者と一緒にチェックしましょう。
管理組合が機能していないと、適切な修繕計画が立てられない、追加で修繕積立金が徴収される可能性があるため、管理組合の活動が不活発な場合はその物件を避けるべきです。
築古マンションの場合は再販性が高いか確認する
築古マンションを選ぶ際に、単に価格が安いからと飛びつくのは危険です。
「今後も需要のある条件を満たしているのか」は、物件を再販売する時に重要な判断基準となりますので、購入時には絶対に確認が必要です。
マンションの2つの老いが進んだとしても、管理状態や立地が良い等の好条件の物件であれば、需要を維持することができ、空室率や支払い滞納リスクも減ります。
また、賃貸で貸し出したとしても、入居者がすぐに決定したり、「売却」や「相続」という出口戦略も考えられるため、需要がある物件かどうかは必ずチェックしてください。
まとめ
中古マンション購入時には管理費と修繕積立金の理解が必須
中古マンション購入では、住宅ローンに加え毎月発生する、管理費と修繕積立金の理解が不可欠です。
管理費は築浅物件の方が高く、一方修繕積立金が築古物件ほど高い傾向にあります。そのため、長期的な資金計画を立てる上で、管理費・修繕積立金は無視できない項目です。
マンション購入で失敗しないためには将来的な管理費・修繕積立金の値上がりを見込んだ資金計画、現在の積立状況(長期修繕計画書で確認)、管理組合の機能状況、そして築古物件の場合は再販性の高さを確認することが重要です。
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