はじめに
「マンションの管理費や修繕積立金の相場はどのくらいか」「将来的に値上げされるのではないか」といった不安をお持ちの方も多いかと思います。
本記事では、共用部分の維持管理から大規模修繕に至るまで、知っておくべき基本的な知識を解説していきます。
また、物件選びで後悔しないためのチェックポイントについても詳しく紹介しますので、マンション購入検討の際の参考にしましょう。
本編
修繕積立金・管理費の基礎知識
管理費とは
マンションの管理費とは、全所有者が共同で負担する必要のある費用です。
エントランスやエレベーターなど、共用部分の維持には、電気代・水道代・管理人の人件費・火災保険料など、様々なコストがかかります。
管理費の金額を左右する主な要因は、マンションの設備内容と総戸数です。
例えば、コンシェルジュが24時間常駐していたり、ジムやプールなどを備えたタワーマンションでは、それらを維持するために管理費が高くなる傾向があります。
また、戸数の違いも管理費に大きく影響します。
例えば、エレベーター1基や管理人1名といった基本設備は、10戸のマンションでも100戸のマンションでも必要となります。
この場合、全体でかかる費用が同じでも、戸数が多いほど1戸あたりの負担額は軽くなります。
このように、管理費が高く見えても、充実したサービスや効率的な費用分担の結果の場合があります。
金額だけでなく、内容や戸数とのバランスを含めて検討することが重要と言えるでしょう。
修繕積立金とは
マンションの共用部分には、定期的な大規模修繕が必要となります。
外壁の補修、屋上の防水工事、内廊下の床材の交換、エレベーターの更新など、その費用は数千万円規模に及ぶこともあります。
これらは、建物を長く良好な状態で維持するために不可欠な投資です。
しかし、高額な工事費用を一括で徴収することは現実的ではなく、住民にとって大きな経済的負担となりかねません。
そのため、将来の修繕に備えて計画的に資金を積み立てていく「修繕積立金制度」が設けられています。
この制度により、突発的な支出を避けながら、必要な修繕工事を着実に行うことが可能になります。
修繕積立基金・管理準備金とは
マンションを購入する際には、毎月支払う「修繕積立金」とは別に、「修繕積立基金」や「管理準備金」といった一時金が発生することがあります。
これらは主に新築マンションを購入する際に求められる初期費用です。
修繕積立基金とは、大規模修繕に備えて最初にまとまった資金を確保するための費用で、購入時に一括で支払います。
毎月積み立てる修繕積立金とは異なり、マンション全体の初期段階の資金づくりに充てられる重要な資金です。
管理準備金は、管理組合が発足する際に必要な運営資金です。
例えば、共用部の備品購入や初年度の管理業務にかかる費用など、管理体制をスムーズにスタートさせるために使われます。
これらの費用は、マンションの価格に含まれていないことが一般的で、購入時の諸費用として別途用意する必要があります。
修繕積立金とあわせて、修繕積立基金、管理準備金も含めた総支出額を把握しておくことが大切です。
修繕積立金の徴収方法と積立方式
修繕積立金の徴収方法には、主に「均等積立方式」と「段階増額積立方式」の2種類があります。
均等積立方式は、新築時から将来必要となる修繕費を見込んで、毎月一定額を積み立てる方法です。
長期的に支払い額が変わらないため、家計の見通しが立てやすく、将来の急な負担増を避けられるメリットがあります。
段階増額積立方式は、新築時は低めの金額で始め、一定年数ごとに段階的に積立額を増やしていく方法です。
購入当初の負担が少ない一方、将来の増額時に家計負担が急増する可能性があるため注意が必要です。
いずれの方式でも、国土交通省の「長期修繕計画ガイドライン」では、1平方メートルあたりの適正積立額の目安が示されています。
購入前には徴収方式、増額時期、将来の負担額を必ず確認し、長期的な資金計画に組み込むことが重要といえるでしょう。
修繕積立金の相場と金額妥当性
修繕積立金の金額は、マンションの構造や規模によって異なります。
特に、低層マンションとタワーマンションでは、必要となる修繕内容に大きな違いがあるため、費用にも差が出ます。
一般的な目安としては、「1㎡あたり月額200円」が基準として用いられることが多くあります。
例えば、50㎡のマンションであれば月額10,000円、80㎡であれば月額16,000円程度となります。
また、国土交通省の平成30年度「マンション総合調査」によれば、修繕積立金の月額平均は以下の通りです。
単棟型マンション:11,060円
団地型マンション:12,152円
全体平均:11,243円
(参考)(参考)平成 30 年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状
管理費・修繕積立金が月額5万円とした場合、この金額は、マンションの規模や設備、築年数、立地条件などによって妥当性が異なります。
高級タワーマンションであれば、コンシェルジュや共用施設などの維持費により、この水準は一般的です。
一方、中規模マンションでこの金額となると、やや高めの可能性があります。
しかし、過去の積立不足の補填や、機械式駐車場の維持費、戸数が少ないことによる影響などが理由のこともあります。
大切なのは、金額そのものではなく、その金額が適切な根拠に基づいて設定されているかどうかです。
修繕積立金の必要性と積立不足のリスク
修繕積立金の必要性と積立不足のリスクとして、ここでは、
・修繕積立金を金額だけで判断することのリスク
・値上げが起こる理由
・値上げの方法と一時金徴収
・新築マンションと中古マンションの違い
について、解説していきます。
修繕積立金を金額だけで判断することのリスク
例えば、同じ80㎡のマンションで、月額8,000円・16,000円・24,000円という異なる修繕積立金が設定されている場合、どれが経済的といえるでしょうか?
一見すると、月額が少ない方が得に見えるかもしれませんが、金額の多い・少ないだけでマンションの良し悪しを判断するのは危険です。
修繕積立金が少なすぎる場合、将来的に十分な修繕が行えなかったり、突発的に一時金の徴収が必要となったりする可能性があります。
逆に、高めに設定されている場合は、長期的な安心や修繕の質に反映されている可能性もあります。
よって、金額だけを見て「安い方が得」と判断するのではなく、管理状況や修繕計画の内容も含めて総合的に検討することが大切でしょう。
値上げが起こる理由
修繕積立金の値上げは、主に工事費用や資材費の高騰、建物の経年劣化による修繕範囲の拡大、予期せぬ設備トラブルや災害による補修などが原因で発生します。
新築時の積立額設定が低すぎた場合や、想定よりも早く大規模修繕が必要になった場合も値上げの要因となります。
特に物価上昇局面では、修繕費全体が高くなる傾向があるため、購入前に将来の増額可能性を把握しておくことが重要といえるでしょう。
値上げの方法と一時金徴収
修繕積立金の増額は、通常、管理組合の総会での決議を経て実施されます。
増額方法には、毎月の積立額を引き上げる方法のほか、急な修繕費不足に対応するための「一時金徴収」があります。
一時金徴収は、突発的な工事や資金不足の補填に充てられますが、金額が高額になる場合があり、区分所有者に大きな負担となることも少なくありません。
そのため、長期修繕計画をもとに計画的な積立が行われているかの確認が重要です。
新築マンションと中古マンションの違い
新築マンションでは、販売促進のために修繕積立金を低めに設定しているケースが多く見られます。
この場合、数年ごとに段階的な値上げが組み込まれていることが多く、将来的な負担増をあらかじめ理解しておく必要があります。
一方、中古マンションでは、築年数や過去の修繕履歴によってすでに積立額が高く設定されている場合がありますが、その分、直近の大規模修繕後であれば当面の値上げリスクが低いこともあります。
購入前には、過去の改定履歴と今後の修繕計画を確認し、長期的な負担を見極めることが大切です。
管理費・修繕積立金からみるマンション購入前に注意が必要なポイント
管理費・修繕積立金からみるマンション購入前に注意が必要なポイントとして、ここでは、
・修繕履歴・改定履歴と長期修繕計画の確認
・管理組合の財務状況・議事録のチェック
・設備や総戸数による負担の違い
・滞納リスクと高齢期の支払い
について、解説していきます。
修繕履歴・改定履歴と長期修繕計画の確認
上述のリスクを回避するためにも、マンション購入時には以下の情報を確認することが重要です。
・現在の修繕積立金の金額
・過去の修繕履歴
・修繕積立金の改定履歴(可能であれば)
・長期修繕計画
ただし、管理会社が変更されている場合などは、すべての履歴を把握するのが難しいこともあります。
そのような場合でも、可能な限り情報を集め、修繕の実態と計画性を確認するようにしましょう。
管理組合の財務状況・議事録のチェック
マンション購入前には、管理組合の財務状況を確認することが重要です。
具体的には、修繕積立金や管理費の収支状況、現在の積立残高、滞納額の有無などを把握することで、将来の資金不足リスクを予測できます。
併せて、管理組合の議事録も確認しましょう。
議事録には、大規模修繕の実施予定や修繕積立金の増額方針、滞納者への対応、設備更新の計画など、購入後の費用負担に直結する情報が記載されています。
特に、近年の議事録からは、管理体制の健全性や組合運営の透明性も読み取ることができます。
これらの情報を事前にチェックすることで、購入後に予期せぬ値上げや一時金徴収が発生するリスクを減らし、安心して長期的に住めるマンションを選びやすくなります。
設備や総戸数による負担の違い
機械式駐車場は、維持管理に高額なコストがかかる設備であり、マンション全体の管理費を押し上げる大きな要因となります。
本来であれば、駐車場使用料によってメンテナンス費用をまかなう仕組みですが、近年の車離れの影響により、駐車場に空きが目立つようになってきました。
その結果、使用料収入が減少する一方で、高額な維持費用の負担が重くのしかかるという悪循環に陥っているケースも見受けられますので、注意が必要といえるでしょう。
同様の問題は、ジム、プール、滝といった豪華な共用施設を備えたマンションでも発生しています。
これらの設備は一見すると魅力的ですが、維持管理には予想以上のコストがかかることがあります。
特に滝のような装飾性の高い設備は、費用対効果の問題から稼働を停止せざるを得ないケースも少なくありません。
また、総戸数も管理費や修繕積立金の負担に大きく影響します。
一般的に、戸数が少ないマンションでは、1戸あたりの負担額が大きくなる傾向があります。
特に20戸未満の小規模マンションでは、将来的に負担が重くなるリスクがあるため注意が必要といえるでしょう。
滞納リスクと老後の支払い
管理費や修繕積立金の滞納は、最悪の場合、住まいを失う事態にまで発展する重大な問題です。
1.管理会社からの督促
2.管理組合との協議
3.内容証明郵便による催告
4.強制執行の申し立て
5.競売・強制退去
このような段階を経て、最終的には競売となり、強制的に退去させられることもあります。
支払いが困難な場合は、早めに管理会社へ相談し、分割払いや支払期限の延長について話し合うことが大切です。
マンションの管理費や修繕積立金は、所有している限り、定年後や老後も支払い続ける必要があります。
例えば、80㎡のマンションで管理費15,000円・修繕積立金16,000円の場合、年間で372,000円の支出になります。
これは年金生活者にとって無視できない金額であり、築年数の経過とともに修繕積立金が増額されることも少なくありません。
長期的な資金計画を立てるうえでも、購入前の確認が不可欠です。
なお、戸数の多いマンションは1戸あたりの費用が抑えられる傾向があるため、老後の固定費を軽減する選択肢にもなります。
また、上述の理由から、管理費・修繕積立金の値上げが発生する可能性もあります。
支払いが困難になることが予想される場合は、早めに管理会社に相談しましょう。
値上げ幅の調整や支払い時期の分散といった対応が可能になることもあります。
また、長期的に支払いが難しいと感じた場合は、売却も視野に入れる必要があります。
滞納状態での競売は価格が大きく下がる可能性があるため、早期の対応が賢明といえるでしょう。
補助金・助成金制度の活用
マンションの大規模修繕にかかる費用は高額になりがちですが、一定の条件を満たすことで、自治体などから補助金や助成金を受けられる場合があります。
例えば、省エネ改修や耐震補強、バリアフリー対応工事といった内容が含まれる場合には、市区町村や都道府県が実施する助成制度の対象となるケースがあります。
また、修繕計画の策定や建物を診断する段階でも、補助を受けられる制度が設けられている自治体もあります。
ただし、制度の有無や内容は地域によって異なり、申請時期や申請者の要件も細かく定められているため、マンションの管理組合が主体となって情報を収集し、早めに検討することが大切です。
購入検討時には、将来の修繕計画だけでなく、活用できる補助金制度の有無も確認しておくと、費用負担の軽減につながる可能性があります。
まとめ
マンションを選ぶ際には、次のような点に注意が必要です。
・一般的な修繕積立金の目安は、1平方メートルあたり月額200円(※物件によって異なります)
・総戸数を確認し、戸数に応じた費用負担を見極める
・管理費・修繕積立金の改定履歴を確認する
・機械式駐車場など維持費用が高額な設備の有無を確認する
・管理費・修繕積立金は老後の支払い、滞納、値上げに注意する
購入に不安がある場合は、不動産の専門家に相談することをおすすめします。
経験と知識を持つ不動産会社であれば、管理体制が整った優良物件を紹介してもらえる可能性があります。
信頼できる専門家のサポートを得ながら、慎重に物件を選びましょう。
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