はじめに
中古マンション購入時に必要な諸費用が気になっていませんか?
物件価格以外に発生するこの費用は、
購入価格の7~8%にも及びます。
本記事では、マンションの価格帯別に
具体的な諸費用をシミュレーションします。
仲介手数料、登記費用、税金など、
支払い項目ごとの相場から節約のポイントまでを、
マンション購入のプロが徹底解説します。
初めてでも安心して中古マンションを購入したい方に向けた完全ガイドです。
本編
中古マンション購入諸費用の内訳
不動産購入時には物件価格の7~8%の諸経費が必要となり、
例えば5,000万円の物件であれば
約400万円の諸経費が発生する計算です。
諸費用の内訳は、大きく以下の5つに分類されます。
▮不動産仲介会社・司法書士などへの報酬
▮金融機関への手数料
▮売主への諸費用
▮保険料
▮税金(国・地方自治体)
以下、5,000万円の中古マンション購入を例に、
各費用の詳細をご説明していきます。
具体的な金額をシミュレーションしながら、
諸経費の全体像を把握していきましょう。
▮不動産会社に払う費用
不動産取引における主要な費用の一つが仲介手数料です。
これは、物件購入の際に仲介会社へ支払う費用となります。
仲介業者を入れず売主から直接購入する場合は、
仲介手数料は発生しません。
また新築マンションの場合も
分譲会社(売主)が直接販売を行うケースが多いため、
仲介手数料は発生しません。
ただし、販売スタッフの人件費やモデルルーム設置費用、
販売促進費用などは物件価格に含まれているため
「新築マンションは仲介手数料がかからないからお得」
という考え方は必ずしも正確とは言えないでしょう。
仲介手数料は法律により上限が定められており、
計算方法は以下の通りです。
(物件価格 × 3%) + 6万円 + 消費税
例えば、5,000万円のマンションを購入する場合、
仲介手数料の上限は171万6,000円となります。
なお、物件価格が400万円以下の場合は、
料率が3%ではなく4%〜5%に変更となりますので注意しましょう。
▮司法書士に支払う費用
司法書士に支払う費用として登記費用があります。
これは登記簿上の所有者を売主から買主へ移転する費用や
住宅ローンを組む際の抵当権(住宅ローン支払いが滞った際に、金融機関が土地や建物を担保とする権利)を設定する費用です。
登記費用は大きく分けて、
登録免許税(税金)と
司法書士への報酬の二つで構成されています。
司法書士への報酬は登記の内容によって変わりますが、
所有権移転登記と抵当権設定登記を合わせて、
東京では10万円から15万円程度が相場です。
登録免許税の計算は複雑で、
不動産の評価額、築年数、
住宅ローンの借入金額などが影響します。
例えば5,000万円の中古マンションを購入する場合、
登録免許税は約50万円必要となります。
ただし、以下の条件をすべて満たす場合、
登録免許税が大幅に軽減されることがあります。
・新築建物または1982年以降に建てられた建物(新耐震基準)
・登記簿上の床面積が50㎡以上
・自己居住用である
・売買契約から2年以内に登記を申請している
・日本国内に住所を有する個人である(法人は対象外)
これらのケースの場合、
50万円の税金が約30万円に軽減されることも多く、
諸費用を抑える重要なポイントとなります。
なお、実際の軽減額は物件によって異なります。
▮金融機関に支払う費用
金融機関に支払う費用は、
主にローン事務手数料と
ローン保証料の2種類がありますが、
費用は金融機関によって大きく異なります。
ローン事務手数料の設定は、
定額制(例:5万円)や
額に対する定率制(例:借入金額の2%)など様々です。
同様にローン保証料も
金融機関によって0円の場合もあれば、
借入金額の2%が必要な場合もあります。
一例として、
ローン事務手数料が借入金額の2%で
ローン保証料が0円というパターンで計算してみましょう。
5,000万円を借り入れる場合、
ローン事務手数料は5,000万円×2%=100万円となります。
ローン事務手数料は金融機関によって
異なるケースが少なくありません。
例えば、楽天銀行の場合は
事務手数料が定額33万円となり、
諸費用を大幅に抑えることができます。
ただ金融機関を選ぶ際に
諸費用の高低だけで判断するのは適切ではありません。
なぜなら高額な諸費用でも、
低金利や充実した保険内容で
メリットが得られる場合もあるからです。
住宅ローンを検討する際は、
金融機関に具体的な費用を確認するだけでなく、
様々な要素を考慮し検討しましょう。
▮売主へ支払う費用
売主へ支払う費用には、
固定資産税の清算金と
マンションの管理費・修繕積立金の清算金があります。
固定資産税は1月1日時点の不動産所有者に課税され、
所有者が年間分を納税する義務が発生します。
ただし、年の途中で所有者が変わる場合は
日割り計算で清算を行います。
例えば、年間20万円の固定資産税が
課税されているマンションを
6月1日に引き渡す場合を考えてみましょう。
このケースでは1年365日のうち、
1月1日から5月31日までの155日間が売主負担、
6月1日から12月31日までの210日間が買主負担となります。
具体的な計算方法は以下の通りです。
20万円÷365日×210日=約11万5,000円
結果的に約11万5,000円を買主が売主へ支払うことになります。
このことから、12月末近くの決済の方が、
清算金の支払額は少なくなることがわかります。
マンションの管理費・修繕積立金も
同様の清算方法を取りますが、
こちらは年間ではなく月単位での清算となります。
なお、マンションの場合は関係ありませんが、
土地の購入時には注意が必要です。
1月1日時点で更地の場合、
その年の固定資産税は通常の3倍~6倍ほどに増額する可能性があるからです。
例えば、建物がある状態での
年間固定資産税が20万円の土地が、
更地になると100万円を超えることもあります。
そのため、土地購入や建て替えを行う場合は、
1月1日時点での更地を避けるか、
建て替え時期を1月以降にするなどの工夫が有効です。
▮保険会社に支払う費用
保険会社には火災保険を支払う必要があり、
住宅ローンを利用する場合は火災保険への加入が必須です。
火災保険料は以下の要因により変動します。
▮使用目的(自宅利用か否か)
▮専有部分の広さ
▮築年数
▮建物の構造
マンションは鉄筋コンクリート構造のため、
木造建築と比べて火災保険料は比較的安価です。
マンションの種類、保険の補償内容、
加入年数にもよりますが、
一般的に10万円から20万円程度が必要となります。
住宅ローンを利用しない場合は
火災保険の加入は任意ですが、
加入することを強くおすすめします。
日本の法律では、隣家からの延焼による被害であっても
重大な過失がない限り損害賠償を請求できないためです。
不動産購入時には、支払い方法に関わらず、
火災保険への加入を検討しましょう。
▮税金
不動産購入時には、
印紙税、登録免許税、不動産取得税
の3種類の税金が必要です。
印紙税
印紙税は、売買契約書と
住宅ローン契約書(金銭消費貸借契約書)に
収入印紙を貼って納付するための税金です。
収入印紙の金額は、
購入する不動産の金額と住宅ローンを借り入れる金額により変動します。
【売買契約書に必要な収入印紙の金額】
(※2025年1月時点 軽減措置適用時)
・売買価格が100万円より高く、500万円以下の場合:1,000円
・売買価格が500万円より高く、1,000万円以下の場合:5,000円
・売買価格が1,000万円より高く、5,000万円以下の場合:1万円
・売買価格が5,000万円より高く、1億円以下の場合:3万円
【住宅ローン契約書に必要な収入印紙の金額】
(※2024年11月時点)
・住宅ローン借入額が100万円より高く、500万円以下の場合:2,000円
・住宅ローン借入額が500万円より高く、1,000万円以下の場合:1万円
・住宅ローン借入額が1,000万円より高く、5,000万円以下の場合:2万円
・住宅ローン借入額が5,000万円より高く、1億円以下の場合:6万円
(参考)国税庁|印紙税額
例えば5,000万円のマンションを購入し、
同額の住宅ローンを組む場合、
売買契約書に1万円分、ローン契約書に2万円分、
合計3万円の収入印紙が必要となります。
なお、確定申告時に契約書の提出が求められますが、
印紙の貼り忘れは過怠税の対象となるため注意しましょう。
登録免許税
登録免許税は、
所有権移転登記と抵当権設定登記の際に必要な税金です。
登録免許税については、
本記事の「司法書士に支払う費用」章で解説をしています。
不動産取得税
不動産取得税は、
不動産購入時の一回限りの税金です。
以下の条件を満たす場合、軽減措置が適用されます。
・個人が自宅として購入(床面積50㎡以上240㎡以下)
・1982年1月以降建築
軽減措置の適用可否により税額は大きく変動します。
築年数が古いと100万円超の納税が必要な場合もありますが、
新築や条件を満たす物件では、
東京の場合0円になることも少なくありません。
本シミュレーションでは
軽減適用を前提に50万円と設定しています。
特に中古物件購入時は、
築年数により不動産取得税が0円から100万円超まで
大きく変動する可能性があるため事前確認が重要です。
【金額別】中古マンション購入費用のシミュレーション
物件価格によって諸費用の総額は大きく変動します。
1,000万円から4,000万円までの物件を例に、
具体的な費用をご紹介します。
購入時、引き渡し時、入居後、
それぞれの段階で必要となる費用を、
シミュレーションを交えながら紹介します。
※下記は一般的なデータや情報を元にしたシミュレーションです。
物件の状態や地域によって金額は変動する可能性があるため、
参考情報としてご覧ください。
※土地と建物の評価額は、物件価格×0.7を土地と建物(4:6×経年減価補正率)で配分し算出。千円未満は切り捨て。地価は新築時から変動しないと仮定しております。
▮1000万円中古マンション購入時のシミュレーション
〈シミュレーション条件〉
【購入時にかかる初期費用:約55万円】
・仲介手数料 ・売買契約書用の印紙税
・インスペクション(建物状況調査)費用、瑕疵保険費用
【引き渡し時にかかる費用:約45万円】
・住宅ローン契約書用の印紙税
・融資事務手数料
・火災保険料
・所有権移転登記費用(登録免許税、司法書士報酬含む)
・抵当権設定登記
・団体信用生命保険料
【入居後にかかる費用:約50万円】
・不動産取得税
・固定資産税、都市計画税
・管理費
・修繕積立金
・その他、駐車場代など
【合計:約150万円】
▮1500万円中古マンション購入時のシミュレーション
〈シミュレーション条件〉
【購入時にかかる初期費用:約70万円】
・仲介手数料 ・売買契約書用の印紙税
・インスペクション(建物状況調査)費用、瑕疵保険費用
【引き渡し時にかかる費用:約55万円】
・住宅ローン契約書用の印紙税
・融資事務手数料
・火災保険料
・所有権移転登記費用(登録免許税、司法書士報酬含む)
・抵当権設定登記
・団体信用生命保険料
【入居後にかかる費用:約55万円】
・不動産取得税
・固定資産税、都市計画税
・管理費
・修繕積立金
・その他、駐車場代など
【合計:約175万円】
▮2000万円中古マンション購入時のシミュレーション
〈シミュレーション条件〉
【購入時にかかる初期費用:約100万円】
・仲介手数料
・売買契約書用の印紙税
・インスペクション(建物状況調査)費用、瑕疵保険費用
【引き渡し時にかかる費用:約65万円】
・住宅ローン契約書用の印紙税
・融資事務手数料
・火災保険料
・所有権移転登記費用(登録免許税、司法書士報酬含む)
・抵当権設定登記
・団体信用生命保険料
【入居後にかかる費用:約45万円】
・不動産取得税
・固定資産税、都市計画税
・管理費
・修繕積立金
・その他、駐車場代など
【合計:約210万円】
▮3000万円中古マンション購入時のシミュレーション
〈シミュレーション条件〉
【購入時にかかる初期費用:約120万円】
・仲介手数料
・売買契約書用の印紙税
・インスペクション(建物状況調査)費用、瑕疵保険費用
【引き渡し時にかかる費用:約95万円】
・住宅ローン契約書用の印紙税
・融資事務手数料
・火災保険料
・所有権移転登記費用(登録免許税、司法書士報酬含む)
・抵当権設定登記
・団体信用生命保険料
【入居後にかかる費用:約55万円】
・不動産取得税
・固定資産税、都市計画税
・管理費
・修繕積立金
・その他、駐車場代など
【合計:約270万円】
▮4000万円中古マンション購入時のシミュレーション
〈シミュレーション条件〉
【購入時にかかる初期費用:約155万円】
・仲介手数料
・売買契約書用の印紙税
・インスペクション(建物状況調査)費用、瑕疵保険費用
【引き渡し時にかかる費用:約120万円】
・住宅ローン契約書用の印紙税
・融資事務手数料
・火災保険料
・所有権移転登記費用(登録免許税、司法書士報酬含む)
・抵当権設定登記
・団体信用生命保険料
【入居後にかかる費用:約80万円】
・不動産取得税
・固定資産税、都市計画税
・管理費
・修繕積立金
・その他、駐車場代など
【合計:約355万円】
中古マンション購入時の諸費用を払えない場合は?
諸費用が支払えない場合、
一般的にマンション購入の契約は成立しません。
しかし、このような状況でも検討できる選択肢があります。
その一つが、諸費用の一部を住宅ローンに組み込むという方法です。
例えば、仲介手数料、登記費用、住宅ローン保険料、
火災保険料などを住宅ローンの借入額に含めることで、
初期費用の負担を軽減できる可能性があります。
ただし、金融機関によって
組み込み可能な費用の範囲は大きく異なるため
事前の確認が必要です。
また、不動産取得税や修繕積立金などは、
原則としてローンに組み込むことができないため、
これらは別途現金で用意する必要があります。
一方、諸費用を住宅ローンに組み込む場合は
利息負担分が多くなり、
これにより家計が圧迫される可能性が高まるデメリットもあります。
さらに物件価格以上の借り入れとなる場合、
一部の金融機関では通常より高い金利が適用されるケースもあるため、安易に住宅ローンの組み込みを選択するのは避けましょう。
初期費用の工面が難しい場合は
無理に借入額を増やすのではなく、
購入時期の見直しや物件選びの再検討も
視野に入れることが賢明です。
持続可能な返済計画を立てることが、
将来の安定した暮らしにつながります。
中古マンション購入後にかかる月々の金額は?
中古マンション購入後の月々の支払いは、
住宅ローンの返済額に加えて、
様々な管理費用や税金が必要になります。
一般的な月々の費用の内訳は以下の通りです。
【基本的な管理費用】
・管理費:月額1万円~2万円(共用部分の維持管理、清掃、エレベーター保守点検など)
・修繕積立金:月額1万円~2万円(将来の大規模修繕や建て替えの費用)
・駐車場代:月額5,000円~2万円(利用する場合のみ)
【税金と保険】
・固定資産税/都市計画税:年間10万円~15万円(月換算で8,000円~1.3万円)
・火災保険/地震保険料:年間によって変動(月換算で数千円程度)
【光熱費等】
・電気、水道、ガス:一般的な世帯で月額1万円~2万円程度
・住宅ローンの支払い例(借入額3,000万円、金利1%、35年返済の場合)
・月々の返済額:約8.5万円
以上を合計すると、月々の支出総額は以下のようになります。
住宅ローン返済額(8.5万円)+管理費等(3万円~8万円)+光熱費(1万円~2万円) = 合計:12.5万円~18.5万円程度
マンション購入を検討する際はこれらの費用を総合的に考慮し、
世帯収入の25%~30%以内に収まるよう計画を立てることをおすすめします。
特に、住宅ローンの返済額は今後数十年続くため、
将来の収入変動も考慮した無理のない計画が重要です。
まとめ
諸費用の詳細や具体的なシミュレーションについては、
ぜひ経験豊富な不動産会社へご相談ください。
プロのアドバイスを受けることで、
より確実な資金計画を立てることができます。
不安な点は遠慮なくお問い合わせください。
不動産のご相談ならウィローズ
資金計画の立て方が分からない、相談できるいい会社や担当者がいない
という方はぜひ武蔵小山最大級の不動産会社ウィローズにお任せ下さい。
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記事監修者
小林徳仁
ファイナンシャルプランナー
プルデンシャル生命保険株式会社品川第九支社でコンサルティング・ライフプランナーとして働く。
学生時代にAFP資格を取得後、証券会社を経て現職へ。お客様の人生設計を総合的な視点でサポートし、各分野の専門家とのネットワークを活かしながら、保険・金融のコンサルティングを行っている。
その実績は、生命保険と金融サービスの国際組織MDRTの会員に選出されるなど、高い評価を得ている。
ワイン、海外旅行、筋トレが趣味。