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【中古マンション】築30年のマンション購入しても大丈夫?

# 中古マンション

はじめに

中古マンションの数は年々増え、平均の築年数も年々古くなっていきます。当然売りに出される中古マンションの平均築年数も年々古くなっていて、2022年では平均28.16年です。つまり、これからは築30年くらいが平均になりそうです。しかし築30年のマンションを購入して大丈夫かな?と心配になる方も多いでしょう。そこで、新築マンションにはちょっと手が出ないけど、立地も良くて管理状況もより中古マンションを見極めてお得に不動産購入をしていきましょう。

本編

【中古マンション】築30年のマンション買って大丈夫?

日本でマンションが供給されるようになったのはいつごろか、ご存じですか?我が国最初の民間分譲マンションは1956(昭和31)年に分譲された「四谷コーポラス」だそうです。約67年前ということですね。当然ですが、中古マンションの数というのは、マンションはなかなか壊されないので、増える一方ですし、ストックが積み重なっていきますので、中古マンションの平均の築年数も年々古くなっていくわけです。(図1)そのため、当然売りに出される中古マンションの平均築年数は年々古くなっていて、2022年では平均28.16年となっています。

つまり、これからは築30年くらいが平均となっていきますし、築30年を超えてくるようなマンションの取引も増加すると考えられます。しかし、どうでしょうか?築30年のマンションを購入して、「長く住めるのだろうか?」「地震は大丈夫なのか?」と心配になる方も多いですよね。

そこで、今回の動画では、「築30年のマンションを買っても大丈夫?」というテーマで解説していきます。今日の目次は、

①築30年マンションの供給状況
②築30年の物件の特徴(他年代との比較)
➂築30年の資産性
④築30年で注意すること

になります。新築にはちょっと手が出ないけど、立地も良くて管理状況も良い中古マンションを見極めて、お得に不動産購入をしていきましょう!

 

中古マンションの築年数について、もっと詳しく知りたい人は、こちらの記事も参考にしてください。
◆【中古マンション】寿命・築年数の限界
◆【中古マンション】おすすめの築年数

【中古マンション】築30年のマンション買って大丈夫?

図1

築30年マンションの供給状況

まず、①築30年を超える中古マンション供給状況は、年々増加傾向にあり、これからも供給が増えていくことが予想できます。実際に、東日本レインズの「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況」(図2)によると、築30年以上の中古マンションの取引件数が最も高い数値になっています。

これからマンション購入を検討している方であれば、築30年経っているからダメ。と食わず嫌いのような形で一切検討しない場合は、お宝物件を見逃す可能性もありますので、そのようなマンションも無視できないのではないかなと思っています。しかし、実際に築30年を超えるようなマンションを検討するのであれば、築年数が浅いマンションよりも、注意して確認しておかなければならないポイントが多くなります。

築30年マンションの供給状況

図2

築30年の物件の特徴(他年代との比較)

そこで、②築30年の物件の特徴について解説していきます。

多くの中古マンション検討者にとって、築が古い物件で一番気になるところは、「耐震性」についてだと思います。その他にも管理状況についても気になられる方が多いです。築30年の中古マンションの特徴としては、これらの事があげられます。

・新耐震基準で建てられた物件が多い事
・大規模修繕工事が1回は済んでいる事
・敷地や居住空間が広い事
・駅近物件も多い事

これらが築30年前後の物件の特徴になります。それでは順番に解説していきましょう。

耐震については、歴史を紐解くと、1970年代、今から50年以上前からマンションの分譲は始まりましたが、築30年のマンションになると、今が2023年ですから、1993年前後ということになります。耐震については1981年6月に建築基準法の大改正がありまして、1981年よりも古い物件を旧耐震、1981年よりも新しい物件を新耐震と言っています。
つまり、築30年程度、1993年前後の物件は新耐震物件になるので、地震に対しては強いマンションと言えると思います。最近の免振や制振の、超耐震性能を有したマンションに比べると劣るところもありますが、1981年より古い旧耐震の物件と比べると、圧倒的に地震に対して強い構造となっています。
その為、築30年位経っていても、長く住めるので、資産価値が高いマンションと言えるとお思います。具体的には、新耐震基準というのは、「震度6以上」の大規模地震で建物が倒壊しないことが目安となっていますので、地震大国の日本では新耐震基準で定められた建築物かどうかは大切なチェックポイントになるでしょう。

次に、大規模修繕工事についてです。築30年の中古マンションになると、マンションの大規模修繕工事が1〜2回ほど完了していることが多いです。実際に、国土交通省のマンション長期修繕計画書作成ガイドラインにおいては、1回目の修繕工事は築12〜15年目程度、2回目の修繕工事は築24〜30年目程度で実施するように定められています。このように、大規模修繕工事が実施されている中古マンションは、適正にマンション管理が行われているということがわかるため、資産価値が高いマンションであることが伺えます。また、このような大規模修繕工事の有無や、実施計画などの管理状況を調べられるのも中古マンションのメリットです。

また、築30年の中古マンションであれば、敷地が広かったり、90㎡や100㎡を超えるような居住空間が大きなマンションが多いのがメリットです。近年、建築されているマンションは価格が上がってしまったので、同じ3LDKでもマンションの面積を少し狭くして、価格を抑えようとする傾向があります。90㎡100㎡を超えるようなゆとりのあるお部屋はタワーマンションの高層階などには見られますが、その分価格はかなり高くなってしまいます。とても手が届く物ではない事も多いです。築30年位経っているとそれなりに価格も新築に比べるとお求めやすいものになっている事も多いので、広いマンションを探したい場合は、築30年程度の物件を見られた方がおすすめだと思います。

また、築30年の中古マンションであれば、駅近などの利便性の高い物件が多いのが特徴です。先ほども解説したとおり、1990年代のバブルが崩壊してしまった時期に建てられたマンションも多いため、駅近にもかかわらず、リーズナブルなマンションも多いです。そもそも、1960年代から分譲マンションの建設ははじまり、その後、住宅金融公庫の融資制度が始まってから、建設ラッシュとなり、どんどんマンションが建てられていきました。
しかし、最近では都心の好立地に、マンションが建てられるような広い土地が既に残っていない事が多いので、新築や築浅物件は埋め立てのエリアや再開発のエリアが多くなっています。
好立地な物件を探す場合には、築30年の中古マンションは駅から近い好立地のものが多くなっています。

また、この時期に建てられたマンションには、すでにオートロックや宅配ボックスが設置されている物件も多いため、共働きの夫婦や、防犯性の高いマンションが欲しいという方にもおすすめできます。内装はいかようにもリフォームは出来ますが、共用部のオートロックや宅配ボックスは自分ひとりの力ではどうしようもないですからね。

築30年の資産性

さて、ここで気になってくるのが、➂築30年の中古マンションの資産性についてです。購入検討者にとって、自分が購入しようとしているマンションが、「あと、どれくらい住めるのか?」「耐震性は本当に大丈夫なのか?」「売却はできるのか?」など、気になることがあるでしょう。そこで、築30年の中古マンションの資産価値について解説していきます。

私も20年以上不動産の売買に携わってきて、中古マンションを検討されているお客様から「あと、どれくらい住めるの?」という質問はよくあります。マンションは「鉄筋コンクリート」造が多いですが、税務上の法定耐用年数が47年となっています。新築時から47年経過した時に価値が0円になるという計算です。
しかし、この耐用年数というのは、あくまで税法上の扱いとなっているため、実際のマンションが47年経つと使えなくなるという事ではありません。マンションなどに利用されているコンクリートであれば、適正な管理が実施されていれば、100年持つと考えられています。そのため、適正に管理されているマンションを選ぶことで、長く安心して住むことができます。特に外部の塗装が剥げて、コンクリートの中に水が浸入し、寒暖差によって膨れたり縮んだり膨張を繰り返して、コンクリートがひび割れるということが、マンションの寿命を早めます。しっかりと再規模修繕工事がなされていて、目視でも塗装のハガレなどが無い事を確認しておくととっても良いかとおもいます。

また、中古マンションは新築マンションと比較して、品質にばらつきがあるものです。先ほども解説したとおり、マンションの管理状態がよければ、築30年のマンションであっても、まだまだ現役で住むことができるマンションがある一方で、大規模修繕工事などが実施されていないマンションや、十分な修繕積立金が積立できていないようなマンションもなかにはあります。
マンションの管理状態によっては、マンションの配管の交換が適正にされていないため、水道から赤錆が出てきてしまい、とても、住める状態のマンションではなくなってしまうことも考えられます。築30年の物件で既に水道から赤錆びが出ているマンションは極めて少ないと思いますので、実際のお部屋をみて判断は出来ないのですが、修繕積立金の積み立て状況や、過去の修繕履歴や今後20年30年の長期修繕計画などをマンションの管理会社から取り寄せて、信頼できる不動産会社の方に内容をチェックして頂く事で、今後も管理されていく物件なのか、どんどん荒廃していくマンションなのかは判断が出来ると思います。
室内は個人の意向でリノベーションも出来ますので、新築同様にする事も可能ですが、共用部分、構造や配管に関する事は、個人の意向ではどうしようもないので、管理状況をしっかりとチェックする事が資産性を担保する事につながると思います。

次に将来の販売価格についてですが、当然築年数が経過したマンションのため、新築に比べると購入価格が安くなっているのが魅力になりますが、将来の売却価格も気になる方は多いでしょう。結論からお伝えしますと、築30年を経過したマンションになると、購入価格だけでなく、売却時にも、そこまで金額が落ちることなく売却できる可能性が高いです。
理由としては、マンションの下落率が最も高いのが、新築物件になります。新築物件は購入して入居するだけで扱いが中古になってしまうので、いわゆる新築プレミアが無くなってしまうので、新築後数年で価格が大きく下がることがよくありますが、築30年程度の中古マンションとなると、購入時にある程度価格が下がってしまっておりますので、底から急激に価格が下がるということはなく、なだらかに築年数に応じて価値が下がっていくので、将来の売却時もそこまで金額を落とすことなく、売却できるのがメリットです。実際に、東日本レインズ「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)」によると、築30年を超えるマンションだと、価格の下落率が小さいことがわかります。

築30年で注意すること

最後に④築30年のマンションを購入する際に注意する事ですが、新築マンションを購入する時よりも注意しなければならないポイントが多くなります。具体的に築30年の中古マンションで注意すべきポイントは、以下のように、ほとんどが管理に関する事になります。

①大規模修繕工事は計画的に実施されているか?
②修繕積立金の状況は?
③マンション管理業務は適切か?

まず一つ目の大規模修繕工事は計画的に実施されているかについてですが、中古マンションを購入する際には「大規模修繕工事」は計画的に実施されているのかを必ず確認するようにして下さい。マンションは「管理を買え」という格言を聞いたことがある方も多いでしょう。今回解説したとおり、マンションの管理状態によっては、赤さびが出てくるのか、70年〜100年と住み続けられるマンションなのかどうかが変わってくる可能性は充分あります。
マンションの構造体となっている「鉄筋コンクリート」やライフラインの「配管」が適正に管理されているかどうかになります。「鉄筋コンクリート」はマンションを支える重要な構造体であり、適正な修繕工事が実施されていない場合には、建物の寿命が短くなってしまう可能性があります。この適切な管理状態のマンションをチェックするために、「長期修繕計画書」を確認する必要があります。初心者の方では、「長期修繕計画書」の見方が分かりづらいこともあるので、信頼できる不動産会社の方と一緒に確認していくことがおすすめです。

次に修繕積立金の状況についてです。大規模修繕工事をしたくても、「修繕積立金」がたまっていないと出来ないですよね。「修繕積立金」は大規模修繕工事のために、住民の方々によって毎月コツコツ積み立てられている資金です。「修繕積立金」が新築当時から適正額積み立てられていれば、大規模修繕工事も計画通りに実施できることが予想されます。逆に、積立金額が適正でないマンションは、修繕工事ができない場合や、工事のための積立金を別途徴収されることも考えられますし、築30年経って、このままじゃマズイとばかりに急激に修繕積立金を増額する事もあります。
築30年の物件を購入する場合に、前30年間充分に積み立てられていない分、いわば前所有者の修繕積立金の不足分を、今後私達が高い積立金で穴埋めしなくてはらないというのは、負債を引き継ぐようなものですから、避けたいですよね。

また、普段のマンション管理業務は適切かもチェックしなければなりません。マンションの管理状態は管理会社から取り寄せた「書面」だけで確認するものではありません。日々のマンションの管理状態も確認しておくと、入居してからの住み心地だけでなく、入居者間の良好なコミュニティの形成に繋がっていきます。
たとえば、マンション共用部である廊下・駐輪場・ゴミ捨て場などは綺麗に保たれているか、エントランスにゴミなどが放置されていないかなどの確認をしましょう。また、共用部の掲示板やエレベータに張り紙がされている場合、そこは情報の宝庫です。夜中に騒いでいる住民がいるんだな。とか、ペット不可なのにペット飼っている人がいて問題があるんだな。とか、駐車場の空きが多いなとか、分かります。こういった、共用部には、綺麗かどうかだけではなく管理状態や入居者のモラルレベルが透けて見える事がありますので、情報を見逃さないように確認していきましょう。

いかがでしたでしょうか。「【中古マンション】築30年のマンション買って大丈夫?」というテーマで解説してきました。築30年マンションであっても、購入を検討するには十分の資産価値があり、駅近にもかかわらず、リーズナブルで購入することも可能なマンションがあります。また、気になる耐震基準についても、築30年程度であれば、「新耐震基準」をクリアしている物件も多いため、安心してマンションに住むことができますので、築30年程度のマンションは個人的にはねらい目。ありだと思っています。
しかし、中古マンションは「管理を買え」と言われるように、管理状態を調べて購入するということがとても大切になります。購入を検討される際は信頼できる不動産会社の方と一緒に「長期修繕計画書」「修繕積立金」についてしっかり調査していきましょう。

 

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まとめ

Point. 1

記事監修者

朝倉 大樹(宅地建物取引士)
株式会社ウィローズ 代表取締役

2000年不動産ベンチャー企業入社、28歳で最年少営業部長、29歳で最年少役員に抜擢。上場準備にも携わるが、リーマンショックによる倒産危機を経験するなど激動の20代を送る。
2012年株式会社ウィローズを創業。「お客様の利益を第一に」を理念に、売上高30億円を超えるグループ企業に成長。
不動産業界とお客様との情報の非対称性を解消するべくYouTube「不動産ポリス」を配信中。