はじめに
不動産価格が上昇するなか、「割安」とされるオーナーチェンジ(OC)物件に注目が集まっています。
一方で、「自宅用に買える?」「なぜ安い?」「ローンは?」といった疑問も多いはず。
本記事では、OC物件の基礎、価格が決まる仕組み(収益還元・利回り)、割安な理由、住宅ローンの可否、購入時の注意点とリスクまで、実務目線でわかりやすく解説します。
本編
オーナーチェンジ物件とは
実需物件とは?
市場に流通する物件の多く(体感8〜9割)は、空室で引渡しまたは所有者居住中→引渡し時に空室となるタイプ。
そのため、購入者は住宅ローンを組み、自ら居住する目的で購入します。
このように、自分が住むための不動産を「実需物件」と呼びます。
オーナーチェンジ物件とは?(入居者付き物件の意味)
入居者が賃貸中のまま売買される物件をOC物件と呼びます。
買主は家賃を受け取る貸主(オーナー)の地位を承継しますが、賃借人が退去するまで自分では住めません。
そのため、基本的に投資用不動産として扱われます。
実需物件とオーナーチェンジ物件の違い(早見表)
| 区分 | 実需物件 | オーナーチェンジ(OC)物件 |
| 引渡し時の状態 | 空室での引渡しが基本 | 入居者が居住中のまま引渡し |
| 購入目的 | 自己居住 | 投資 (賃料収入) |
| 価格決定軸 | 成約事例・内装・日当たり等の居住性 (感情要素も反映) |
家賃水準と利回り (収益性) |
| ローン | 住宅ローンが中心 | 住宅ローンは原則不可、投資用ローンが中心 |
| すぐ住めるか | 住める | 住めない (退去後のみ) |
価格はどう決まる?実需物件とオーナーチェンジ物件の違い
実需物件の価格(相場・近隣取引事例)
実需は近隣事例・同マンション内の成約事例をベースに、内装・眺望・日当たり・グレード・立地などの「住みやすさ」も加味。
気に入れば相場超でも成立することがあります。
OC物件の価格(収益還元法=利回りで決まる)
OCは収益性(利回り)が軸。代表的な考え方が収益還元法です。
※例
年間家賃収入150万円、期待利回り6% → 価格目安=150万円 ÷ 0.06 = 2,500万円
同じ広さ・同一棟でも家賃が低いほど価格は下がるのが実需との大きな違いです。
オーナーチェンジ物件の利回り計算と相場
利回りとは(表面利回り/実質利回り)
オーナーチェンジ物件の指標の一つに「利回り」があります。
利回りとは、不動産の購入価格に対する年間家賃収入の割合を示す指標で、投資物件の収益性を判断する際に重要な要素となります。
利回りには大きく分けて「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。
表面利回り= 年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100
実質利回り=(年間家賃収入 − 年間諸経費)÷ 物件価格 × 100
※諸経費:管理費・修繕積立金・固定資産税・火災保険・賃貸管理手数料など
※計算例
・物件価格2,500万円/年間賃料150万円 → 表面利回り=6.0%
・諸経費30万円の場合 → 実質利回り=(150−30)÷ 2,500 ×100=4.8%
利回り相場の目安(タイプ別)
都心部の区分マンション(築浅〜築20年):表面5〜6%前後
→家賃需要が安定、流動性は高いが利回りは低め
郊外・地方の区分:6〜8%程度
→空室・賃料下落リスクに注意。長期需要の確認が必須
一棟アパート/一棟マンション:7〜10%前後も
→規模メリットで収入安定も、修繕・管理コストは重い
築古(築30年〜):8%以上もあるが、修繕負担・入退去多め
オーナーチェンジ物件が割安な理由
1.自由に使えない(入居中で自己利用不可)
買ってすぐ住めず、需要が限定されるため価格は抑えられやすい。
2. 賃料の低さが価格を直撃(収益性で決まる)
同条件でも家賃が低いほど価格は下がる。
※参考:実需相場4,000万円の同一住戸でも…
年間賃料240万円×利回り6% ⇒ 4,000万円
年間賃料200万円 ⇒ 約3,333万円
年間賃料160万円 ⇒ 約2,666万円
→ 賃料次第で1〜2割以上ブレることも。
3. 投資家需要で相場が動く
「今は投資家が強気/弱気」など投資マインドの影響を受けやすく、結果として実需より価格の振れ幅が大きいことがあります。
オーナーチェンジ物件と住宅ローン
住宅ローンが使えないケースが一般的
住宅ローンは自己居住が前提。入居者付きで自分が住めないOCは原則対象外です(用途外)。
このため投資用ローン(アパートローン等)の利用や現金が前提になります。
投資用ローンの注意点(⾦利・頭金)
金利:住宅ローンの約1%前後に比べ、2〜4%台も珍しくない
頭金:2〜3割を求められることが多い
→ 実質利回りと返済額の綿密な資金計画が必須
オーナーチェンジ物件購入時のポイント
賃貸借契約書の確認と退去交渉
・普通借家契約
借主保護が強く、オーナー都合の退去は原則困難(正当事由+相当の補償が必要な場面も)。
・定期借家契約
満了で明渡し可(書面要件や説明義務など条件あり)。
自己利用予定があるなら、契約種別・満了時期・更新条件を必ず確認。退去交渉は立退料や代替提案が必要になることもあり、時間とコストがかかります。
管理会社・修繕履歴・固定資産税のチェック
管理会社:クレーム対応履歴、滞納率、賃貸管理手数料、募集力
修繕履歴/計画:直近の大規模修繕の有無、長期修繕計画、配管・防水・設備更新の見通し
固定資産税:年間コストとして実質利回りに直結。事前に納税額を確認
オーナーチェンジ物件のリスク
空室リスク
退去後に次の借主が見つからないと収益がゼロに。
募集賃料・募集力・立地需要を事前検証。
滞納リスク
滞納・督促・法的手続きの工数・費用負担。支払履歴・属性の確認を。
修繕費リスク
築古や一棟は突発修繕が重くなりがち。長期修繕計画と積立水準を要チェック。
売却時の流動性
実需より買い手が限定され、出口が遅い/価格が伸びにくい場合がある。
出口戦略(売却時期・目標利回り)を事前設計。
よくある質問(FAQ)
いつから住める?入居者が退去しない場合は?
入居中は住めません。賃貸借契約を承継するため、退去後に自己居住が可能。
普通借家は退去要請が難しいため、契約種別と更新有無の確認が必須です。
購入後すぐに売却できる?
売却自体は可能。ただし賃料水準×利回りで価格が決まるため、短期転売は仲介手数料・諸費用負けしやすい点に注意。
オーナーチェンジ物件は節税になる?
賃貸経営として管理費・修繕積立金・固定資産税・ローン利息等を必要経費として計上可能。
効果は所得状況等で変わるため、税理士へ事前相談がおすすめ。
まとめ
OC物件は、自己利用できない制約と賃料依存の価格決定ゆえに割安に見えることがあります。
一方で、住宅ローンが使えないことが多い/投資用ローンは金利が高め、さらに退去交渉・修繕費・空室・出口といった投資特有のリスクがあります。
購入前には、実質利回りの精査・契約種別の確認・管理体制と修繕計画・税コストまで含めた総合判断が不可欠です。
賢く見極め、あなたの目的(投資/将来の自己利用)に合う一手を選びましょう。
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