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2024.11.262024.11.26

築50年の中古マンション購入ガイド:リスクと資産価値を徹底解説

はじめに

「築50年の中古マンションって古いけど、購入しても大丈夫?」
「築50年だと再販売できるの?」
「そもそも、安心して住めるの?」

築50年と聞くと、老朽化や建て替えといった言葉が連想されることから
このような不安を感じる方も多いのではないでしょうか?

古いことにマイナスの要素があることは事実ですが、
マイナスな情報だけで判断してしまい最初から検討の選択肢から外してしまうのは賢明ではありません。

予算面や暮らしやすさ的に本当は自分の思い描く理想の住まいとなり得るマンションであるのに、
知らなかったという事から買い逃してしまうのは絶対に避けたいですよね。

そこで本記事では、築50年中古マンションの供給状況や特徴、購入時の注意点を解説し、
どのような方におすすめかを詳しく解説していきます。

本編

築50年中古マンションの供給状況

築50年中古マンションの供給状況として、ここでは、
・築41年以上の成約物件が増加傾向
・築41年以上の価格は大きく下落していない
について、解説します。

築41年以上の成約物件が増加傾向

近年、中古マンション市場において築41年以上の成約物件が増加しており、
築50年物件も同様に取引件数が増えていると推測されます。

2023年のデータによると、成約件数全体の約18%が築41年以上の物件となっています。
(参考)REINS TOPIC 中古マンション成約物件、築40年超の比率は全体の18%

特に都市部では、新築マンションの価格が高騰しているため、
中古マンションが現実的な選択肢として人気を集めていると言えるでしょう。

また、築50年の物件でもリノベーション需要の高まりを背景に注目を浴びています。
特に、駅近や市街地の物件は価格面だけでなく、利便性の高さからも一定の需要があり、
この傾向は今後も継続すると考えられます。

築41年以上の価格は大きく下落していない

築41年以上のマンションは、価格が大きく下落していないことが特徴です。
築31〜35年で一旦価格の底を打ち、築36年以上になると若干の価格上昇が見られます。
(参考)東日本不動産流通機構 の中古マンション築年対別平均平米単価

これは、立地の良い物件が多く、リノベーション後の価値が高いことが背景にあると言えるでしょう。
さらに、築50年の物件でも、修繕積立金や大規模修繕の履歴がしっかりしている場合、
資産価値を維持していることがあります。

適切に管理された物件であれば、築年数が古くても再販売時に大きな損失を出すリスクは低いと言えるでしょう。

築50年中古マンションの主な特徴

築50年中古マンションの主な特徴として、ここでは、
・価格が安い
・好立地物件が多い
・管理状況が把握しやすい
・歴史的価値がある
について、解説します。

価格が安い

築50年の中古マンションは、新築物件や築浅物件に比べて大幅に価格が安く設定されています。
新築マンションが5,000万円程度のエリアで、築50年の物件は3,000万円以下の場合もあります。
この差額をリノベーション費用に充てることで、理想の住環境を手に入れられると言えるでしょう。

築30年以降は築年数を経るにつれて価格が下落し続けているわけではないため、
長年に渡り住んでから売却したとしても、購入した時の金額と差がそこまで大きくはなく、
資産価値が維持されやすくなっています。
そのため資産として不動産を持っておきたいと思う人にとっては、
築50年を含む築古マンションを選択肢に入れるのも良いと言えるでしょう。

好立地物件が多い

築50年前後の中古マンションは、駅近や市街地中心部など、好立地の物件が多いのも魅力です。
50年前にはマンションを開発できる土地が多くあり、立地の良い場所に建てられていました。
一方、現在では開発できる土地が少なくなり、新築マンションであれば、
郊外や埋立地など、不便な立地に建築されていたり、駅近に建てられたとしても規模が小さいマンションがほとんどです。
立地の良さは、購入時の優先順位としてもかなり上位に位置付けられるため、
将来的な資産価値の維持にもつながると言えるでしょう。

管理状況が把握しやすい

築50年ともなると、複数回の修繕工事が実施されているため、修繕履歴や管理状況を確認しやすくなります。
管理組合がきちんと機能していれば、修繕積立金の計画性や過去の大規模修繕の履歴を確認することで、
物件の状態を把握できます。

大規模修繕の履歴が確認しやすいのは大きなメリットです。
大規模修繕はおよそ12年から15年の周期で行われるマンション全体を補修する工事であり、
実施するためには数千万から数億円のお金が必要になるため、修繕積立金が計画的に溜まっていないと実施できません。
そのため、この大規模修繕工事が定期的に実施できているマンションは、
管理組名がしっかりと機能している管理状態のいい物件であると言えるでしょう。

築古マンションにはそこに長く住んでいる住民も多く、住民間のコミュニティが醸成されていることが多くあります。
そのためどのような人たちが住んでいるのか、
住民同士のコミュニケーションはどのぐらい取れているのかなども調べやすくなります。
特に隣人トラブルなどは、物件購入後に分かるケースも多いため、事前に調べられることはメリットと言えるでしょう。

歴史的価値がある

築50年の中古マンションは、デザイン性が高いヴィンテージマンションとして評価されるものもあります。
特に1970年代の物件には、アーチ型の窓や個性的な外観デザインが見られるものがあり、独自の魅力を持っています。
現在の物件は建築資材や人件費高騰、建築予算の問題から、このような独特のデザインのものは減っています。
そのため高いデザイン性を誇る物件の一部は、ヴィンテージマンションと呼ばれ、高値で売買されるようになっています。

部屋の中のデザイン性はリノベーションで高められますが、
外観は個人では変更できず、建築当時の状態がそのままになります。
そのため、外観のデザイン性の高さはマンション独自の価値として評価されると言えるでしょう。

地域に根付いている

築50年の中古マンションは、長年その地域に存在しているため、地域とのつながりが深くなります。
住民同士のコミュニティが成熟しており、災害時の助け合いや日常生活での交流が期待できます。

地域に根差した暮らしを求める人にとっては大きなメリットと言えるでしょう。

築50年中古マンション購入時の注意点

築50年中古マンション購入時には、事前にしっかりと確認しておかなければならない注意点があります。
それらを確認しなかったことで実際に住み始めてから問題が発生し、
やはり築古マンションなど買わなければ良かったと強く後悔してしまう事があるかもしれません。

そこで、ここでは築50年中古マンション購入時の注意点として、
・旧耐震基準
・建物の老朽化
・管理組合の高齢化
・アスベスト問題
・建て替えの可能性
について、解説します。

旧耐震基準

1981年以前に建てられたマンションは旧耐震基準で設計されており、
耐震性能が現行基準に比べて低い可能性があります。

そのデメリットとしては、耐震性の基準が低い事から担保価値が低いと見なされ、
住宅ローン審査に通りにくくなります。

また、ローン残高に応じて所得税や住民税が最大で13年間減税される住宅ローン控除という制度がありますが、
旧耐震基準の物件は住宅ローン控除の対象外となってしまいます。
ただし、法律で定める耐震補強工事が行われており、
現代の耐震性と同等であると証明できる「適合証明書」が取得できていれば住宅ローン控除の利用が可能になります。

阪神淡路大震災や東日本大震災の被災状況的に、
実際には新耐震基準の物件よりも甚大な被害が出たというわけではありませんが、
耐震補強が行われていれば、地震による倒壊・損傷リスクが下がり、住んでいても安心と言えるでしょう。

旧耐震基準のマンションは住宅ローンが通りにくいことから、
売却に苦労して最終的に価格が下がってしまうケースがあります。
そのため、相場を正確に把握しておかないと、
最低限これぐらいで売りたいと思っていた金額より価格が下落してしまうことも考えられます。
将来的な売却を検討している人は周辺の相場や今後の価格動向を調べておきましょう。

建物の老朽化

築50年の物件では、給排水管やエレベーター、外壁などの設備が老朽化している場合があります。
給排水菅の寿命が来ている場合、漏水のリスクが高くなりますので内覧時に水漏れした跡がないか、
給排水菅を交換した履歴があるかどうかを調べておくと良いでしょう。

エレベーターの寿命は一般的に20年から30年と言われていることから、
築50年の中古マンションでは老朽化が進んでいる可能性が高くなります。

エレベーターを交換するためには高額な費用が必要になるため、
修繕積立金の状況や今後の修繕計画を必ず確認するようにしましょう。

さらに、このような配管や共用部分だけではなく、
建物の状態を確認する時には外壁タイルの剥落や鉄部の錆びつき、
防水層の劣化などを補修しているかまで見ておく必要があります。

管理組合の高齢化

築年数が経過すると、長く住む住民が多くなるため、管理組合のメンバーが高齢化しているケースが増えます。
これにより意思決定が滞る可能性があります。
管理組合の議事録や活動状況を確認し、管理が正常に行われているかをチェックすることが大事と言えるでしょう。

アスベスト問題

築50年の物件には、アスベスト含有建材が使われている場合があります。
アスベスト含有建材は壊したり劣化したりするとそれが飛散して人の肺に入り込み、肺がんなどの重い病気を引き起こします。

リノベーションする際にアスベスト含有建材が見つかると、法律により定められた方法で除去しなければなりません。
しかし除去には一般的に、1平方メートルあたり1万円から8万円程度かかり、費用が高額になります。
リノベーションを前提に マンションを購入する際はアスベストが使われているかどうかを調査し、
除去が必要な場合には専門業者に依頼するようにしましょう。

建て替えの可能性

老朽化が進んだマンションでは、建て替えの可能性が検討されることがあります。
建て替えすれば間取りや設備を最初から見直し、
現状の建物で感じている不満も全て解消できるというメリットがありますが、
組合の構成員である住民に費用の負担が発生する点には注意しなければなりません。

建て替えには多額の費用がかかり、修繕積立金だけで賄うことはほぼできず、
場合によっては数100万円の負担金が徴収される可能性があります。
また、工事期間中の仮住まいや新しい生活環境への適応も考慮する必要があると言えるでしょう。

マンションの建て替えは、組合構成員の4/5以上の賛成が必要であるため、
現時点ではそこまで多く実施されていないのが実情です。
築40年以上の中古マンションは全国に約100万戸あると言われていますが、
建て替えられたのはその内、1%程度と言われており、多くはこれからも長く住めるマンションであると言えます。

築50年中古マンションはこんな人におすすめ

築50年中古マンションは、
・自分らしい暮らしを追求したい人
・歴史やコミュニティを大切にする人
にとって、おすすめと言えます。
それぞれの内容について、解説していきます。

自分らしい暮らしを追求したい人

低価格で物件を購入し、リノベーションによって自分好みの空間を実現したい人におすすめです。

リノベーションに関しては、どんな設備を選ぶのか、デザインをどう考えていくかによって価格はある程度コントロールできるため、コストパフォーマンス良く、自分らしい暮らしをかなえられます。

(参考)【中古マンション×リノベーション】おすすめの築年数は○○年です。

歴史やコミュニティを大切にする人

ヴィンテージマンションや地域とのつながりを重視する人にも向いています。
古い物件の中にはヴィンテージマンションのように希少性が高いものもあり、
他の中古マンションと比較しても、歴史が古く資産性が高い物件を手に入れられる可能性があります。

数十年前からその地域にあるマンションでもあるため、
地域に根ざした生活を送り、近隣住民との交流を大切にできるメリットがあります。
万が一の時に住人同士で助け合える文化があれば安心して暮らせますし、
子供の成長を踏まえて周りの人とコミュニティを大切にしたい人にとっては、おすすめと言えるでしょう。

このように成熟したコミュニティや歴史ある建物に魅力を感じる人にとって、
築50年の中古マンションは魅力的な選択肢となります。

まとめ:築50年中古マンションの購入にあたり

築50年の中古マンションは、価格や立地の魅力に加え、独自のデザイン性やコミュニティの成熟度といった特徴があります。
一方で、耐震基準や老朽化、管理組合の高齢化といったリスクも伴います。

購入を検討する際には、物件の状態をしっかり確認し、
自分のライフスタイルや価値観に合った選択をすることが重要です。
理想の住まいを見つけるために必要な情報を集め、慎重に検討しましょう。

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(参考)【中古マンション】築30年のマンション購入しても大丈夫?
(参考)【中古マンション】築40年のマンション購入しても大丈夫?

まとめ

Point. 1

記事監修者

朝倉 大樹(宅地建物取引士)
株式会社ウィローズ 代表取締役

2000年不動産ベンチャー企業入社、28歳で最年少営業部長、29歳で最年少役員に抜擢。上場準備にも携わるが、リーマンショックによる倒産危機を経験するなど激動の20代を送る。
2012年株式会社ウィローズを創業。「お客様の利益を第一に」を理念に、売上高30億円を超えるグループ企業に成長。
不動産業界とお客様との情報の非対称性を解消するべくYouTube「不動産ポリス」を配信中。

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