はじめに
「築40年って古いけど本当に大丈夫?」と思っていませんか?不動産ポリスの朝倉です。ここ数年のマンション価格高騰から、新築物件はなかなか手を出すことができない価格になってしまいましたよね。その中で、比較的割安に購入できる築年数の経過した物件を検討する方も増えてきたように思います。実際、築40年くらいの築古マンションを選択肢に入れている方も多いのではないでしょうか。最近YouTube経由でポリスにご相談いただく方の中にも、「ポリスこの物件築40年ですけど、どう思いますか?」「長く住む物件として築古物件を検討しているんですけど、どうですかね?」というような質問が増えています。しかし、それくらいのマンションとなるとやはり「将来的に再販できるのか心配」「 ずっと住み続けられるか分からない」というような不安を感じてはいませんか?最初の数年くらいは問題なく暮らせそうだなと思っても、十数年先を考えた時に「本当に大丈夫なのかな?」と心配になり、決断しきれない、選択肢から外してしまう、という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、それは非常にもったいないです。築40年くらいのマンションには、実はかなりメリットがあります。それなのに、「なんとなく不安」という理由から、初めから選択肢を狭めてしまうと、本当に満足のいく物件が購入できず、「もっと幅広く検討すれば良かった」と後から後悔してしまうかもしれません。そこで今回は、中古マンション取引件数2500件以上の現役の社長である私不動産ポリスが「【中古マンション】築40年のマンション購入しても大丈夫?」というテーマで、次の4つの項目に分けて解説していきます。
①築40年マンションの供給の状況
②物件の特徴
③購入するときの注意点
④知らないと損!築40年がおすすめなのはこんな人
動画の後半では、築40年のマンションを購入するときに注意すべき点やポリスが考えるおすすめな人の特徴も解説していきますので、最後までお見逃しなく!それでは、いくぞ!
本編
①築40年の供給状況
まずは、築40年マンションの供給の状況から解説します。東日本不動産流通機構が公表した「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」(図1)によると、築40年マンションの供給量は、新規登録されたマンション全体の27.3%も占めているとされています。2013年は築40年マンションの供給量は全体の5.9%に過ぎませんでした。しかし、現在まで右肩上がりで増えており、2023年には直近10年間で最大の供給割合に達しています。この割合が増えた主な理由としては、新築マンションの供給量が年々減っていることが挙げられます。新しいマンションの建設が減ったまま、時間だけが経過すればもちろん全てのマンションの築年数も経過していきますので、全体で見たときに築古マンションの割合が増えていっているという状況です。また、東日本不動産流通機構が公表している「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」(図2)によると、築年帯別の成約㎡単価は築30年あたりで一度価格が1番下がっているものの、築40年になると少し上昇していることが分かるかと思います。
増加した要因として考えられるのは、築古マンションを業者が買い取ってリノベーションする買取再販物件の在庫数が多いことや駅近の物件が多いこと、リフォームやリノベーションして売却される物件があることなどです。つまり、築40年でもまだ資産価値があるということが言えると思います。そして、この供給量の多さと価格の動きを裏づけるように築40年以上のマンションの成約数も増加しており、2013年では全体の5.2%にも満たなかった割合が、右肩上がりに増加して2023年に18%に達しました。首都圏で売れているマンションの5つにひとつが、築40年以上というのには非常に驚きですね。
図1
図2
②築40年の物件の特徴
築40年マンションの供給量が増える理由は比較的単純ですが、なぜ築古にも関わらず成約数もここまで上がっているのか疑問に思う人もいますよね。そこで、ここからは、築40年の物件が選ばれている、その特徴について解説していきます。 具体的には、次の5つです。
①43年以内であれば新耐震基準
②値崩れしにくい
③ほとんどのマンションで大規模修繕工事が2回完了している
④大規模マンションが多い
⑤立地のいい物件が多い
それでは、順番に詳しく解説していきます。
①43年以内であれば新耐震基準
特徴の1つ目は、「築43年以内であれば新耐震基準」であるということです。新耐震基準の物件とは、1981年6月1日に施行された、震度6強~7程度の揺れでも家屋が倒壊・崩壊しないことが基準になっている建物です。それまでの旧耐震基準の物件と比べて、耐震性に関する規定が厳格化されています。これが施行されたのは、1978年に起きた宮城県沖地震の被害から、地震に強い建物の必要性が高まったことがきっかけです。つまり築40年のマンションなら耐震性が高く、地震が起きても気持ち的に安心ということですね。また、新耐震基準であることの重要性はこの耐震面だけではなく、住宅ローン控除にも関係してきます。
住宅ローン控除というのは、「年末時点での住宅ローン残高の0.7%」が、入居時から一般的な中古マンションに関しては10年間にわたって、所得税や住民税から控除される制度のことです。住宅ローンを借りる方にとっては、かなり有り難い制度ですよね。そして、この控除の恩恵を受けることができる条件の1つとしてあるのが、「新耐震基準」です。このようなことから、中古マンションを購入するにあたって「新耐震基準」であることは重要な条件であり、築40年くらいの物件は、これを満たしているという点が大きなメリットになります。
②値崩れしにくい
特徴の2つ目は、「値崩れしにくい」という点が挙げられます。先ほども解説した通り、マンションの価格は築30年くらいまでは年々下がっていくのですが、そこからは大きく下落することは基本的にはありません。そのため、築40年になっても築30年のときと比較して、あまり資産価値に差は出ません。つまり、買ったときの値段と、売却するときの値段の差もつきにくいわけです。逆に新築マンションを買うと、数年で一気に資産価値が落ちてしまうので、数十年後に売却すると売却金額が購入金額の半分以下になるケースもあります。このように、築40年くらいのマンションは大きく値崩れする可能性は低いので、特に資産性を重視して購入する方にとってはおすすめかなと思います。
③大規模修繕工事が2回完了していることが多い
特徴の3つ目は、「大規模修繕工事が2回完了していることが多い」という点です。大規模修繕工事というのは、経年に伴って劣化したマンションの建物や設備を定期的に修繕するもので、普段はなかなか実施することができない、建物自体を維持するための大がかりな工事になります。頻度としては、大体15年に1回くらいのペースで行われます。つまり、1回目は築15年前後で行われ、2回目に関しては、築30年前後で実施されるという感じですね。この修繕工事は、マンション全体の補修や共用部の設備を取り換えるので、1回につき数千万円から数億円もの費用が必要になります。そのため、実施するためには、数千万以上の修繕積立金をそこに住んでいる人たちみんなで計画的に貯めていかなければなりません。
そのため、築40年で問題なく2回の大規模修繕が終わっているマンションというのは、長期修繕計画に基づいて修繕積立金がちゃんと貯められている、つまり、管理組合がしっかり機能している良い管理状態の物件であるということが言えます。また、大規模修繕含めちゃんと管理が行われていると、建物全体や共用部分が改修されていることはもちろん、普段から綺麗に使用されていることも多いため、築年数が経過していたとしても暮らしやすいマンションであるかなと思います。このように、築40年となると大規模修繕の実施時期や内容によって、そのマンションの管理状態を見極めることができるというメリットがあります。
④大規模マンションが多い
特徴の4つ目としては、「大規模マンションが多い」という点が挙げられます。40年前にはまだまだ開発できる土地が多くあり、大規模なマンションが多く建築されていました。大規模なマンションは居住部分にゆとりをもたせているケースが多く、ファミリー向けで共用部分も広い傾向にあります。ファミリー向けの間取りは居住用のマンションとして需要が高く、資産価値を維持しやすくなります。また、大規模なマンションは総戸数が多いことから、一世帯あたりの修繕積立金が低くなる傾向があることも非常にメリットになります。月々の負担が軽くなれば、生活にもゆとりが出ますよね。特にファミリー世帯で大規模マンションを狙っている方にとっては、築40年くらいの物件も視野に入れると、選択肢が広がり自分たちにとってベストな決断ができる可能性が高くなると思います。
⑤立地がいい物件が多い
特徴の5つ目は、「立地が良い物件が多い」ということです。40年くらい前は、まだ駅の近くにも開発できる土地が多くあったことから、駅前などの立地が良い場所に建設されていることが多いという特徴があります。利便性の高いマンションというのは、ご自身が暮らしていく上でも生活しやすいですし、今後も継続して需要が高いことから資産価値的にも下落しにくくなるというメリットがあります。一方で、現在はというと開発が進んでしまい、駅前の好立地にはマンションを建築できるような土地はかなり少なくなりました。そのため、新築や築浅で立地の良いマンションを選ぶとなると、再開発エリアや埋め立てエリアになってしまいます。そのようなエリアの物件というのは、どうしても価格が高くなってしまったり、埋め立ての分、基本的には地震に弱い地盤であったりするので、慎重に選んでいかないといけません。このようなことから、比較的割安に購入できるかつ、駅近などの立地の良い場所に建てられていることが多い築40年くらいのマンションは、特に資産性を重視する方にとってはおすすめになります。
③注意点
このように築40年のマンションにはいい特徴が多くあるものの、購入するときには必ず確認しなければならない注意点もあります。それは次の3つです。
①旧耐震基準は再販にしにくくなる
②管理費や修繕積立金が値上がりする可能性もある
③老朽化は進んでいる
それでは、それぞれ詳しく解説していきます。
①旧耐震基準は再販にしにくくなる
まず1つ目は、「旧耐震基準は再販にしにくくなる」というものです。築43年以上のマンションは、旧耐震基準に該当します。先ほど解説したとおり、1981年6月1日以降に建てられたマンションは新耐震基準です。そして、それ以前に建てられたマンションは旧耐震基準になっています。旧耐震基準の建物は耐震性が低く、大きな地震が発生したときに損傷する可能性が高いので、金融機関は住宅ローンの担保としてあまり評価してくれません。自分が購入したときには住宅ローンを借りられたとしても、時間が経過してから売却するとなると更にローンが通りにくい物件になるおそれがあります。そのため、買い手の需要が低く、売却に時間がかかったり安くなってしまったりするケースもあります。
また、旧耐震基準のマンションは、原則、住宅ローン控除が使えません。所得税を長年にわたって減税できる制度なので、住宅ローンを利用して購入するのであれば活用したい制度ですよね。しかし、旧耐震であっても法令で定める耐震補強工事をして耐震基準適合証明書を取得できている物件であれば、住宅ローン控除が利用できますし、耐震面でも安心感がありますので、もし旧耐震基準の物件を検討するときは確認するようにしましょう。
②管理費や修繕積立金が値上がりする可能性がある
2つ目の注意点は「管理費や修繕積立金が値上がりする可能性がある」という点です。先ほどもお伝えしましたが、マンションは15年に1回程度の大規模修繕を行わないと、建物が老朽化して寿命が短くなってしまいます。この大規模修繕するには多額の費用がかかり、計画的に修繕積立金を貯めていかなければいけません。しかし、マンションによっては計画的に修繕積立金を貯められず、急場をしのぐために管理費や修繕積立金の値上げを実施するケースがあります。
また、新築当初は修繕積立金の金額を低く設定しておき、そこから段階的に増額していく「段階増額積立方式」という徴収方法を採用しているマンションの場合は、築年数が経過するにつれて徴収額が値上げされていく可能性が高いです。そうなると、購入してすぐに管理費・修繕積立金が値上がりしてしまうということがあるかもしれません。そのため、築40年くらいのマンションを購入するときには、信頼できる不動産会社の方と一緒に長期修繕計画書や総会議事録を確認して、修繕積立金が計画通りに貯まっているかを事前に調べるようにしましょう。
③老朽化は進んでいる
3つ目の注意点は、「老朽化は進んでいる」という点です。築40年ともなると、大規模修繕をきちんと行っているとはいえ、老朽化は時間の経過に伴い進んでいます。築年数が経過するにつれて、経年劣化は進んでいくという前提は忘れないようにしましょう。しかし、ここでも確認すべきポイントというのは、やはり「管理状態」です。原理原則的に老朽化が進んでいくことを防ぐことはできませんが、それが「どれくらいのスピードで進んでいくか」はメンテナンスの仕方によってある程度コントロールすることが可能です。管理組合がしっかり定期的な修繕を行っていることはもちろん、そこに住む人たちのマンション管理への意識がどれくらいかというのも重要なポイントになります。
全体的にマンション管理への意識が高いコミュニティが形成されていれば、物件自体の資産価値も維持されやすくなりますし、共有部分などが綺麗な状態であるため、気持ちよく日々の暮らしを送ることができるかなと思います。このような住民の管理への意識というのは、総会への出席率や議事録に記載されているトラブルの内容をチェックすることで確認できますので、こちらも信頼できる不動産会社の方と一緒に見てみるようにしましょう。
④こんな人に特におすすめ
ここまで、築40年の特徴や注意点というのをいくつか解説してきました。「あ、意外と築40年のマンションも選択肢に入れてみて良いかも」と思われた方も多いのではないでしょうか?そこでここからは、これまでの内容を踏まえて、ポリスが考える「こんな人は築40年がおすすめ!」という内容を解説していきます。結論から申し上げますと、おすすめなのは、
①ファミリー層
②自分のこだわり重視の方
以上の2つになります。それでは、それぞれ詳しく解説していきます。
①ファミリー層
まず、ファミリー層に関しては、人気のエリアの70㎡以上のファミリー向けの間取りを狙うなら、築古のマンションが狙い目になっています。理由としては、特徴の4つ目でもお伝えしたように、築40年くらいのマンションは開発できる土地が多くあった時代に建てられたため、ファミリータイプ向けの大規模分譲マンションが多くあるからです。この大規模マンションというのは居住数も多いため、管理費・修繕積立金の負担が少ない傾向にあるのもメリットです。ファミリー層は子どもの教育費といった費用もかかるので、管理費や修繕積立金が少しでも安くなると助かりますよね。
また、特徴の5つ目でも解説したように、比較的利便性の高い場所に建設されているものが多いため、子どもの通学や習い事への移動も踏まえて駅近の便利な立地に住みたいというファミリー層におすすめです。また、ファミリータイプを築浅物件で狙うとなると、タワマンや元々は街ではなかった勝どきや晴海のような埋め立てエリアに建設されたマンションなどが選択肢になります。タワマンやこのような地域は、価格が高いうえ、地盤が弱かったりお店や学校が少なかったりするのがデメリットになってしまいます。そのため、利便性やマンション規模、価格帯などを特に重視するファミリー層の方にとっては、築40年くらいがおすすめかなと思います。
②自分のこだわり重視の方
次に、「自分のこだわりの住環境で暮らしていきたい!」という方は、中古マンション×リノベーションという選択肢を取りやすい築古が狙い目になっています。理由としては、築年数が経過している物件は比較的割安な価格で物件自体を購入できるので、その分リノベーション費用に充てられる金額が多く確保することができます。自分でリノベーションすることで、デザインや設備、間取りなどを自分のこだわりが詰まった空間にすることができます。しかし、物件によっては工事の内容が制限されているケースもあるので、構造や管理規約をしっかり確認するようにすることが大切です。「立地がよくても古っぽさがあるのは嫌だな」「自分の理想の空間を叶えたいな」という方は特に、築古マンション×リノベーションを検討してみるのもおすすめかなと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は「【中古マンション】築40年のマンション購入しても大丈夫?」というテーマで解説していきました。築40年のマンションだと「古いしなんとなく不安だな…」という理由から、これまで敬遠していた方も多いのではないでしょうか。しかし、実は、今回解説したように築40年のマンションは、比較的購入しやすく値崩れもしにくい上に、立地が良い物件が多かったり管理状態を確認しやすかったりするというメリットがあります。そのほかにも、最近人気が高まっているリノベーションをしやすいという特徴もあるんですね。このような理由から、最初から敬遠せずにしっかり情報収集してみると、私不動産ポリスとしては、実はまだまだ築40年のマンションもありだと思っています。しかし、動画の後半で解説したような注意点もありますので、そこはしっかり押さえたうえで検討して欲しいなと思います。
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