はじめに
こどもみらい住宅支援事業は、2021年11月26日に閣議決定された補助金事業です。「こどもみらい」とありますが、対象は子どもがいる家庭に限らず、夫婦のいずれかが39歳以下であれば利用できました(制度は終了)。
本記事では、制度や補助金の内容、利用する際の注意点などを解説していきます。うまく活用することで、住宅ローン控除とあわせて、費用を抑えつつ快適な住まいを取得できますので、参考にしましょう。
本編
こどもみらい住宅支援事業の制度概要と対象者・補助額まとめ
こどもみらい住宅支援事業とは
こどもみらい住宅支援事業は、2021年11月26日に閣議決定された補助金制度です。
対象となるのは、その日以降に請負工事契約を締結した方や、新築分譲住宅を契約した方です。
ただし、2022年10月末までに住宅を着工していなければ対象外となります。
また、2021年度の補正予算として542億円が計上されており、補助金は予算がなくなり次第終了となります。
登録事業者との契約が必須
こどもみらい住宅支援事業の補助金を受けるためには、国が認定した登録事業者(国の登録を受けた事業者)と契約を結ぶことが条件となっています。
対象となるのは、注文住宅の請負契約や新築分譲住宅の売買契約、さらにリフォーム工事の契約などです。登録事業者以外との契約では補助金を申請できませんので、住宅会社や工務店を選ぶ際には、「こどもみらい住宅支援事業の登録事業者」であるかを確認することが重要です。
対象となる「子育て世帯・若者夫婦世帯」の定義
こどもみらい住宅支援事業の対象者は、18歳未満の子どもがいる家庭、または夫婦のいずれかが39歳以下の家庭です。条件は「または」であり、18歳未満の子どもがいれば夫婦共に40歳以上でも利用できました(制度は終了)。
一方、子どもがいなくても夫婦のどちらかが39歳以下であれば利用可能です。
さらに、シングルマザーやシングルファザーであっても、子どもが18歳未満であれば対象となります。
新築の補助額(100/80/60万円)と要件|リフォームは最大60万円
こどもみらい住宅支援事業では、住宅の性能によって補助金額が異なります。
ZEH住宅の場合は100万円、長期優良住宅の場合は80万円、断熱性能等級4かつ一次省エネ等級4以上の住宅は60万円が交付されます。
なお、都市部で屋根面積が小さくZEHで求められる発電量を満たせない場合でも、Nearly ZEH、ZEH Ready、ZEH Orientedなどの省エネ性能を持つ住宅であれば100万円の補助金対象となります。
※当時の要件では対象扱い(区分により対象)
また、長期優良住宅だけでなく、認定低炭素建築物、性能向上計画認定住宅も80万円の補助金対象です。これから建築を検討する際には、依頼する工務店の仕様がどのランクに対応しているかを確認することが重要です。
補助上限引き上げ制度(特例)
こどもみらい住宅支援事業では、子育て世帯・若者夫婦世帯を対象に補助上限が引き上げられる特例が設けられています。
新築・リフォームのどちらにも対応していますが、対象住宅の性能区分によって上限額が異なります。以下の表に、新築とリフォームの補助額を比較してまとめました。
| 区分 | 対象住宅の性能基準 | 新築の補助上限額 | リフォームの 補助上限額 |
| ZEH住宅(ZEH/Nearly ZEH/ZEH Ready/ZEH Oriented) | 高断熱+再エネ搭載 | 100万円 | 最大60万円 |
| 長期優良住宅・認定低炭素建築物・性能向上計画認定住宅 | 高耐久・省エネ性能 | 80万円 | 最大45万円 |
| 断熱性能等級4+一次エネ等級4以上の住宅 | 標準的省エネ住宅 | 60万円 | 最大30万円 |
住宅ローン控除・併用可能制度との関係
こどもみらい住宅支援事業は、住宅ローン控除やその他の住宅支援制度とあわせて活用することで、さらに大きな経済的メリットを得られます。
住宅ローン控除では、一般住宅の控除対象額が3,000万円に縮小された一方、長期優良住宅は5,000万円、ZEH住宅は4,500万円まで拡充されています。
こどもみらい住宅支援事業の補助金を受けながら、これらの優遇税制を併用すれば、初期費用の負担を軽減しつつ、長期的にも税制面での恩恵を受けることが可能です。また、省エネ住宅や長期優良住宅に関する他の補助制度(地方自治体の助成金など)と重複適用できるケースもあります。
申請方法と必要書類まとめ
契約・着工・申請のタイミングと注意点
こどもみらい住宅支援事業には、契約・着工・申請に関して明確な期間区分が定められています。
注文住宅の請負契約や新築分譲住宅の売買契約は、2021年11月26日から2022年10月31日までに締結したものが対象となります。さらに、建築着工や補助金申請についても同様に2022年10月31日までに行う必要があります。
これらの期間を過ぎている場合、こどもみらい住宅支援事業の補助金は利用できないため、契約時期や申請期限を確認することが重要です。
工事期間制限や申請締め切りの規定
リフォーム工事についても同様に、工事の完了時期と申請期限が規定されており、工事完了報告や必要書類の提出が期限内に行われないと補助金を受け取れません。
こどもみらい住宅支援事業を利用する際は、契約日・着工日・申請日をすべて確認し、登録事業者と連携してスケジュール管理を徹底することが重要です。
制度変更・予算枠の影響リスク
こどもみらい住宅支援事業は、国の補正予算によって運用される期間限定の補助金制度であり、制度内容や予算枠の変動によって申請可能な条件や補助額が変更されるリスクがあります。
実際に本制度でも、2021年度補正予算として542億円が計上されましたが、申請が集中したことにより、2022年11月には予算上限に達して受付が終了しました。
また、こどもみらい住宅支援事業の事務局による事務取扱いは、2025年9月30日まで(2025年2月時点の情報)とされています。ただし、本制度の申請受付自体はすでに終了しており、今後は後継制度(例:こどもエコすまい支援事業など)が実施されています。
今後同様の支援制度が新設・改定される可能性もあるため、国土交通省や登録事業者から最新情報を随時確認することが大切です。
リフォーム・改修でのこどもみらい住宅支援事業活用方法
こどもみらい住宅支援事業は新築住宅だけでなく、既存住宅のリフォームや改修工事も補助対象となります。
断熱・省エネ改修の対象工事と補助額例
例えば、窓やドアの交換による開口部の断熱改修や、外壁・屋根・天井・床などの断熱材の追加施工が対象となります。また、高効率給湯器や太陽熱利用システムの設置など、エネルギー消費を抑える住宅設備の導入も補助の対象です。
補助額は工事内容や施工箇所の数によって異なりますが、合計で5万円以上の工事が対象となり、最大で60万円の補助を受けられました。
バリアフリー改修・耐震改修などの補助対象
断熱や省エネ工事に加えて、バリアフリー改修や耐震改修といった安全性・快適性を高めるリフォームも補助対象となります。
バリアフリー改修では、手すりの設置・段差の解消・廊下や出入口の拡張など、高齢者や子どもが安心して暮らせる住環境を整える工事が対象です。
さらに、滑りにくい床材への変更や浴室・トイレの安全対策なども補助の対象に含まれます。
また、耐震改修については、既存住宅の耐震診断結果に基づく耐震補強工事が対象となり、住宅の耐震性能を現行基準まで引き上げる場合に補助金を受け取れます。
複数改修を行う場合の補助の扱い
複数の改修工事を同時に行う場合、それぞれの工事項目に応じて補助額が加算されます。
例えば、断熱改修・省エネ設備の導入・バリアフリー改修などを組み合わせると、各工事の補助額を合算して申請することが可能です。ただし、合計の補助額が5万円未満の場合は申請対象外となるため注意が必要です。
また、上限額は1戸あたり最大60万円までと定められており、子育て世帯や若者夫婦世帯の場合は特例により上限が引き上げられるケースもあります。
よくある落とし穴|面積・性能・期限・併用制限
性能基準を満たさない住宅・制約条件
こどもみらい住宅支援事業を利用して住宅を建てる場合、都心部の狭小住宅では注意が必要です。
長期優良住宅の認定にはワンフロアあたり40㎡以上の床面積が必要となりますが、都心の狭小一戸建てではこの基準を満たせず、長期優良住宅の認定が受けられないケースがよく見られます。
また、太陽光発電を搭載する場合でも、都心の3階建て住宅では屋根が斜めになっていることが多く、北側斜線の制約により屋根が北向きとなるケースも少なくありません。
その結果、太陽光パネルを設置しても十分な発電量が得られない場合があります。
このように、こどもみらい住宅支援事業を活用する際には、性能基準の条件や都心特有の制約を踏まえ、ハウスメーカーに細部を確認しておくことが大切です。
費用対効果をきちんと見極める
ZEH仕様にする場合、追加で約150万円の費用がかかることもあります。
しかし、住宅ローン控除の上限が一般住宅の3,000万円から4,500万円に拡大され、さらに補助金として100万円が受けられるため、実質的な負担増は抑えられるケースがあります。
こどもみらい住宅支援事業を活用してZEHや長期優良住宅を選択すれば、補助金や控除の恩恵を受けつつ住宅性能が向上し、より快適な住環境を得られる点も大きなメリットです。
延べ面積・床面積下限規定
こどもみらい住宅支援事業を利用するには、住宅の延べ面積や床面積に一定の下限規定があります。
床面積は壁の中心線で囲まれた部分の水平投影面積を基準とし、吹き抜けやバルコニー、メーターボックスなどは除外されます。これらの規定を満たしていない住宅は補助金の対象外となるため、注文住宅や新築分譲住宅を検討する際には、設計段階で延べ面積と床面積が要件を満たしているかを確認することが重要です。
補助金申請後の交付決定までのリスク
こどもみらい住宅支援事業の補助金は、申請後すぐに交付されるわけではなく、事務局による審査を経て交付決定が行われます。そのため、申請内容に不備があったり、必要書類が不足していた場合は、審査が遅延したり交付が認められないリスクがあります。
また、補助金は国の予算枠内で運用されるため、申請件数が想定を超えた場合には、予算上限に達して交付が打ち切られる可能性もあります。
特に制度終了間際は申請が集中しやすく、審査期間が長期化する傾向があります。
他制度との併用制限
こどもみらい住宅支援事業は、同一の工事内容に対して他の国の補助制度を併用することは原則できません。代表的な併用不可制度としては、「次世代住宅ポイント制度」「住宅エコポイント制度」「こどもエコすまい支援事業」「地域型住宅グリーン化事業」などがあります。
これらは目的や対象工事が重複しているため、同じ工事で同時申請すると重複助成(ダブル補助)となり、いずれか一方しか認められません。
ただし、自治体が独自に実施している補助金制度で、対象や目的が異なる場合は併用できるケースもあります。例えば、こどもみらい住宅支援事業で断熱改修の補助を受けつつ、自治体の「耐震改修補助」や「バリアフリー改修補助」を利用することは可能です。
併用可否は地域や工事内容によって異なるため、事前に登録事業者または自治体窓口に確認することが重要です。
活用戦略:補助金を最大限に使う方法
補助対象性能を意識した住宅・設備選び
こどもみらい住宅支援事業の補助金を最大限に活用するためには、まず補助対象となる住宅性能や設備仕様を意識して選ぶことが重要です。
例えば、ZEHや長期優良住宅、認定低炭素建築物などの高性能住宅を選ぶと、補助額が大きくなります。さらに、断熱性能等級や一次エネルギー消費等級などの基準を満たすことで、補助対象の幅が広がります。
また、リフォームの場合でも、省エネ設備や高効率給湯器、断熱改修など、性能を高める工事を組み合わせることで、より多くの補助を受けられました。
業者選びのポイント(登録業者・見積もり精査)
こどもみらい住宅支援事業を利用するには、登録事業者との契約が必須条件です。
補助金を受けるためには、工務店やハウスメーカー、リフォーム会社が制度の登録事業者であることを確認しなければなりません。また、同じ内容の工事でも、業者によって見積もり金額や対応範囲に差があるため、複数社から見積もりを取り比較検討することが大切です。
特に、補助金を見込んだ提案をしてくれる事業者を選ぶことで、制度を効果的に活用しながらコストを最適化できます。
資金計画との兼ね合い(借入額・自己資金)
こどもみらい住宅支援事業の補助金は、建築やリフォームにかかる費用を軽減するうえで大きな助けになりますが、全額を補助で賄えるわけではありません。
そのため、住宅ローンの借入額や自己資金の配分をしっかりと計画することが重要です。
住宅ローン控除と併用する場合は、ZEHや長期優良住宅などを選ぶことで控除額の上限が拡大し、長期的な資金負担を軽減できます。
また、補助金の交付時期は工事完了後になるため、一時的な資金繰りにも注意が必要です。
将来の家の価値を見据えた投資視点
こどもみらい住宅支援事業を活用して建てた高性能住宅は、将来の資産価値を維持しやすいという大きなメリットがあります。
省エネ性能や断熱性能が高い住宅は、光熱費の削減だけでなく、将来的な売却や賃貸時にも評価が高くなりやすい傾向があります。
また、長期優良住宅やZEH住宅は、次世代の住宅支援制度でも優遇対象となることが多く、結果的に長期的な投資価値を高める選択となります。
単に補助金を受け取ることだけを目的とせず、住宅性能の向上を通じて資産価値を高めるという視点を持つことで、より賢い住まいづくりが可能になります。
まとめ
こどもみらい住宅支援事業を賢く活用しよう
こどもみらい住宅支援事業は、2021年に閣議決定された補助金制度であり、新築やリフォームする子育て世帯・若者夫婦世帯を中心に大きなメリットを提供してきました。
ZEHや長期優良住宅といった住宅性能の区分に応じて補助金額が設定され、住宅ローン控除とも組み合わせることで、実質的な負担を大幅に抑えることが可能です。また、本制度は登録事業者との契約が必須であり、リフォームや改修工事にも補助金が適用される点が特徴です。
さらに、子育て世帯や若者夫婦世帯に対しては補助上限が引き上げられる特例もあり、より多くの支援を受けられる仕組みになっていました。
ただし、契約・着工・申請には期限が設けられており、対象外となるケースも少なくありません。
対象住宅性能区分も明確に定められているため、補助金を利用するには事前の確認が欠かせません。
こどもみらい住宅支援事業はすでに申請受付が終了していますが、今後の住宅関連支援制度や税制優遇を活用するうえでも参考になる制度です。
住宅購入やリフォームを検討する際には、制度の内容や適用条件をしっかりと理解し、将来にわたって快適で安心できる住まいづくりに役立てていくことが大切です。
不動産のご相談ならウィローズ
資金計画の立て方が分からない、
相談できるいい会社や担当者がいないという方はぜひ
武蔵小山最大級の不動産会社ウィローズにお任せください。
お客様のご要望に合った物件をご提案させていただきます。お気軽に公式LINEからご相談ください。