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投稿日:2021.06.04  
最終更新日:2025.09.05

ペアローンのメリット・デメリットを徹底解説!リスクを抑えた返済計画のポイント

不動産購入

はじめに

夫婦で住宅ローンを組む「ペアローン」は、それぞれが銀行から住宅ローンを借りることで、合計の借入金額を増やせる仕組みです。

この制度を利用することで、住宅購入の予算を引き上げ、より理想的な住まいを選択できる可能性があります。

また、住宅ローン控除を二人分適用できるため、税制上のメリットもあります。

しかし、その一方でリスクも存在します。

本記事では、ペアローンの基礎知識から、利用時の注意点、メリットとデメリット・リスクについて解説していきます。

自分にとって最適な住宅ローンの組み方を考える際の参考にしましょう!

本編

ペアローンの基礎知識

ペアローンの基礎知識として、ここでは、

・ペアローンとは?
・ペアローンの仕組みと契約方法
・ペアローンと連帯保証・連帯債務の違い

について、解説していきます。

ペアローンとは?

ペアローンとは、夫婦がそれぞれ住宅ローンを借りることで、合計の借入可能額を増やせる仕組みです。

一人の収入では希望する物件のローンを組めない場合でも、配偶者の収入を合算することで、必要な資金を確保できる可能性があります。

例えば、5,000万円の物件を購入する際に、夫の年収が500万円の場合、一人では4,000万円程度が借入上限となります。

しかし、妻の年収が300万円ある場合、妻も1,000万円のローンを組むことで、合計5,000万円の借入が可能になります。

このように、夫婦それぞれでローンを組むことで、より高額な物件の購入が実現できます。

ペアローンとは

ペアローンの仕組みと契約方法

ペアローンでは、夫婦がそれぞれ別々に住宅ローン契約を結びながら、同一の不動産を共有名義で購入します。

まずは、夫婦それぞれで銀行にローンを申し込み、年収などに応じた審査を受けます。

各自が希望する借入額や金利タイプ、返済期間を選択し、合計で必要な資金を賄う仕組みです。

契約時には「共有名義の持分割合」の決定が重要で、税金や相続時の扱いに影響します。

また、夫婦それぞれが団体信用生命保険に加入する必要があり、審査通過が契約成立の前提となります。

最後に、各自の名義で登記手続きをし、ローン契約が完了します。

ペアローンと連帯保証・連帯債務の違い

ペアローンは、夫婦それぞれが別々のローン契約を結ぶ仕組みで、各自が自分の借入に対して責任を持ちます。
これに対して「連帯保証」や「連帯債務」は、契約形態が異なります。

「連帯保証型」は、一方が主たる債務者となり、もう一方は保証人として責任を負う形です。

主たる債務者が返済できなくなった場合、保証人が代わりに全額返済する義務がありますが、保証人には住宅ローン控除などの税制メリットはありません。

一方、「連帯債務型」は、夫婦でひとつのローンを組み、両者が等しく返済義務を負う仕組みです。

この場合、どちらかが返済不能になっても、もう一方が全額を支払う義務があります。

住宅ローン控除は、収入に応じて持分割合に応じた控除が受けられます。

ペアローンは、これらと異なりそれぞれが独立したローン契約者となるため、住宅ローン控除を2人分フルに活用できる反面、返済責任も完全に分かれている点が大きな特徴です。

ペアローン利用時の注意点と前提条件

ペアローン利用時の注意点と前提条件として、ここでは、

・同一金融機関・同一契約日での申し込みが必要
・持分割合は借入額に応じて設定される
・団体信用生命保険(団信)は2人分必要

について、解説していきます。

同一金融機関・同一契約日での申し込みが必要

ペアローンを利用する際は、夫婦それぞれが別々にローン契約を結ぶとはいえ、同じ金融機関で同時に申し込むことが原則となります。

これは、ひとつの物件に対して二重の担保設定を行うため、金融機関がローンを一体の取引として取り扱う必要があるからです。

また、契約日も同一であることが求められるため、スケジュール調整にも注意が必要です。

どちらか一方の審査が遅れると、もう一方の契約にも影響が及ぶ可能性があります。

このため、事前に金融機関や担当者と十分に調整を行い、夫婦ともに必要書類や手続きを揃えて進めることが重要です。

持分割合は借入額に応じて設定される

ペアローンでは、夫婦それぞれが別々に住宅ローンを契約するため、物件の所有権(持分)も借入額の割合に応じて分ける必要があります。

例えば、総額5,000万円の物件に対して、夫が3,000万円、妻が2,000万円のローンを組む場合、所有権の持分は「夫60%:妻40%」として登記されるのが原則です。

この持分割合は、後の住宅ローン控除や、将来の売却・相続にも影響するため、曖昧な割合ではなく、借入比率に基づいた適切な設定が求められます。

また、持分割合と実際の返済額が一致していない場合、贈与とみなされるリスクもあるため、税務上のトラブルを避けるためにも注意が必要です。

団体信用生命保険(団信)は2人分必要

ペアローンでは、夫婦それぞれが個別に住宅ローンを契約するため、団体信用生命保険(団信)もそれぞれが加入する必要があります。

これは、万一の際にそれぞれのローンを完済するための仕組みであり、夫婦のどちらか一方が亡くなっても、もう一方のローンは残るという点に注意が必要です。

例えば、夫婦でそれぞれ2,500万円ずつ借り入れていた場合、夫が亡くなれば夫のローン2,500万円は団信により完済されますが、妻のローン2,500万円はそのまま支払いが続きます。

また、団信の保険料や保障内容は各自で異なるケースもあり、健康状態によっては団信に加入できない可能性や、保障内容に差が出ることもあるため、事前の確認が重要です。

ペアローンのメリット

ペアローンのメリットとして、ここでは、

・借入可能額が増える
・高額ローンの審査に有利
・ペアローンで住宅ローン控除を倍にできる
・夫婦それぞれが異なる返済条件を設定できる

について、解説していきます。

借入可能額が増える

住宅ローンの借入額は、一般的に年収の7〜8倍が目安とされています。

例えば、夫の年収が500万円の場合、単独では3,500万〜4,000万円程度が借入可能額の目安です。

しかし、妻の年収が300万円あると、約2,000万円の追加借入が可能となり、世帯全体で5,500万〜6,000万円のローンを組めます。

現在は共働き世帯が増えているため、ペアローンを利用することで、より理想的な物件を購入できるケースが多く見られます。

高額ローンの審査に有利

住宅ローンの借入上限は通常1億円とされています。

例えば、年収2,000万円の方が単独でローンを組む場合、年収の7倍にあたる1億4,000万円のローンを借りることは難しくなります。

しかし年収が、夫1,000万円、妻1,000万円のパワーカップルであれば、それぞれ7,000万円ずつ借りることで、合計1億4,000万円のローンが比較的通りやすくなります。

このように、ペアローンを利用することで、借入の選択肢が広がる点も大きな利点と言えるでしょう。

ペアローンで住宅ローン控除を倍にできる

住宅ローン控除とは、住宅ローンの借入残高の1%が所得税や住民税から還付される制度で、適用期間は10年から13年と長期間に渡ります。

ただし、この控除には上限があり、単独でローンを組んだ場合、控除対象となる借入残高は最大4,000万円です。

そのため、仮に7,000万円のローンを組んでも、控除の対象となるのは4,000万円分のみとなり、年間40万円が上限となります。

(参考)逆引き!令和3年税制改正対応!買主目線で超わかりやすい住宅ローン控除(後編:中古マンション編)

ペアローンで控除額が増える仕組み

ペアローンを利用すると、夫と妻がそれぞれローンを組むため、住宅ローン控除の適用を分ける事ができます。

例えば、7,000万円のローンを夫3,500万円、妻3,500万円で組んだ場合、それぞれが最大控除額を適用でき、年間35万円ずつの控除を受けられます。

その結果、世帯全体では年間70万円の控除を受けることが可能になります。

この差は10年間で考えると、単独ローンの場合は最大400万円の控除ですが、ペアローンでは合計700万円の控除を受けられる計算になります。

結果として、控除額の差が300万円にもなるため、ペアローンを利用することで大きな節税効果が期待できると言えるでしょう。

夫婦それぞれが異なる返済条件を設定できる

ペアローンでは、夫婦それぞれが個別に住宅ローン契約を結ぶため、金利タイプや返済期間、返済額を個別に設定することが可能です。

これは、単独ローンや収入合算型のローンにはない柔軟性の一つです。

例えば、夫は固定金利で35年ローン、妻は変動金利で25年ローンを選ぶといったこともできます。

これは、以下のようなライフプランに合わせてローン設計ができるという点で大きなメリットとなります。

・夫は将来も長く働く予定なので返済期間を長めに設定
・妻は定年前に完済したいので短めの返済期間を選択
・一方が安定収入を得ているため、固定金利でリスクを抑える
・他方は多少の変動リスクを取って金利を抑えたい

このように、それぞれのキャリアや収入見通し、家計の考え方に合わせて最適な返済条件を選べることが、ペアローンの隠れた利点です。

特に将来的に「時短勤務」や「退職」などライフスタイルの変化が想定される場合には、この柔軟性が大きな安心につながると言えるでしょう。

ペアローンのデメリット・リスク

ペアローンはメリットが大きいように感じられますが、デメリット・リスクも存在します。

ペアローンのデメリット・リスクとして、ここでは、

・万一の際にローンが残るリスク
・収入の変動による返済リスク
・出産・育児による影響
・離婚時にトラブルになりやすい

について、解説していきます。

万一の際にローンが残るリスク

住宅ローンを組む際には、一般的に団体信用生命保険(団信)が適用されます。

これは、ローン契約者が死亡または高度障害になった場合に、残りのローンが保険で完済される制度です。

単独で5,000万円のローンを組んだ場合、契約者が亡くなるとローンは全額保険で弁済され、家族に返済負担が残ることはありません。

しかし、ペアローンを利用して夫2,500万円、妻2,500万円でローンを組んでいた場合、団信はそれぞれの契約者に適用されるため、一方が亡くなってももう一方のローンはそのまま残ります。

例えば、夫が亡くなった場合、夫の2,500万円分のローンは保険で弁済されますが、妻の2,500万円分のローンは引き続き返済が必要になります。

この点は、単独ローンと異なる重要なリスクであるため、ペアローンを検討する際には十分な注意が必要と言えるでしょう。

収入の変動による返済リスク

ペアローンのもう一つのデメリット・リスクは、収入の変動に弱い点です。

単独でローンを組んだ場合、契約者の収入が減少しても、配偶者の収入で補填することが可能です。

また、専業主婦(主夫)の場合は、必要に応じて働きに出ることで家計を支える選択肢もあります。

しかし、ペアローンでは夫婦それぞれがローンを負担するため、どちらかの収入が減少した場合、その分の支払いが一気に重くなります。

特に、一方が働けなくなった場合や収入が減った場合には、家計全体の負担が増大する可能性があります。

出産・育児による影響

収入減少の代表的なケースとして、出産や育児が挙げられます。

共働きでペアローンを組む際には「支払いは折半」「家計は別々」といった考え方をする人も多いですが、実際には育児期間中にフルタイムで働くことが難しくなることがあります。

例えば、妻が育児のために働けなくなった場合、ペアローンで組んだローンの支払いが重くなり、家計が圧迫される可能性があります。

また、出産や育児のために仕事を辞めると、住宅ローン控除の適用も受けられなくなります。

住宅ローン控除は「支払っている所得税が戻ってくる」仕組みのため、収入がゼロになると還付も受けられなくなります。

離婚時にトラブルになりやすい

ペアローンは、夫婦それぞれが個別に住宅ローンを契約し、同じ物件を共有名義で所有する仕組みです。

そのため、離婚によって夫婦関係が解消された場合でも、物件の所有権とローン返済義務はそのまま残ってしまうという問題が発生します。

例えば、以下のようなトラブルが実際に起こり得ます。

物件の名義変更・売却がスムーズにいかない
物件を売却してローンを清算しようとしても、ローン残債が物件価格を上回っていれば売却ができません。

また、どちらか一方が物件に住み続けたい場合でも、相手の合意を得て名義変更とローンの借り換えが必要になります。

しかし、新たに単独でローンを引き受けられるほどの収入がない場合、名義変更ができず、共有状態が続くことになります。

一方が返済を止めるともう一方に重責が残る
ペアローンはあくまでそれぞれが自分のローンに責任を負う契約ですが、実際には生活の場として一体の住宅を共有しているため、一方がローン返済を滞納した場合、もう一方の信用情報にも悪影響が及ぶ可能性があります。

加えて、滞納により物件が差し押さえられるリスクもあるため、連帯して問題を背負うことになりかねません。

感情面での対立が問題を複雑にする
離婚は感情的な問題が絡みやすく、ローンの分担や住まいの処遇について冷静に話し合うことが困難になるケースもあります。

共有資産であるはずの自宅が、かえって「争いの火種」となってしまうことも珍しくありません。

このように、ペアローンは離婚時の対応が非常に複雑になりやすく、あらかじめ夫婦間で万が一のときの取り決めをしておかないと、大きなトラブルに発展する可能性があります。

将来の不確実性を踏まえ、ペアローンを選ぶ際には、「離婚時の物件・ローンの取り扱い」についても一度話し合っておくことが良いと言えるでしょう。

まとめ

ペアローンは借入額増加やローン控除、返済条件の柔軟性といったメリットがある一方、団信の制約や収入変動、離婚リスクもあります。

そこで、出産や育児、転職、病気など、将来的な収入の変動を考慮し、無理のない返済計画を立てることが重要です。

それらを踏まえて、単独ローンとペアローンのどちらが適しているかを慎重に検討する必要があると言えるでしょう。

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