はじめに
夫婦で住宅ローンを組む「ペアローン」は、
それぞれが銀行から住宅ローンを借りることで、
合計の借入金額を増やせる仕組みです。
この制度を利用することで、住宅購入の予算を引き上げ、
より理想的な住まいを選択できる可能性があります。
また、住宅ローン控除を二人分適用できるため、
税制上のメリットもあります。
しかし、その一方でリスクも存在します。
本記事では、ペアローンのメリットとデメリット
そしてペアローンのリスクについて解説します。
自分にとって最適な住宅ローンの組み方を考える際の参考にしましょう!
本編
ペアローンとは
ペアローンとは、夫婦がそれぞれ住宅ローンを借りることで、
合計の借入可能額を増やせる仕組みです。
一人の収入では希望する物件のローンを組めない場合でも、
配偶者の収入を合算することで、
必要な資金を確保できる可能性があります。
例えば、5,000万円の物件を購入する際に、
夫の年収が500万円の場合、一人では4,000万円程度が借入上限となります。
しかし、妻の年収が300万円ある場合、
妻も1,000万円のローンを組むことで、
合計5,000万円の借入が可能になります。
このように、夫婦それぞれでローンを組むことで、
より高額な物件の購入が実現できます。
ペアローンのメリット
ペアローンのメリットとして、
ここでは、
・借入可能額が増える
・高額ローンの審査に有利
・ペアローンで住宅ローン控除を倍にできる
について、解説していきます。
▮借入可能額が増える
住宅ローンの借入額は、
一般的に年収の7〜8倍が目安とされています。
例えば、夫の年収が500万円の場合、
単独では3,500万〜4,000万円程度が借入可能額の目安です。
しかし、妻の年収が300万円あると、
約2,000万円の追加借入が可能となり、
世帯全体で5,500万〜6,000万円のローンを組めます。
現在は共働き世帯が増えているため、
ペアローンを利用することで、
より理想的な物件を購入できるケースが多く見られます。
▮高額ローンの審査に有利
住宅ローンの借入上限は通常1億円とされています。
例えば、年収2,000万円の方が単独でローンを組む場合、
年収の7倍にあたる1億4,000万円のローンを借りることは難しくなります。
しかし年収が、夫1,000万円、
妻1,000万円のパワーカップルであれば、
それぞれ7,000万円ずつ借りることで、
合計1億4,000万円のローンが比較的通りやすくなります。
このように、ペアローンを利用することで、
借入の選択肢が広がる点も大きな利点と言えるでしょう。
▮ペアローンで住宅ローン控除を倍にできる
住宅ローン控除とは、
住宅ローンの借入残高の1%が
所得税や住民税から還付される制度で、
適用期間は10年から13年と長期間に渡ります。
ただし、この控除には上限があり、
単独でローンを組んだ場合、
控除対象となる借入残高は最大4,000万円です。
そのため、仮に7,000万円のローンを組んでも、
控除の対象となるのは4,000万円分のみとなり、
年間40万円が上限となります。
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ペアローンで控除額が増える仕組み
ペアローンを利用すると、
夫と妻がそれぞれローンを組むため、
住宅ローン控除の適用を分ける事ができます。
例えば、7,000万円のローンを
夫3,500万円、妻3,500万円で組んだ場合、
それぞれが最大控除額を適用でき、
年間35万円ずつの控除を受けられます。
その結果、世帯全体では年間70万円の控除を受けることが可能になります。
この差は10年間で考えると、単独ローンの場合は最大400万円の控除ですが、ペアローンでは合計700万円の控除を受けられる計算になります。
結果として、控除額の差が300万円にもなるため、ペアローンを利用することで大きな節税効果が期待できると言えるでしょう。
ペアローンのデメリット・リスク
ペアローンはメリットが大きいように感じられますが、
デメリット・リスクも存在します。
ペアローンのデメリット・リスクとして、
ここでは、
・万一の際にローンが残るリスク
・収入の変動による返済リスク
・出産・育児による影響
について、解説していきます。
▮万一の際にローンが残るリスク
住宅ローンを組む際には、
一般的に団体信用生命保険(団信)が適用されます。
これは、ローン契約者が死亡または高度障害になった場合に、
残りのローンが保険で完済される制度です。
単独で5,000万円のローンを組んだ場合、
契約者が亡くなるとローンは全額保険で弁済され、
家族に返済負担が残ることはありません。
しかし、ペアローンを利用して
夫2,500万円、妻2,500万円でローンを組んでいた場合、
団信はそれぞれの契約者に適用されるため、
一方が亡くなってももう一方のローンはそのまま残ります。
例えば、夫が亡くなった場合、
夫の2,500万円分のローンは保険で弁済されますが、
妻の2,500万円分のローンは引き続き返済が必要になります。
この点は、単独ローンと異なる重要なリスクであるため、
ペアローンを検討する際には十分な注意が必要と言えるでしょう。
▮収入の変動による返済リスク
ペアローンのもう一つのデメリット・リスクは、
収入の変動に弱い点です。
単独でローンを組んだ場合、契約者の収入が減少しても、
配偶者の収入で補填することが可能です。
また、専業主婦(主夫)の場合は、
必要に応じて働きに出ることで
家計を支える選択肢もあります。
しかし、ペアローンでは夫婦それぞれがローンを負担するため、
どちらかの収入が減少した場合、
その分の支払いが一気に重くなります。
特に、一方が働けなくなった場合や収入が減った場合には、
家計全体の負担が増大する可能性があります。
▮出産・育児による影響
収入減少の代表的なケースとして、
出産や育児が挙げられます。
共働きでペアローンを組む際には
「支払いは折半」「家計は別々」
といった考え方をする人も多いですが、
実際には育児期間中にフルタイムで働くことが難しくなることがあります。
例えば、妻が育児のために働けなくなった場合、
ペアローンで組んだローンの支払いが重くなり
、家計が圧迫される可能性があります。
また、出産や育児のために仕事を辞めると、
住宅ローン控除の適用も受けられなくなります。
住宅ローン控除は「支払っている所得税が戻ってくる」仕組みのため、
収入がゼロになると還付も受けられなくなります。
まとめ
ペアローンは無理のない返済計画が必要
ペアローンは借入額増加やローン控除のメリットがある一方、
団信の制約や収入変動リスクもあります。
そこで、出産や育児、転職、病気など、
将来的な収入の変動を考慮し、
無理のない返済計画を立てる事が重要です。
収入変動リスクは、出産育児を経験する妻だけではなく、
夫にもリスクが存在します。
例えば、夫が管理職に昇進した場合、
管理職手当は支給されるものの、
今までのように残業手当や歩合給が支給されなくなり、
結果的に手取りが一時的に減るような逆転現象が起こるケースがあります。
このような場合に、ローンを限度額いっぱいで組んでいると、
破綻する可能性もありますので、
余裕を持った返済計画を立てておく事が重要となります。
これらを踏まえて、
単独ローンとペアローンのどちらが適しているかを
慎重に検討しましょう。
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記事監修者
朝倉 大樹(宅地建物取引士)
株式会社ウィローズ 代表取締役
2000年不動産ベンチャー企業入社、28歳で最年少営業部長、29歳で最年少役員に抜擢。上場準備にも携わるが、リーマンショックによる倒産危機を経験するなど激動の20代を送る。
2012年株式会社ウィローズを創業。「お客様の利益を第一に」を理念に、売上高30億円を超えるグループ企業に成長。
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