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投稿日:2021.05.25  
最終更新日:2025.11.15

ウッドショックとは?木材価格高騰の背景と住宅・建築への影響を徹底解説!

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はじめに

コロナ禍により世界的に木材需要が高まり、木材の価格が高騰し始め、その影響は一般の方々にも及んでいます。木材価格の高騰により「建設費がどれくらい上がるのか」「木材が手に入りにくいために工期が延びると、どのような影響があるのか」といった疑問を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

本記事では、それらの疑問に対する回答や、この状況下において逆に利益を得られる可能性がある方についても、あわせて解説していきます。

本編

ウッドショックとは

ウッドショックの定義と語源

ウッドショックとは、木材の供給が不足し、価格が急激に高騰する現象を指します。
英語では「Wood Shock」と表記され、もともとは1970年代にアメリカで発生した木材価格の急上昇をきっかけに使われ始めた言葉です。

日本では2021年頃から、世界的な住宅需要の増加や物流の混乱によって木材価格が急騰した際に「ウッドショック」という言葉が広まりました。
現在では、木材の調達難や建設コストの上昇、工期の遅延などを総称して使われるようになっています。

世界的な木材需給バランスの変化

アメリカ・中国・ヨーロッパを中心に、世界で住宅需要が活発になっています。
アメリカでは、コロナウイルスの感染者数や死者数が多い中で、FRBの金融緩和で住宅ローン金利が低下しました。さらにリモートワークやテレワークが日本以上に進み、都心部から郊外へと人が流れる動きが加速しています。

その結果、主要都市では都心の賃貸需要が鈍化し郊外が活発化する傾向が見られ、空室率にも影響が出た地域がありました。

一方、郊外では住宅需要が高まり、新築着工件数の増加により木材需要が急増しています。
世界人口2位の中国でも同様に住宅需要が拡大し、木材需要が大幅に高まっています。
さらにヨーロッパでは自国内の住宅需要を優先する動きが強まり、輸出が減少しています。
特に中国やアメリカの需要が旺盛で、世界全体で木材の取り合いが発生し、日本への供給が滞る状況となっています。

実際に、ハウスメーカー各社においても、「プレカット用の集成材が入手困難」「国産材への切り替え」「問屋の在庫を高値で確保」といった対応を余儀なくされており、ウッドショックの影響が広がっていることが分かります。

北米・中国の住宅需要増加と在宅ワークの影響

ウッドショックの発端となった要因のひとつが、北米や中国を中心とした住宅需要の急増です。
コロナ禍による在宅ワークの普及で、自宅をより快適にしたいというニーズが高まり、リフォームや郊外での新築需要が急拡大しました。

特にアメリカでは住宅ローン金利の引き下げが追い風となり、新築住宅の着工件数が増加しました。
中国でも経済成長と都市部の住宅需要が続き、世界的に木材の争奪戦が発生しました。

こうした需要の集中が木材価格の高騰を招き、ウッドショックの主要な原因の一つとなっています。

物流網の混乱・コンテナ不足・輸送費高騰

ウッドショックをさらに深刻化させたのが、世界的な物流網の混乱です。

コロナ禍による港湾の閉鎖や人員不足、船便の遅延などにより、木材を運ぶコンテナが不足しました。
その結果、海上輸送費が高騰し、木材価格に直接的な影響を与えました。

輸送コストの上昇に加え、木材の積み出しや通関にも時間がかかるようになり、日本への輸入量が大幅に減少しました。
流通の滞りが木材不足を一層深刻化させ、国内の建築現場にも工期遅延やコスト上昇という形で影響を及ぼしています。

円安・輸入コスト上昇による国内価格への波及

ウッドショックの影響は為替相場にも左右されています。
円安が進行すると、海外から木材を輸入する際のコストが増加し、仕入れ価格が上昇します。
その結果、国内の建築資材価格や住宅建設費にも波及し、建築コスト全体を押し上げる要因となっています。

特に木材輸入に依存している日本では、為替変動による価格上昇の影響が大きく、ウッドショックの長期化を後押しする形となっています。
住宅購入を検討する際は、為替や輸送コストの動向にも注意を払う必要があります。

日本の木材市場とウッドショックの構造的要因(自給率・国産材シフト)

日本の木材自給率の低さと輸入依存構造

日本は国土の約3分の2が森林で、そのうち約40%が人工林といわれています。
木材資源が豊富な国であるにもかかわらず、木材自給率は低い水準にとどまっています。
平成28年時点での自給率は34.8%で、残りの約65%は輸入材に依存しています。

過去の推移を見ると、平成12年には自給率が18.2%と大幅に低下しており、その後は改善してきたものの、昭和30年の自給率94.5%と比べると大きく下がっています。

国産材需要の急増と価格上昇

ウッドショックによる輸入材不足を受け、国内では国産材の需要が急速に高まりました。
これまで北米材や欧州材に依存していた住宅建築業界では、代替としてスギやヒノキなどの国産材を活用する動きが広がっています。

しかし、需要の急増により国産材の価格も上昇し、結果的に建築コストの上昇を抑えきれない状況となっています。さらに、地域によっては供給量が限られているため、思うように木材を確保できないケースも見られます。

国産材への切り替えは一時的な対策として有効ですが、長期的には安定供給の課題が残されています。

製材業・林業の供給体制の限界

ウッドショックを契機に国産材の重要性が再認識されましたが、製材業や林業の現場には供給体制の限界もあります。長年の林業従事者の減少や高齢化、製材所の設備老朽化などにより、生産能力をすぐに拡大することが難しいのが現状です。

また、伐採から運搬、製材、乾燥といった各工程に時間とコストがかかるため、短期間での供給増には限界があります。
国産材の利用促進が期待される一方で、ウッドショックによって浮き彫りになったのは、日本の林業全体が抱える構造的な課題といえます。

買い控えや発注抑制の影響

ウッドショックの背景には、世界的な需要増加だけでなく、日本国内の買い控えも影響しています。
商社やバイヤーの一部は「いずれ木材価格は落ち着く」と予想して木材の仕入れを控えていました。
しかしその間に海外市場で木材が高値で取引されるようになり、日本への輸入量が大幅に減少しました。

結果として、木材不足がさらに深刻化し、住宅建築に大きな影響を及ぼしています。

住宅価格・工期への具体的影響

住宅価格の上昇(坪単価・建築費)

コロナ禍の影響により木材が不足し、ウッドショックが発生しています。
その結果、住宅建設に必要な建材価格が大幅に上昇しています。

具体的な影響として、建物価格の高騰が挙げられます。
あるハウスメーカーでは坪あたり7,000円、別のメーカーでは坪あたり14,000円の値上げが行われていました。

例えば100㎡(約30坪)の建物の場合、坪7,000円の値上げでは約21万円、坪14,000円の値上げでは約42万円の建築費増加となります。
さらに、世界的な木材不足が続けば、2回目や3回目の値上げが避けられず、同じ建物を建てるだけで100万円近い建築費増加となる可能性もあります。

そのため、土地を購入して新築を計画する方は十分に注意が必要です。

工期の遅延リスクと施工スケジュールの混乱

ウッドショックの影響は価格だけではありません。工期が読めないことも深刻な課題です。

ハウスメーカーによると、単に木材が高騰しているだけでなく、流通量自体が不足しているため、通常使用している北欧材やアメリカ材の確保が困難になっています。
その結果、他地域の木材や国産材を取り合う状況となり、安定した供給ができない状態が続いています。このため、木材の納品時期が不透明となり、「今月入るのか来月入るのか分からない」といった状況が発生しています。

さらに、工事途中で木材の供給が途絶えるケースもあり、請負契約自体が結べない、あるいは契約しても工期が未定で着工できないといった事例も出ています。

実際に、建物の一部までは施工できても木材不足で工事が止まるといったケースもあり、住宅建設を計画する人々にとって大きなリスクとなっています。

建材不足による仕様変更・コスト調整

ウッドショックによる木材不足は、建築現場の仕様やコスト計画にも大きな影響を与えています。

これまで標準仕様として使われていた輸入材が確保できない場合、施工会社やハウスメーカーは国産材や代替建材への切り替えを余儀なくされています。
しかし、使用する建材を変更すると、構造設計や強度計算の見直しが必要になるケースもあり、追加の設計費用や施工コストが発生することがあります。

また、同じ建築プランでも資材調達のタイミングによって見積価格が変動し、契約時と引き渡し時でコスト差が生じる事例も増えています。

減税・特例措置(住宅ローン控除等)への影響

ウッドショックによる木材不足で工期が遅れると、住宅関連の減税や特例措置が受けられなくなる可能性があります。これらの制度には「いつまでに契約を結ぶ」「いつまでに入居する」といった期限が設けられていることが多いためです。

そのため、減税や特例を確実に利用するためには、工務店やハウスメーカーに工期の見通しをしっかり確認しておくことが重要です。

中・大規模木造建築への影響

CLT・LVLなど構造用木材の調達難

ウッドショックの影響は、住宅用木材だけでなく、CLT(直交集成板)やLVL(単板積層材)といった構造用木材の調達にも及んでいます。
これらの大型部材は強度や寸法精度が求められるため、代替材を簡単に確保できません。

特に輸入材への依存度が高いCLTやLVLは供給が不安定になり、大規模木造建築の計画や発注スケジュールに遅れが生じています。

構造材が確保できなければ、建築全体の進行が止まってしまうため、設計段階から調達状況を踏まえた構造設計が求められています。

公共施設・商業施設・学校建築への影響

ウッドショックは、公共施設や商業施設、学校などの中・大規模木造建築にも影響を及ぼしています。
これらの建築物は社会的需要が高く、使用する木材の量も多いため、わずかな調達遅れが工期全体に大きな影響を与えます。

特に公共工事では、入札後に木材価格が上昇しても契約金額を変更できない場合が多く、施工会社の負担が増加しています。そのため、一部では受注を控えたり、入札自体を見送るケースも見られます。

プレカット工場・構造設計現場の混乱

ウッドショックは、プレカット工場や構造設計の現場にも混乱をもたらしています。
プレカット工場では、加工予定の木材が入荷せず、納期に間に合わないトラブルが発生しています。

また、木材の種類や寸法を急遽変更せざるを得ない場合、図面や構造計算の再調整が必要となり、設計現場の負担が増しています。

設計変更・コスト再算定の必要性

ウッドショックの長期化により、設計段階での見積もりと実際の施工時のコストに大きな差が生じるケースが増えています。

木材の種類や価格が変動する中で、当初の設計仕様では予算内に収まらないことも多く、設計変更やコストの再算定が必要になります。また、建築コストが上昇した場合、補助金や融資の見直しが必要になることもあります。

そのため、設計者や発注者はウッドショックによる価格変動リスクを想定し、柔軟に対応できる契約やスケジュール管理が求められます。

国産材シフトによる新たな動き

林業活性化への期待と課題

ウッドショックを契機に、国産材シフトによって林業を活性化させたいという期待が広がっています。
木材を国内で利用する流れを強化することで、森の循環や地域経済の振興にもつながると考えられています。

林野庁は、人工林の伐採と再造林を循環させる取り組みを推進し、森林資源を持続的に活かす方針を示しています。 ただし、課題も多くあります。

林業従事者の減少・高齢化、担い手不足、森林の管理コストの高さ、道路網や搬出施設の未整備などが障壁となっています。供給量を短期間で拡大するのは容易ではなく、国産材の安定供給体制の構築には時間がかかる見込みです。

国産材の品質・コスト課題

国産材シフトには、品質・コスト面の検討も不可欠です。

これまで輸入材が主流であった構造用材料(梁・柱・集成材・CLTなど)では、寸法精度や強度面で輸入材と同等レベルを確保する必要がありますが、国産材ではその調整が容易ではないケースがあります。

また、国産材を伐採・製材し、乾燥や加工を経て建築材料とする過程でコストがかさむことがあります。流通量が少ない段階では、輸送コストや加工費の上昇が建築費全体に大きく影響します。
ウッドショックによって輸入材が高騰していても、国産材への切り替えがコストメリットを確実に生むとは限りません。

脱輸入依存に向けた政策・支援策(林野庁・国交省)

ウッドショックの反省から、国は脱輸入依存を目指し、国産材利用を後押しする政策・支援策を整えつつあります。

例えば、林野庁は「林業・木材産業成長産業化促進対策交付金」を設け、路網整備・搬出間伐・木材加工流通施設整備・高性能林業機械導入などを支援しています。
また、建築物の木造化・木質化を促進する補助制度や制度設計も強化されています。
JAS構造材実証支援事業により、CLTや構造用製材の調達費や設計費の補助が行われています。

さらに、建築物への木材利用評価の指針ガイダンスが公表され、木造化が持続可能性や環境面で評価されるよう制度設計がなされています。
また、国交省では、社会資本整備交付金を活用した木造建築支援や、地域の住宅政策に木造振興を組み込むなど、公共建築や地域型住宅の木質化促進策を展開しています。

これらの政策・支援をうまく活用することで、国産材シフトの推進力を強め、ウッドショックによるリスクを軽減しながら、国内資材主体の住まいづくりや建築を後押しする基盤を作ることが期待されています。

ウッドショックによる副次的なメリット

築浅木造住宅の資産価値上昇

ウッドショックによる世界的な木材不足と建材価格の高騰は、住宅建築コストの上昇を招いています。
その一方、得をする可能性があるのは「築浅の木造住宅を所有しているオーナー」です。

新たに木造住宅を建てようとすると建築費が大きく上昇するため、購入検討者は、「それなら良質な築浅中古住宅を購入した方が得だ」と考える傾向があります。この動きは一戸建て住宅だけでなく、木造アパートにも及びます。

新築価格が上がれば、それに連動して築浅中古の価格も上昇する可能性があるためです。
実際に過去には、鉄筋不足や建設作業員不足によりRC造(鉄筋コンクリート造)の新築価格が大幅に上昇した際、築浅のRC中古物件も価格がつられて上がった事例がありました。

今回のウッドショックでも同様に、築浅の木造戸建てや木造アパートは価格上昇が見込まれるため、オーナーにとって売却の好機となる可能性があります。

中古木造住宅・リフォーム市場の再評価

ウッドショックによって新築木造住宅の建築費が上昇したことで、中古木造住宅やリフォーム市場が再び注目されています。

新築を建てるよりも、中古住宅を購入してリフォーム・リノベーションした方が総費用を抑えられるケースが増えており、消費者の選択肢が多様化しています。特に築浅の木造住宅は、建材価格の高騰を受けて資産価値が上がる傾向にあります。

また、リフォーム需要が高まることで、地元の工務店やリノベーション事業者にとっても新たな商機となっています。ウッドショックは一見ネガティブですが、既存住宅活用を促すきっかけにもなりました。

鉄骨・RC構造への需要分散

ウッドショックの影響で木造建築のコストが上昇した結果、鉄骨造やRC(鉄筋コンクリート)造への需要が一部で高まっています。特に、価格の安定性や資材の供給リスクを考慮し、木造から他構造への変更を検討する建築主やデベロッパーも増えています。

鉄骨やRC構造は、木造に比べて初期コストが高いものの、資材供給が比較的安定しており、長期的なメンテナンスコストや耐久性の面でメリットがあります。

ウッドショックを契機に、構造選択の幅が広がり、建築業界全体で「木造一辺倒」からの構造分散が進みつつあります。

今後の見通しと対策

木材需給の安定化の見通し(2025年以降のシナリオ)

ウッドショックによる木材価格の高騰は、2021年以降の急激な需要増と物流混乱によって発生しましたが、2025年以降は徐々に需給バランスの安定化が見込まれています。

海外では生産体制の回復や輸送網の改善が進み、木材供給量が平常化に向かう兆しもあります。
一方、為替変動や国際情勢の影響によって価格の変動リスクは依然として残っており、完全な安定には時間がかかると考えられます。

今後は、輸入材と国産材のバランスを取りながら、国内供給力の強化を進めることが求められます。

価格下落局面での注意点

ウッドショック後の木材価格が下落局面に入った際には、建築コストが一時的に下がるメリットがある一方で、注意も必要です。

価格が急落すると、在庫を抱える建材業者や工務店が損失を抱える可能性があり、業界全体の経営基盤が不安定になることもあります。また、価格が下がったからといってすぐに着工を決めるのはリスクが伴います。

木材価格は先物相場や為替の影響を受けやすく、短期間で再び上昇に転じることもあるため、中長期的な視点で判断することが大切です。施主としては、契約前に最新の価格動向を確認し、工期や契約内容に柔軟性を持たせることが望まれます。

施主・事業者が取るべき対応策

ウッドショックの影響を踏まえ、施主や建設事業者が取るべき対応策としては、まず早めの情報収集と見積もり精査が挙げられます。木材価格や輸送状況の変化を把握し、複数の工務店・メーカーに見積もりを依頼して比較検討することが重要です。

次に、契約条件の見直しも効果的です。

工期や価格変動に対応できる「スライド条項」や「契約金の分割支払い」などを取り入れることで、リスクを分散できます。

さらに、国産材の活用やリサイクル材の利用を検討することで、輸入依存を減らし、安定的な調達を図ることも有効です。事業者側も、調達先の多様化や在庫管理の最適化を進めることで、ウッドショックのような不測の事態に備える体制づくりが求められます。

まとめ

ウッドショック時代を理解し、賢く住まいづくりを

ウッドショックは、世界的な住宅需要の拡大や買い控えによる輸入量減少、さらにはコンテナ不足をはじめとする物流の混乱が重なって発生しています。

その結果、木材価格の高騰や工期の遅延が起こり、住宅建築におけるコスト増加や減税措置の期限リスクといった影響が広がっています。

また、築浅木造住宅の需要増加による中古市場の価格上昇、さらには中・大規模木造建築における受注制限やプロジェクト延期といった事態も顕在化しています。

日本の木材自給率の低さも、この影響を深刻化させる要因の一つです。
住宅購入や建築を検討する方は、ウッドショックの背景とリスクを理解したうえで、建築会社との工期確認や価格変動への対応を慎重に進めることが求められます。

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