本当に得ですか!?「仲介手数料0円」のカラクリ

# 不動産購入

はじめに

不動産を売ったり買ったりする時に、不動産会社さんに仲介手数料というものを支払わなければならないんですね。これがまぁまぁの金額するんです。例えば3000万円の物件だと105万円位するんです。この仲介手数料を「0円」でいいですよ。という不動産会社さん、実は探せば結構あります。
普通に考えたら0円の方がいいじゃないですか?
けど、これにはカラクリがあって、仲介手数料は0円でも、逆に大損してしまう場合もあるので、ワナにはまらないように、キッチリとパトロールしていきたいと思います。

本編

そもそも仲介手数料って何なの?

僕たちは普段モノを買う時に、Amazonで検索したり、メルカリで探したりしますよね。これは、売る人と買う人が直接モノとお金を交換して取引が成立しています。誰かが間に入って取引を成立させている訳ではありません。
でも家を売りたい人は自分の家をメルカリさんにアップして売るでしょうか?さすがにやらないですよね。もし仮に、不動産売りたい方が、メルカリさんに5000万円の家をアップして、よっぽど攻め込んだ買主さんが、「買いまーす!」ピロピロリーンってきたとします。そしたらどうしましょう。契約書はどうするの?重要事項説明って何?買主はローン組むの?支払い能力あるの?名義を変更するには?となりますよね。そして買主も「この売主信用できる?」「買った後に何か問題あったらどうしよう」ってなりますよね。
専門知識のない人が不動産を直接取引するのって実際に問題が多いし、限界があります。

というわけで不動産を売ったり買ったりする時には、多くの方は不動産屋さんにお願いします。これを「仲介」と言います。そして仲介する不動産会社に対価として支払うのが「仲介手数料」です。

仲介手数料0円の儲けのカラクリ

不動産会社に支払う仲介手数料は上限が決まっていて「物件価格の3%+6万円+消費税」となります。例えば、3000万円の物件の場合ですとざっくり105万円かかります。
これが0円になる……いいじゃないですか!?

ここが今回のパトロールポイントです。

じゃあ「仲介手数料0円の会社はどうやって儲けを出しているの?」っていう話ですが、仲介手数料は「買主様」からと「売主様」からもらえます。なので例えば買主からは頂かないけれど、売主から手数料を頂くので、不動産会社としてやっていけているのです。そしてその逆の場合もあります。

これがですね、ちょっと闇を含んでまして…

「私たちは企業努力により、低コストでの企業運営に努めているので、買主からは手数料頂きません。売主からの仲介手数料だけで充分です」なんて言って、一見するとなんか感じいいですよね。けれど、これよく考えてみてください。
世の中には、売主さんから仲介手数料を貰える物件と、もらえない物件があります。調べてみました。レインズという不動産業者が見られる物件データベースがあるんですが、地元の東京都品川区で3000万円台の中古マンション、これが全部で118件売りに出てました。このうち売主から仲介手数料がもらえる物件が何件有ったと思いますか?118件全部調べてみましたが、27件でした。
22%です。
つまり、仲介手数料0円の不動産屋さんにお願いすると、この27件は紹介して頂けると思いますが、売主から手数料のもらえない残りの91件は基本的には紹介してもらえないということになります。

これ、どう思います?

不動産業者さんはこの118物件が世の中に出ていることは分かっていますし、この「この物件めちゃめちゃいいな」という物件があったとしても、売主さんから仲介手数料を頂けない物件だと紹介してくれないんですよ。これ、買主様から見て本当に得なのでしょうか?

僕も毎日不動産の物件情報見てますけど、例えば3000万円位のマンションで、明らかに2~300万円相場より安いな!とか、このお客様にピッタリだなとかあるんです。そういう時にふつうの営業マンはお客様に喜んでもらいたいと思ってるので、「いいの出ましたよ!」「ピッタリなのありましたよ!」と言いたいんですが、もし、仲介手数料0円の会社だから「これは売主から手数料頂けないので、紹介しないでおこう・・・」となっちゃう。だとしたら?
お客様にとって損なのはもちろん、営業マンのモチベーション的にもちょっと良くないですよね。
これが仲介手数料0円の裏側なんです。

仲介手数料0円で買った方の最悪の実話ケース

最後に仲介手数料0円で契約した最悪の実話があるので、紹介したいと思います。
単純に考えて、仲介手数料0円の業者さんは、1契約あたりの仲介手数料は下がってしまうので、普通の不動産会社に比べて多く契約しないと合わないんですね。

僕の会社のエリアは東京都品川区なんですけど、このあたりの不動産会社ですと1人あたり月に1件、2件契約が出来ればまぁまぁなんですが、仲介手数料0円の業者さんですと、倍近く契約しないといけないので、月に2件・3件・4件と契約をしないと合わないんです。
そうなると当然1人の方に手厚いアフターフォローをするのは難しくなってきますし、いわゆるスタープレーヤーみたいな営業は、仲介手数料半額とか無料の仲介会社さんにはやっぱり少ないので、かゆい所に手が届く、きめの細かいサービスは期待できない場合が多いです。(こんな事言うと、怒られるんだろうな)

で、私のお客様からの相談で実際にあった話なんですが、普通の不動産会社だと契約後、住宅ローンの紹介をしてもらいます。お客様がご自分で金融機関に登記簿だ測量図だなんだと書類を提出するのも大変ですし、住宅ローンは承諾を取る期限というのが決まっていて、だいたい契約してから3週間から1か月以内にローンの承諾を取って下さいね。万が一その期間内にローンが通らなかったら契約は白紙にして、支払った手付金は返しましょう。という決まりになっているケースがほとんどです。

相談内容というのは、お客様の会社の同僚が仲介手数料0円の業者さんに依頼してマンションを買った。それが契約後住宅ローンの審査は自分でやって下さいと言われて、もしその不動産業者にお願いする場合は、ローン代行手数料として10万円かかりますと言われた。(このローン代行手数料も闇なので、今度機会があれば付帯収益の闇としてパトロールしたいと思います)そこでこのお客様は、それだったら自分でやりますと断ったらしいんですが、やはり書類の収集などが煩雑で3週間の期限でローン審査の回答が間に合わず、期限を過ぎてから結果が出て、結局ローンが否決されてしまったと。

これ、ものすごく危ないことなんです。

期限である3週間以内にローンがダメだったと分かれば、契約は白紙になりますので、手付金は戻ってくるんですが、それを過ぎてローンがダメでお金が払えない!という状況だと、手付金放棄しないと契約やめられないんです。
結局、そのお客様の同僚に、僕を紹介してもらって、年収とか勤務先とか、マンションの状況とかを聞いて、この銀行だったら多分ローン通りますよとアドバイスして、なんとか通ったから良かったんですが、これどこも通らなかったら手付金だけとられてました。危ないです。

売主側からしか仲介手数料をもらわないという事は、何か問題やトラブルがあった時に、その不動産会社は完全に売主側につきます。問題があった時に、買主側に立って売主に責任追及したら、売主が怒っちゃって仲介手数料を引くことになるかもしれないじゃないですか?仲介手数料をもらわない買主のことは絶対守ってくれないです。

不動産取引に慣れていたり、沢山の物件を紹介してもらうのではなく、もう買いたい物件が決まっているとか、そういう場合であれば、仲介手数料0円の業者さんに頼むとお得なこともありますが、あまり手厚く対応してもらえなかったり、紹介してもらえる物件が限られていたりするので、そういう点にはご注意ください。

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まとめ

Point. 1

「仲介手数料0円業者」だと、紹介してくれる物件が少ない可能性がある

Point. 2

「仲介手数料0円業者」の契約後のアフターサービスは面倒を見てくれるかに注意

見た目の「無料!」という言葉だけに惑わされずに、安心な不動産取引をしましょうね!

Point. 3

記事監修者

朝倉 大樹(宅地建物取引士)
株式会社ウィローズ 代表取締役

2000年不動産ベンチャー企業入社、28歳で最年少営業部長、29歳で最年少役員に抜擢。上場準備にも携わるが、リーマンショックによる倒産危機を経験するなど激動の20代を送る。
2012年株式会社ウィローズを創業。「お客様の利益を第一に」を理念に、売上高30億円を超えるグループ企業に成長。
不動産業界とお客様との情報の非対称性を解消するべくYouTube「不動産ポリス」を配信中。