はじめに
人気コミックス「正直不動産」がドラマになってNHKで2022年4月から放送されますが、漫画にでてくる不動産業界の闇問題は本当に実在するのでしょうか? 現役で不動産会社を経営するポリスが、正直に解説していきます。第1回は敷金礼金のために入居者を追い出すオーナーのお話。
本編
コミックス正直不動産の概要
正直不動産、人気の不動産漫画ですが、4月から山ピー主演でドラマ化されるようですね。個人的にも非常に楽しみです。
弊社ウィローズの接客スペースにもコミックスを置いている(写真挿入)位好きなんですけれども、この正直不動産、内容ですが、ある事がから嘘をつけなくなってしまった不動産営業マンが不動産業界の闇と戦うみたいなストーリーなんですが、知り合いとかお客様から「こういう事って本当にあるの??」と聞かれる事が多いです。
なので、コミックスの内容に沿って、具体的に解説をして参りたいと思います。本日はコミックス1巻にある、「敷金・礼金泥棒」という内容についてです。
入居者を追い出すオーナー!?
このお話の内容は、相場が10万円の所を8万円と破格の家賃設定なんですが、入居者が1年経たずに退去を繰り返すマンションという話でした。オーナーは格安の賃料設定ではありますが、入居時に礼金と敷金が1か月づつで16万円入るので、1年以内に退去が繰り返されれば相場の10万円で貸し続けるよりも儲かるという事ですね。なので大家さんはいやがらせやトラップを仕掛けて、早く出ていくようにけしかけると、、、そういう事を結構な割合の大家さんがやっているという事です。
結論から言うと、20年以上不動産屋をやっておりますが、そういうオーナーさんは見た事が無いです。どうしてかというと、コミックスの中にあるような手法の方が、儲からないからです。
実際に計算してみたら
例えば、相場家賃10万円で1年間貸すと家賃が120万円。入居時に礼金が一か月もらえるとして10万円、敷金は儲けにならない、退去時に返すお金ですから、オーナーの儲けとしては0円。合計で家賃120万円、礼金10万円で130万円ですね。
それに対して、入居者が半年ごとに退去するとします。けどすぐに次の入居者が決まるとします。退去しれからすぐに次の入居者が決まると言っても、クリーニングとか退去の立合いをしなければならないので、半月ほど空くと仮定します。その間は家賃は入らないですね。
一人目の入居者が8万円で入ります。そして5か月半で出ていきます。その場合は、家賃が8万円×5.5か月分ですから44万円です。またコミックスの中では、礼金8万円は当然オーナーがもらえるとしても、敷金の8万円も現況回復出来ない事を理由にして請求するとなってます。どういう事かというと、あえて室内に古いカーテンや恐らく捨てるだろうという悪趣味な玄関マットを置いておいて、退去時に入居者が捨てていれば「現況回復出来ないでしょう!あれは高かったんですよ!」と言って、敷金8万円を返さないという事ですが、これはこれでちょっと無理はあるんですけれども、現実的には見た事ない手法ではありますが、それでもまぁ8万円敷金返さなくて良いとします。その場合は、半年で家賃44万円、礼金8万円、敷金8万円で、60万円です。これが年2回あるので、収入は120万円になります。
結論 敷金礼金泥棒オーナーは実在しない
さっき相場通りの10万円の賃料で1年間貸した場合は130万円でしたよね?それが半年で入れ替わる場合でも120万円しかもらえないんです。相場通りの賃料で普通に貸した方が儲かるので、わざわざ安い賃料設定で、オーナーがいやがらせをして退去させないといけないですし、、すぐに入居者が見つかるかどうかの空室リスクも抱えながらですから、こういうオーナーさんは何も得しないので、いないですね。見た事ないです。
正直不動産の第1話、敷金・礼金泥棒は、現役の不動産業者から見ると、リアルではない!という結果になります。また今後も正直不動産を不動産業者が読んでみたリアルをお届けしていきたいと思います。
まとめ
記事監修者
朝倉 大樹(宅地建物取引士)
株式会社ウィローズ 代表取締役
2000年不動産ベンチャー企業入社、28歳で最年少営業部長、29歳で最年少役員に抜擢。上場準備にも携わるが、リーマンショックによる倒産危機を経験するなど激動の20代を送る。
2012年株式会社ウィローズを創業。「お客様の利益を第一に」を理念に、売上高30億円を超えるグループ企業に成長。
不動産業界とお客様との情報の非対称性を解消するべくYouTube「不動産ポリス」を配信中。
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