はじめに
住宅ローンの審査で重要となるのが、所得の金額と安定性です。
個人事業主の場合、
確定申告の内容が審査に大きく影響するため、
計画的な準備が必要不可欠です。
本記事では、確定申告の方法から、
審査に強い金融機関の選び方、
具体的な対策まで、
マンション・住宅購入を考える個人事業主の方必見の情報をお届けします。
本編
個人事業主の方が増加中
フリーランスや個人事業主の数は
近年急速な成長を見せており、
統計によると、2018年に1151万人だったフリーランス人口は、
2021年には1670万人にまで増加し、
わずか3年間で約1.5倍という顕著な伸びを示しています。
この急増の背景には、複数の社会的要因が存在します。
その一つが、いわゆる「老後2000万円問題」への対応として、
サラリーマンが副業に取り組むようになったことです。
また、働き方改革の進展に伴い、
従来の雇用形態にとらわれない柔軟な働き方を求めて、
フリーランスという選択肢を選ぶ人々も増加しています。
個人事業主の特徴的な点は
サラリーマンとは納税方式が異なる点です。
給与所得者の場合、
毎月の給与から所得税が天引きされる
源泉徴収制度が適用されますが、
個人事業主は確定申告を通じて
納税額を確定させます。
この仕組みを活用し、
適切な範囲内で税務戦略を実施している事業主も少なくありません。
このような柔軟な働き方と納税制度は、
現代の多様なキャリア選択の一つとして、
今後もさらなる注目を集めることが予想されます。
個人事業主の節税メリット
個人事業主の確定申告において、
売上と所得の関係は重要な要素です。
例えば、年間売上高が600万円であっても、
事業運営に必要な経費が500万円発生した場合、
課税対象となる所得は100万円となります。

課税対象となる所得
所得税や住民税は、この所得金額に基づいて計算されるため、
適切な経費計上により納税額を合法的に抑えることが可能です。
しかしながら、
中には個人的な生活費を事業経費として計上し、
意図的に所得を低く抑えようとするケースも見受けられます。
確かに、経費の柔軟な計上は
個人事業主の大きなメリットの一つとして認識されていますが、
これが行き過ぎると税法違反となる可能性があります。
事業経費の計上は、
あくまでも事業との関連性が明確で、
かつ必要不可欠なものに限定されるため、
税務調査の対象となった際に
説明できる合理的な根拠を持って、
適切な確定申告を行うことが重要です。
法令を遵守しながら賢明な経営判断を行うことが、
持続可能な事業運営につながります。
個人事業主は住宅ローンが組めない?
個人事業主が住宅ローンを申し込む際には、
特有の課題に直面することがあります。
その最も大きな障壁となるのが、
収入ではなく所得に基づいてローン審査が行われる点です。
具体例を挙げると、年間売上高600万円の事業主であっても、
所得は経費控除後の100万円となります。
この場合の借入可能額は約700万円程度に制限されます。
一方、同じ600万円を年収として
受け取るサラリーマンであれば、
4,000万円から5,000万円程度のローンを組むことが可能です。
この差は、毎月の返済能力に関係なく、
所得金額のみで判断されることに起因します。
多くの個人事業主は、
月々10万円から15万円程度の返済能力があったとしても、
所得金額が低いために
希望する金額の住宅ローンを組めない
というジレンマに陥ります。
この状況を改善しようと、
住宅購入を予定している事業主の中には、
次回の確定申告時に経費を抑えて所得を増やそうと考える方もいます。
例えば、売上600万円に対して経費を50万円程度に抑え、
所得を550万円程度として申告することで、
より大きな借入枠を確保しようとする方法です。
しかし、この対応にも様々な課題があり、
簡単には実現できない場合が多いのが実情です。
このような税務申告の急激な変更は、
金融機関の審査において説明が必要となる可能性があります。
個人事業主の救世主フラット35
フリーランスや個人事業主が
住宅ローンを検討する際、
金融機関の審査基準について
理解しておくことは非常に重要です。
一般的な金融機関では、
3期分(3年分)の確定申告書の提出が必要とされており、
これは個人事業主にとって大きな課題となっています。
例えば住宅購入を決意してから、
経費を抑えて所得を高く申告する方針に切り替えたとしても、
3年間の実績が必要となります。
この期間中は、従来よりも多額の税金を納める必要があり、
住宅購入までの時間的・金銭的なハードルが高くなりがちです。
この状況を踏まえ、
多くの個人事業主が選択しているのが、フラット35の利用です。
フラット35は、確定申告1期分の実績のみで審査を行うため、
比較的短期間で住宅購入の実現が可能です。
35年固定金利という特性上、
金利は一般的な変動金利商品より高めに設定されていますが、
総合的な視点から見ると、以下のような利点があります
・確定申告1期分のみの提出で済むため、税負担の増加期間が短い
・審査までの待機期間が短縮される
・申告内容を早期に通常の形に戻すことが可能
このような特徴から、
フラット35は個人事業主の住宅購入における
現実的な選択肢として注目されています。
長期的な税負担と金利負担を総合的に考慮すると、
多くの事業主にとって
効率的な住宅ローン戦略となる可能性が高いと言えるでしょう。
▮個人事業主がフラット35を利用するメリット
審査基準が他の金融機関と大きく異なる
上でも述べた通り、一般的な民間金融機関では、
住宅ローン審査の際に3年分の確定申告書の提出が求められます。
たとえば年収条件が300万円の場合、
直近1年の所得が300万円を超えていても、
2年前や3年前の所得が100万円や200万円だった場合は条件を満たさず、融資を受けられないケースが多いのです。
一方、フラット35の場合は確定申告書は原則1年分の提出で済み、
審査の重要な基準となる返済負担率は
直近1年間の所得のみで判定されます。
つまり、直近1年間の所得が300万円あれば、
2年前や3年前の所得が300万円を下回っていても
審査に通る可能性が高くなります。
連帯債務者を追加できる
フラット35には連帯債務者を追加できるメリットもあります。
例えば、個人事業主の年間所得が300万円で、
審査基準の上限が400万円の場合、
100万円足りずに審査が通らない可能性があります。
そのような場合、配偶者を連帯債務者として追加することで、
配偶者の給与所得も合算した金額で
住宅ローンの審査を受けることができます。
このように、直近1年分の所得のみで判断される点と、
連帯債務者を追加できる点が、
フラット35の大きな特徴となっています。
個人事業主が住宅ローン審査で見られるポイント
個人事業主が住宅ローンを申し込む際、
金融機関は主に5つのポイントを重視して審査を行います。
これらのポイントを理解し、事前に適切な準備を行うことで、
審査通過の可能性を高めることができます。
▮3期連続での黒字確認
個人事業主が住宅ローンを申し込む際、
金融機関が最も注目するのが収入の安定性です。
会社員の場合は毎月の給与が一定であるため
収入は安定していると判断されますが、
個人事業主は収入の変動が大きいとみなされます。
そのため金融機関は、直近3年間の決算内容を特に重視します。
重点的に確認されるのは黒字経営が継続されているかどうか、
そして、3年間の平均所得がどの程度の水準にあるかです。
この3年間の収支状況が、
個人事業主の住宅ローン審査における重要な判断材料となるのです。
収入の安定性を示すことができれば、
審査をクリアする可能性も高まります。
▮自己資金(頭金)の準備状況
住宅ローン審査を有利に進めるために、
十分な頭金の準備が重要になります。
頭金を用意することには、2つの大きな意味があります。
1つは借入必要額を減らすことで金融機関のリスクを軽減できる点。
もう1つは、申込者自身の計画的な資金管理能力をアピールできる点です。
実際の目安として、物件価格の20~30%程度の頭金があれば、
審査が通りやすくなると言われています。
これは個人事業主ならではの収入変動リスクを補う重要な要素です。
▮税金・保険料の納付状況
個人事業主は自己責任で
税金や保険料を納付する必要があるため、
毎年の確定申告による税金の納付や社会保険料の支払いが、
適切に行われているかどうかが審査の対象となります。
もし未納がある場合は、
住宅ローンの申込前に必ず清算することが重要です。
未納の存在は信用力の低下につながり、
審査に悪影響を及ぼす可能性が高くなります。
▮健康状態の確認
団体信用生命保険への加入は、
多くの金融機関で住宅ローン契約の必須条件となっています。
この保険は借入者が死亡または重度障害となった場合、
残りの住宅ローン債務を保険金で返済する仕組みです。
加入には健康状態の告知が必要となり、
持病がある場合は事前に加入可否を確認することが重要です。
保険加入ができない場合、
住宅ローンの審査も通らない可能性があります。
▮個人信用情報の状態
CICやJICCなどの信用情報機関に登録された情報は、
審査における重要な判断材料となります。
これらの機関には過去の借入れ状況や返済履歴が記録されており、
携帯電話料金の支払い状況や家賃の支払い履歴、
カーローンの返済状況なども含まれます。
延滞や未納の履歴があると信用スコアが低下してしまうため、
住宅ローンの審査に大きく影響を与えるでしょう。
そのため、事前に自身の信用情報をチェックし、
問題がある場合は改善してから申し込むことが賢明です。
また、日々の支払いを確実に行い、
良好な信用情報を維持することも重要です。
以上の5つのポイントに十分な注意を払い、
適切な準備を行うことで、
住宅ローン審査の通過率を高めることができます。
特に個人事業主の場合は、
安定した収入基盤の証明が重要となるため、
これらの要素を総合的に整えることが審査成功のカギとなります。
住宅ローンの審査が甘い・通りやすい銀行はある?
住宅ローンの審査基準は金融機関によって異なりますが、
一般的にネット銀行は
従来の店舗型銀行と審査基準が異なることもあり、
審査が通りやすい場合もあります。
その一因として、ネット銀行は物理的な店舗を持たないため、
人件費や運営費用といったコストを大幅に削減できる、
ということが挙げられます。
ネット銀行の具体的な例としては、
PayPay銀行の住宅ローンや、住信SBIネット銀行が挙げられます。
ただし、これらの銀行が必ずしも全ての申込者に対して
審査が通りやすいわけではないため、
個々の状況に応じて検討する必要があります。
個人事業主が住宅ローンの審査に通りやすくするためのコツ
個人事業主が住宅ローンの審査に
通りやすくするためのコツについて、
重要なポイントを3つご紹介します。
これらの対策を事前に行うことで、
住宅ローン審査の通過率を高めることが期待できます。
▮過度な節税対策を避ける
個人事業主は節税のために経費を多く計上し、
所得を抑える傾向にあります。
確かに、所得を低く抑えることで
税負担を軽減できるというメリットはありますが、
住宅ローンの審査においては逆効果となる可能性があります。
なぜなら所得が少なすぎると
返済能力が不足していると判断され、
審査に不利に働く恐れがあるためです。
節税は重要ですが、
住宅ローン審査を考慮した適度な範囲に留めることが賢明です。
▮既存の借入れを整理する
住宅ローンの審査では、
既存の借入残高や
クレジットカードの利用額なども
審査対象となります。
たとえば、
500万円の借入れがある人と
借入れがゼロの人では、
後者の方が融資を受けやすいでしょう。
そのためできる限り現在の借入れを減らすことで、
審査に通りやすくなります。
▮個人事業主向け専門の金融機関を検討する
個人事業主やフリーランス向けの住宅ローンを
専門的に扱う金融機関を選択することも有効な戦略です。
これらの金融機関は、
個人事業主の特徴や状況を深く理解しており、
一般的な金融機関と比べて柔軟な審査基準を
設けていることが多いです。
個人事業主特有の事情を考慮した審査を行うため、
通常の住宅ローンよりも審査が通りやすい可能性が高くなります。
個人事業主の場合住宅ローンは経費にできる?
個人事業主が住宅ローンを組む場合、
住宅ローンの経費計上には重要な制限があります。
まず、住宅ローンの元金(元本)部分は経費として計上することはできません。
これは、企業や個人から借り入れた資金は、
事業関連の費用であっても経費として参入できないという原則に基づいています。
一方で、住宅ローンから発生する
利息部分については経費として参入することが可能です。
ただし住宅兼事務所として使用している場合
全てのスペースを事業用として使用していない限り、
利息部分の全額を経費として算入することはできません。
このように経費計上には
複雑なルールと制限が存在するため、
実際の運用に際しては、詳細を十分に確認し、
必要であれば専門家に相談しながら適切な処理を行うことが重要です。
個人事業主が住宅ローンを組む際に必要な年収
個人事業主が住宅ローンを組む際には、
一般的に売上から経費を差し引いた所得が
年間300万円以上あることが望ましいとされています。
これは、固定金利1.5%、
返済期間35年の元利均等方式を選択した場合、
毎月約7万7,000円の返済が可能となり、
最大で2,499万円までの借入れができる計算になるためです。
つまり、2,500万円程度の住宅購入を検討している場合、
年間所得300万円があれば審査が通りやすい一つの目安となります。
ただし、単年度の所得だけでは
十分な判断材料とはならない場合があります。
事業年数3年間を目安として、
その期間の所得を見られることが多いため、
理想的には年間所得300万円以上を
3年間継続して維持している状態が望ましいでしょう。
例えば、年収が300万円、200万円、100万円と大きく変動する場合、
3年間の平均所得が審査の対象として考慮される可能性が高くなります。
とはいえ年収が300万円に満たない場合でも、
必ずしも住宅ローンを組めないわけではありません。
具体的な状況は、過去の信用履歴、現在の借入れ状況、
住居地域、金融機関の審査基準など
個々のケースによって異なるため、
現在の年収や事業の状況を含めて、
不動産会社や金融機関に相談することをお勧めします。
まとめ
個人事業主・フリーランスが住宅ローン審査を通過するために
個人事業主が住宅ローンを検討する際は、
所得と収入の違いを理解し、
適切な確定申告を行うことが重要です。
一般的な金融機関では3年分の確定申告書が必要となりますが、
フラット35は1期分の実績で審査が可能なため、
多くの個人事業主に選ばれています。
住宅ローン審査を通過するためのポイントは以下の通りです
・3期連続での黒字確認
・十分な自己資金の準備
・税金・保険料の適切な納付
・健康状態の確認
・良好な個人信用情報の維持
特に、過度な節税対策を避け、
適切な所得を確保することが審査通過の鍵となります。
また、既存の借入れを整理し、
個人事業主向け専門の金融機関を検討することで、
より円滑な住宅購入が可能となります。
住宅ローン選びは、長期的な視点で総合的に判断することが重要です。
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記事監修者
朝倉 大樹(宅地建物取引士)
株式会社ウィローズ 代表取締役
2000年不動産ベンチャー企業入社、28歳で最年少営業部長、29歳で最年少役員に抜擢。上場準備にも携わるが、リーマンショックによる倒産危機を経験するなど激動の20代を送る。
2012年株式会社ウィローズを創業。「お客様の利益を第一に」を理念に、売上高30億円を超えるグループ企業に成長。
不動産業界とお客様との情報の非対称性を解消するべくYouTube「不動産ポリス」を配信中。