はじめに
「築20年なら結構綺麗だし大丈夫だろう」と楽観的に考えていませんか?不動産ポリスの朝倉です。築20年くらいの中古マンションは、まだ内装が比較的綺麗なこともありデメリットがあまりクローズアップされない傾向にあります。そのため、「新築や築浅よりは劣るけど、大きな問題はないだろう」「価格的にも資産価値的に結構いいんじゃないか」と良い面に引っ張られて購入を決めてしまいがちです。しかし、実は、買って後悔した意外な落とし穴ともいえる注意すべきポイントがあります。それを知らずに購入してしまうと、「住み始めてからトラブルが発生した!」「資金計画が狂ってしまった!」と後悔してしまうかもしれません。そこで本日は中古マンション取引件数2500件以上で現役の社長である私、不動産ポリスが「【中古マンション】築20年の物件を購入した人の末路」というテーマで、築20年のメリットや注意点を次の3つの項目に分けて解説していきます。
①築20年のマンションはそもそも何年住める?
②築20年のメリット3選
③知らないと危険!築20年の落とし穴3選
動画の後半では、絶対に避けたい落とし穴とそれにはまらないための注意点をお話ししていくので最後までお見逃しなく!それでは、いくぞ!
本編
築20年のマンションはそもそも何年住める?
そもそも「築20年のマンションには何年住めるの?」と気になっている人も多いのではないでしょうか。国土交通省が調査した内容によると、鉄筋コンクリート造のマンションであれば耐用年数が120年、適切な外装の補修をすれば150年もつとされています。このことから、しっかりと維持管理や修繕が行われていれば、鉄筋コンクリート造の建物は長くもつと考えて良く、国土交通省の資料からも、築20年の中古マンションを購入しても50年以上住めることがわかります。また、築20年のマンションが建築されたのは2000年以降であり、長期修繕計画を立てているマンションがほとんどです。長期修繕計画では定期的な修繕ができるように、工事の内容や修繕積立金の貯蓄額の予想を立てます。長期修繕計画を立ててマンションの補修が適切におこなわれていれば、どのくらい長く住めるかはあまり気にしなくてもいいかもしれません。
ただ、これは建物の構造の話であって、配管の種類や設備などの内装についてはしっかりと確認しておく必要があります。特に、配管については築20年前後のマンションは「金属製」なのか「樹脂製」なのかを確認しましょう。一般的に金属製の配管は経年劣化しやすく、耐用年数は20年程度と言われているのですが、2000年以前に建てられたマンションにはこの金属製の配管も多く使われています。一方で、2000年以降主流となっている樹脂製の配管は、劣化しにくく30~40年ほどの耐用年数があると言われているため、水漏れなどのトラブルが発生しにくくなります。築20年前後の物件は、この2つの配管が混雑している年代の物件になるため、購入を検討する際は、どの種類の配管が使用されているのかをチェックするようにしましょう。
築20年マンションのメリット
築20年のマンションは長期間住めることがわかったところで、ここからは長く安心して住めること以外のメリットについても解説していきます。それは、次の3つです。
・新築時から4割ほど価格が下落している
・築20年前後は部屋が広くて設備が充実している
・住宅ローン控除を最大限受けられる可能性が高い
それでは、順番に詳しく解説していきます。
新築時から4割ほど価格が下落している
まず1つ目は「新築時から4割ほど価格が下落している」ことです。 東日本不動産流通機構が公表している「中古マンションの築年帯別平均㎡単価」(図1)のデータによると、築20年の中古マンションは、新築価格から4割ほど価格が下落していることが分かるかと思います。ここ数年のマンション価格の高騰で「新築や築浅には手が届かない!」という方でも、4割ほど価格が安くなっていると選択肢に含められそうというケースは多いのではないでしょうか。さらに、4割下落しているとはいっても、建物自体は安心して暮らせる可能性の高い現役物件なので、居住性と価格面のバランスが良いマンションかなと思います。
築20年前後は部屋が広く、設備が充実
メリットの2つ目は「部屋が広くて設備が充実している」点になります。東日本不動産流通機構が公表している「中古マンションの築年帯別平均面積」(図2)のデータによると、築20年前後の面積が他の築年数と比べて大きいことが分かるかと思います。先ほども少しお話ししましたが、ここ数年はマンションの㎡価格が高騰していることから、近年販売されているマンションはコストを抑えるために専有面積が小さい住戸が増えているんですね。結果、ほかの築年数と比較して、築20年前後の中古マンションの専有面積が広くなっているため、世帯人数の多いファミリー層の方は特に狙い目かなと思います。また、設備に関しても、2000年以降のインターネットが普及したこともあり「防犯」に関する意識が全体的に高くなりました。その結果、「セキュリティの強化」として「ダブルオートロック」「防犯カメラ」等の設備が備わっているマンションがこの年代から多くなっているため、このような設備面の充実も非常にメリットになります。
住宅ローン控除を最大限受けられる可能性が高い
3つ目は、「住宅ローン控除を最大限受けられる可能性が高い」ことです。基本的に、新耐震基準を満たしている、つまり築42年以内の住宅であれば所得税を節税できる住宅ローン控除を受けることが可能です。そしてさらに、省エネ基準を満たしている物件であれば、住宅ローン控除でより大きな節税を図ることができます。具体的には、中古住宅の住宅ローン控除は省エネ基準以上を満たしていれば借入限度額が3000万円となりますが、その基準を満たしていない物件の借入限度額は2000万円です。1000万円の差がでると節税できる所得税額の差が1年間で7万円になります。そして、中古住宅の住宅ローンは10年間所得税の節税ができるため、所得税節税額に最大で70万円の差がでてしまいます。
築20年前後のマンションは、2000年10月に始まった建物の品質を住宅性能評価機関が一定の基準に沿って評価する「住宅性能表示の交付」の影響から、業者が「良い評価をとれるように」と必死になって建てたという背景もあり、環境性能項目も高水準で満たしている物件が多いように感じます。つまり、築20年のマンションは、住宅ローン控除で最大で70万円分得することができる可能性が高くなるという税制面でのメリットもあります。
図1
図2
築20年マンションの落とし穴
ここまでメリットを紹介してきて、「やっぱり築20年くらいが狙い目だなあ」と思った方も多いのではないでしょうか。しかし、冒頭でもお伝えしたように、実は「知らないと危険!注意しなければならない意外な落とし穴」が潜んでいます。
それは、次の3つです。
・修繕費用が想像以上に高かった
・住宅ローンの借入期間・借入金額に制限があった
・購入してすぐに設備・配管の不備が発生した
それでは、順番に解説していきます。
修繕費用が想像以上に高かった
まず1つ目の落とし穴は、「修繕費用が想像以上に高かった」という点です。築20年の中古マンションは、1回目の大規模修繕の時期に差し掛かっています。大規模修繕をおこなうことでマンションの寿命は延びるものの、修繕積立金不足に陥ってしまうことがあります。大規模修繕は定期的に実施していく必要があるため、1回目が無事に完了したら今度は、2回目の工事に向けて修繕積立金を貯めていきます。しかし、1回目の大規模修繕の段階で貯蓄が計画的にうまくいっていない場合、2回目の修繕実施のために修繕積立金の値上げが行われてしまうというケースがあるんですね。
その結果、購入してすぐに修繕積立金や管理費の値上げが実行されて、生活費が圧迫されてしまうというケースがあるので注意しなければなりません。特に、住宅ローンを多く借りている場合、月額費用がちょっと増えるだけで返済できなくなるおそれもあります。住宅ローンの滞納は競売や自己破産に繋がってしまいます。そのため、そうならないように、信頼できる不動産会社と一緒に長期修繕計画書や総会議事録を確認して、修繕積立金が長期修繕計画どおりに貯蓄できているか確認することが大切です。そして、1回目の工事が完了していたとしても、2回目以降の大規模修繕がいつ実施されるのか、どのような内容なのかも事前にしっかり確認しておきましょう。
住宅ローンの借入期間・借入金額に制限があった
落とし穴の2つ目は、「住宅ローンの借入期間・借入金額に制限があった」というものです。築20年を超えた中古マンションを購入する場合、金融機関によっては住宅ローンの借入期間や借入金額に制限をしてくる場合があります。金融機関によっては法定耐用年数から築年数を引いた期間を、借入できる期間に設定することがあります。鉄筋コンクリート造の住居系建物の法定耐用年数は47年であるので、築20年の中古マンションを購入する場合、法定耐用年数47年から築年数20年を差し引いた27年が借入可能期間に設定されます。35年返済を検討していた人にとっては、8年も返済期間が短くなってしまうということです。返済期間が短くなると、返済金額が上がってしまうので注意しましょう。
また、借入金額に制限を受ける可能性があることにも注意しなければなりません。金融機関は住宅ローンを融資するときには、物件の担保価値を調査します。築年数が経過すると担保価値が少なくなることもあり、新築物件よりも少ない金額しか住宅ローンを借りられないおそれがあるということです。ただし、どちらも一部の金融機関の話であるので、実際に制限されるかどうかは利用を予定している金融機関に確認しておきましょう。
購入してすぐに設備・配管の不備が発生した
3つ目の落とし穴は、「購入してすぐに設備・配管の不備が発生した」というものです。築20年経過していると、設備や配管の不具合が発生しやすくなっています。一般的に給湯器やエアコン、空調などの設備の寿命は15~25年くらいと言われているため、建築当時から一度も交換していない場合、丁度購入のタイミングと不具合が発生するタイミングが被ってしまうことがあります。更に、配管の不具合には特に注意しなければいけません。先ほど挙げた設備であれば比較的簡単に取り替えることができますし、そこまで費用がかからないケースがほとんどです。しかし、配管となると、構造の関係で取り替えが難しいケースがあり、多額の費用がかかるケースもあります。そのため、築20年くらいはこのような設備等の不備が購入してすぐに発生してしまう可能性があるということを予め想定して、購入前に状態を確認したり、予算に組み込んだりしておくようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は「【中古マンション】築20年の物件を購入した人の末路」というテーマで解説してきました。築20年の中古マンションはまだ内装が綺麗であったり、共用部分や設備も比較的充実していたりします。さらに、新築マンションと比べると、4割程度価格が安くなっているというメリットに目が向いてそのまま購入を進めてしまいがちです。しかし、実際にはちゃんと事前に確認をしなかったことで、今回解説したような落とし穴にはまって後悔してしまうケースもあります。そうなってしまうと余計な費用を払わなければならなくなったり、修繕積立金の上昇や借入期間短縮の可能性があったりするので、後半で解説した注意点もしっかり抑えた上で、購入を検討するようにして欲しいなと思います。築20年の中古マンションの購入に成功するよう、動画の最後に解説した注意点もしっかり抑えた上で購入を検討していってください。
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