はじめに
「30代の方が中古マンションを購入するならこの築年数にしてください。」不動産ポリスの朝倉です。中古マンションの購入を検討しているものの、なかなか条件が固まらず購入を躊躇していませんか?始めてマイホームを購入するという方も多いので、「どのように条件を決めていけばいいのか分からない!」というのはよくあることですが、結婚や出産、子どもの成長といったライフスタイルの変化が多い30代が抑えるべき築年数の特徴を知らずに購入してしまうのは大変危険です。自分たちに合った築年数を選ばなかった結果、「設備が不十分で安心した子育てがしいにくい!」「住宅ローンの返済が大変!」と後悔してしまうかもしれません。そこで今回は、不動産業界歴25年となった私不動産ポリスが、「【30代中古マンション】購入は築○○年にしてください。」というテーマで、次の3つの項目に分けて解説していきます。
①30代がマンション購入を検討する理由
➁30代は今マイホームを購入すべき
③ポリスおすすめの築年数
動画の後半で、この年代が狙うべきポリスおすすめの築年数を具体的に解説していきますので、最後までお見逃しなく!
本編
30代がマンション購入を検討する理由
30代は、様々なライフイベントをきっかけにマンション購入を検討される方が多くなっています。一般社団法人不動産流通経営協会の「不動産流通業に関する消費者動向調査2023年度」の調査によると、30代で不動産の購入をしようと考えた理由の第1位は「子供の誕生や成長で現在の住まいが手狭になったこと」でした。さらに、お手頃な価格であることが既存住宅を購入した理由とされています。つまり、この年代の人はライフスタイルの変化で不動産を探し始める人が多く、その中でも仕事や通勤の便利さや子育て・教育のしやすさ、日当たりなどを重視する人がマンションを選ぶ傾向にあるのかなと思います。そして、その上で比較的お手頃価格で購入したいという方が、中古マンションを検討しているのかなと思います。
30代は今マイホームを購入すべき
30代は、マイホームを探している人が多くいますが、ちょうどこの年代というのは、マイホームを購入すべきタイミングと合致しています。それは、次のような5つの状況が揃っているからです。
①住宅ローンの低金利が継続している
②住宅ローン控除の減額対象にならない可能性が高い年代である
③健康なうちに住宅ローンを組める
④賃貸価格が上がっている
⑤将来的にかかるお金の見通しが立てられる
5つの状況がなぜ、30代でマイホームを購入すべきタイミングに影響するのか順番にみていきましょう。
①住宅ローン低金利
30代が今マイホームを購入すべき1つ目の理由は「住宅ローンの低金利が継続している」からです。フラット35の「住宅ローン金利の推移」(図1)によると、2023年から固定金利・全期間固定金利に関しては上下しながら増加しているものの、変動金利は下がり続けており、史上最低金利を維持しています。住宅ローンは支払いがスタートした段階が一番元本を減らしやすいタイミングになります。そのため、金利の低いうちに住宅ローンを借り、早めに元本返済をすすめることで、今後起こりうるかもしれない金利上昇の影響を少なくすることができます。そのため、住宅ローンを借りる予定の方は、金利の低い今のうちに進めていくことがおすすめです。近年は、円安や戦争などの影響で資材の価格や人件費が上昇で成約㎡単価も上昇していますが、それとは逆にまだ住宅ローンは低金利状態が継続しているため、購入タイミングとして狙い目かなと思います。
②住宅ローン控除の好条件
2つ目の理由は「住宅ローン控除の減額対象にならない可能性が高い年代である」からです。2024年に入り、新築マンション・買取再販物件を購入する際の住宅ローンの減税幅が縮小されました。縮小されたのは省エネ基準以上の住宅に関してですが、子育て若者夫婦世帯が購入する場合に限り縮小は適用されません。30代は子育て若者夫婦世帯に該当する人が多くおり、住宅ローン控除を最大限活かせる年齢であり、今マイホームを購入すべき年代といえます。また、中古マンションに関しては2024年に入っても、住宅ローンが縮小するということはありません。今までどおり、一般の中古不動産なら住宅ローンの年末残高2000万円まで、省エネ基準以上の住宅なら3000万円までが適用されます。30代は、年を重ねた人に比べて購入した不動産に長期間住む可能性が高いため、中古マンションの中でも省エネ基準以上の住宅を購入して住宅ローン控除を最大限に活かしていくことも可能です。
③健康なうちに住宅ローンを組む
30代が今マイホームを購入すべき3つ目の理由は「健康なうちに住宅ローンを組める」からです。団体信用生命保険、いわゆる団信に加入できないと住宅ローンの借入ができません。そして、この団信は健康状態が悪いと加入ができません。加入できるかどうかの基準は非公開であるものの、一般的に次のような人は加入できないおそれがあります。
・病気の治療中で入院
・手術の予定がある
・告知書に記載されているがんや脳卒中、精神疾患などを患っている
・再検査や精密検査などを指摘されているにもかかわらず治療していない
年齢を重ねると、病気のリスクが高くなりますので、まだ健康である可能性が高い30代は、このような条件をクリアしやすいかなと思います。また、年齢が上がるにつれて、返済期間が短縮されて月々の支払額が上がったりする可能性もありますので、30代で住宅ローンを組むことで、返済計画にも柔軟性を持たせることができるというメリットもあります。
④賃貸価格も上がっている
4つ目の理由は「賃貸価格が上がっている」からです。最近のコロナ禍後の経済の正常化や、円安、人材不足などの要因により物価上昇が起こっていますよね。そのため、賃貸物件のオーナーさんとしても、このような物価上昇を踏まえて家賃を引き上げることを検討している方も少なくありません。その結果、東京カンテイがプレスリリースした「築年帯別分譲マンション賃料の推移」からも分かるように、東京23区内の賃貸物件の賃料はすでに値上がりしています。この場合、賃料よりも住宅ローンの月々返済額の方が安くなる現象が起きます。月々の支払いを抑えられて、自分の資産になるのであれば、借りるよりも購入した方がいいといえます。
⑤将来的にかかるお金の見通しが立てられる
5つ目の理由は「将来的にかかるお金の見通しが立てられる」からです。マンションの購入にあたって住宅ローンを借りる場合、ご自身の年収を踏まえて月々の返済額や借入期間を決めて、資金計画を立てていく形になります。その中で、改めて家計を見直したり、子どもの成長に合わせてまとまったお金が必要になるタイミングを確認したりする必要が出てきますので、必然的に将来的にかかってくるお金の見通しを立てることができます。早い段階で家族の資金計画を立てることが出来ると、自分のライフプランを明確にすることが出来るので将来への不安を軽減させられるというメリットもあるかなと思います。
図1
おすすめの築年数
ここまでは、30代が今マイホームを購入すべき理由をお話ししてきました。では、実際に購入するとなった時に、どのくらいの築年数の中古マンションを購入すればよいのでしょうか。結論から申し上げますと、築20年前後もしくは築31年〜42年の中古マンションがおすすめです。その理由について、それぞれ詳しく解説していきます。
築20年前後
まず築20年前後の中古マンションには、次のメリットがあります。
・子育て世帯が安心して暮らせる住環境であることが多い
・築20年前後の物件であれば新築時から3~4割価格が下落しており購入しやすい
・大規模修繕がおこなわれた直後くらいの築年数である
・環境性能の高い建築物であることが多い
築20年前後のマンションは、子育て世帯が安心して暮らせる住環境であることが多く、30代が購入するのに適しているといえます。築20年前後のマンションは、不動産の質を確保するために制定された「品確法」に則って建築されています。品確法では「瑕疵担保責任の特例」「住宅性能の表示」「紛争処理体制の整備」を柱としており、高品質な住宅に住むことができ、子育て世帯でも安心して居住することが可能です。
また、築20年前後のマンションは、防犯意識の向上や高齢社会問題に対応し始めているのも特徴です。エントランスだけでなくエレベーターにもオートロック機能がある「ダブルオートロック」、共用部分に防犯カメラを設置するなどの防犯対策がおこなわれています。そして、高齢社会問題への対策として、バリアフリー化している年代です。バリアフリーは高齢者だけでなく子供の転倒防止にも役立つため、子育て世帯が安心して暮らせます。また、公益財団法人東日本不動産流通機構が公表している「中古マンションの築年帯別平均㎡単価」(図2)のデータからも分かるように、 築20年前後の物件であれば新築時から3~4割価格が下落しているため、比較的手が出しやすい価格帯になってきています。
更に、1回目の大規模修繕が終わっている時期ですので、共用部分がキレイになっていて過ごしやすい環境であるかと思います。また住宅性能表示の交付が2000年10月にスタートしたことで、当時つまり築20年前後の分譲マンションからは環境性能項目も高水準で満たしている物件が増えています。一定の省エネ基準を満たす物件は、住宅ローン控除を最大3000万円まで受けられる物件の選択肢が増えるというメリットもありますので、ぜひ確認してみることをおすすめします。
築31年~42年
続いては、築31年〜42年の中古マンションのメリットをみていきましょう。
・新耐震基準である
・比較的割安に購入できて値崩れしにくい
・最低限必要な設備は整っている
・物件価格を抑え自分たちが子育てしやすい環境にリフォームする方法もある
それでは、詳しく解説していきます。築30年以上となると「なんとなく古そうで心配…」と思っている方もいるかもしれませんが、築42年以内であれば、震度6強~7程度の揺れでも家屋が倒壊・崩壊しないことを基準としている「新耐震基準」が適用されています。そのため、耐震面での安心感がありますし、住宅ローン控除を受けられたり、ローン審査時の担保評価額が高くなったりと、住宅ローンの面でもメリットがあるので、築42年以内というのが一つ重要な基準になります。そして、公益財団法人東日本不動産流通機構が公表している「中古マンションの築年帯別平均㎡単価」(図2)のデータから分かるように、 築31年〜42年の中古マンションは、価格が安定し値崩れしにくくなる時期です。
築36年以降で少し価格が上昇していますが、これは、業者が築古マンションを買い取ってリノベーションをした上で再販するという買取再販物件の戸数が多いことが要因かと思います。それでも、新築・築浅物件と比較すると5割ほどの価格になっているため、比較的割安に購入することができます。また、築年数が古いといってもこれくらいの年代の物件は、オートロックや宅配ボックスなどの最低限の設備は整っていることもあるため、生活するのに困ることは少ないでしょう。仮に設備面で物足りないとしても、築31年〜42年の中古マンションは比較的安価で購入できることもあり、リフォーム・リノベーションに予算をあてて設備面を改善することも可能です。子育て世帯であったとしても、リフォーム・リノベーションすれば快適な室内空間を実現出来るかなと思います。
図2
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は「【30代中古マンション】購入は築○○年にしてください。」というテーマで解説してきました。働き盛りである30代の方でそろそろマイホームを購入しようかなと思いつつも、漠然とした不安からなかなか足を踏み出せていない方もいらっしゃるかと思います。しかし、動画の前半でも解説した通り、現在の住宅ローン金利や税制の状況、今後の資金計画の見通しなどの点から、なるべく早い段階で購入を進めた方が良いかなと思っています。また、築年数についても、私不動産ポリスとしては、30代は「築20年前後」「築31年~42年」の物件を狙うことをおすすめしますが、1番は自分たちがマイホーム購入によって叶えたいことが何なのかを大事にして選択していきましょう。
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