はじめに
最近、「マンションが高すぎる」といった声をよく耳にします。
先日、首都圏の新築マンションの平均価格がついに1億円を超えたというニュースが報じられ、世間でも話題となりました。
朝の情報番組やニュースでも取り上げられており、その背景には、極端に高額な2物件が平均価格を押し上げたという要因がありました。
しかし、それを除いても首都圏の新築マンション価格は右肩上がりで推移しており、それに伴って中古マンションの価格も上昇しているのが実情です。
それでは、なぜこれほどまでにマンション価格は上昇し続けているのでしょうか?
本記事では、マンション価格が高騰している理由、中古マンションの価格を押し上げている仕組みについても解説していきます。
本編
リノベーション中古マンションの高騰要因
現在、日本のマンション価格は右肩上がりで上昇を続けています。
国土交通省が公表している不動産価格指数を確認すると、マンション価格が継続的に上昇していることが読み取れます。(下図参照)

(参考)不動産価格指数(令和6年11月・令和6年第3四半期分)
特に中古マンションの価格は、2013年を境に年々上昇を続けており、現在では過去最高水準に達しています。
なぜここまで価格が上昇しているのかと疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。
そこで、ここでは、リノベーション中古マンションの高騰要因として、
・人気エリアにおける需要の集中
・建築資材価格の高騰
・金融緩和による住宅ローン金利の低下
・コロナ禍を経たライフスタイルの変化
・円安の進行による海外投資家からの需要
について、解説していきます。
人気エリアにおける需要の集中
まず、最初に考えられる要因として挙げられるのが、「エリア・地域」による影響です。
不動産はその名のとおり、動かせない資産であるため、地域によって需要が異なります。
人気のあるエリアでは、価格が上昇しやすい傾向にあります。
例えば、東京の人気エリアとしては「港区」「渋谷区」「世田谷区」などが挙げられますが、現在では地方都市においても、人気エリアの価格が上昇しつつあります。
東京全体でも、マンション価格は上昇傾向にあります。
また、再開発が進んでいる地域では、大規模なインフラ整備に伴い、地価が高騰する傾向があります。
例えば、「東京オリンピック」や「大阪万博」などでは、大規模なインフラ整備が行われ、地価の上昇が見込まれています。
このように、人気エリアや駅から徒歩10分圏内のマンションは、需要が高いため、築年数が経過していても資産価値が維持されやすい傾向にあります。
現在の価格は高水準にありますが、将来的にも値下がりしにくい物件と言えるでしょう。
建築資材価格の高騰
マンションが値上がりする理由として、「建築コストの上昇」も挙げられます。
マンションを建築するために必要な建築資材が品薄になっていることや、円安の影響により海外から安価な資材を輸入しにくくなっていること、人材不足などが要因となり、建築コストが上昇しています。
一般社団法人「建設物価調査会」が公表している建設物価指数を見ても、近年の建築コストが右肩上がりで上昇していることが確認できます。(下図参照)

金融緩和による住宅ローン金利の低下
マイホームの購入に欠かせない住宅ローンの金利水準が低いことも、マンション価格の上昇に影響しています。
現在は、日本銀行による金融緩和政策の影響で、住宅ローンの金利は歴史的に見ても非常に低い水準で推移しています。
実際に、住宅金融支援機構と民間金融機関が提供しているフラット35が公表している「民間金融機関の住宅ローン金利(店頭金利)の推移」を確認すると、現在の金利が極めて低いことがわかります。(下図参照)
(参考)金利のタイプとは?:長期固定金利住宅ローン【フラット35】
多くの購入者は住宅ローンを利用してマイホームを購入しているため、デベロッパーとしては価格を多少引き上げたとしても、金利が低いため毎月の返済額が大きく増加しにくく、高価格の物件であっても売れやすい状況が生まれています。
コロナ禍を経たライフスタイルの変化
コロナ禍を経たライフスタイルの変化も、マンション価格の値上がり要因の一つとなっています。
新型コロナウイルスの感染拡大以前にはあまり見られなかったテレワークの普及により、自宅で過ごす時間が増加した人が多くなっています。
おうち時間の増加により、マイホームに対する価値観を見直す人が増えました。
例えば、「もう一部屋ほしい」「おうち時間を快適に過ごしたい」「テレワークに適した静かで防音性能の高い住まいに住み替えたい」といったニーズが高まり、マイホームの購入を希望する人が増加しています。
円安の進行による海外投資家からの需要
日本の円安の影響により、海外からの投資家による日本の不動産への関心が高まっていることも要因の一つです。
円安の状況下では、海外投資家にとって日本の不動産を比較的安価に購入できるため、主要エリアに位置し、駅からのアクセスが良好なマンションは投資用物件として人気が高まっています。
買取再販の仕組み
ここまで、マンション価格が高騰している理由について解説してきました。
次に、中古マンションの価格上昇を後押ししている「ある仕組み」について解説します。
それは「買取再販」と呼ばれる手法です。
買取再販とは、不動産会社が中古マンションを一度買い取り、その後リフォームやリノベーションを施したうえで再び販売するビジネスモデルです。
いわゆる「リノベーション済み物件」と呼ばれるものがこれに該当します。(下図参照)
一方、中古マンション売買で一般的なケースは、現所有者である個人から物件を預かり、購入を検討する顧客に対して不動産会社が仲介する形です。
この場合、売主は元々の所有者である個人となります。
買取再販では、不動産会社が物件を直接買い取ったうえで、リノベーションしてから販売します。
そのため、外観は中古マンションであっても、内装は新築同然となっており、購入希望者が内見した際に好印象を持ちやすい特徴があります。
これまでは、このようなリノベーション済み物件を比較的安価に購入できる点がメリットとされてきました。
しかし、マンション価格全体が高騰している現在では、十分に情報収集しなければ、割高な物件を購入してしまう可能性もある点に注意が必要です。
リノベーション中古マンション購入における注意点
リノベーション中古マンション購入における注意点として、ここでは、
・リノベーション中古マンション購入において損する場合
・リノベーション中古マンション購入時に注意するポイント
について、解説していきます。
リノベーション中古マンション購入において損する場合
リノベーション中古マンション購入において損する場合について解説いたします。
現在、新築マンションの価格が高騰している影響で、中古マンションへの需要が高まっています。
それに伴い、中古住宅の買取再販市場も活発化しており、多くの買取再販業者が参入しています。
この結果、業者間での仕入れ競争が激しくなり、中古マンションの本体価格が上昇しています。
リノベーション物件の価格は、主に以下の4つの要素で構成されています。
・中古マンションの本体価格
・リノベーション費用
・経費(税金・金利・仲介手数料など)
・買取再販による利益
これらがすべて加算された価格で販売されるため、物件価格が高くなる傾向があります。
一方、通常の仲介によって中古マンションを購入する場合、価格構成は本体価格と仲介手数料などの経費が中心となります。
例えば、本体価格が3,000万円の物件を購入し、リノベーション費用として1,000万円をかけた場合、以下のようになります。
買取再販物件
・中古マンションの本体価格:3,000万円
・リノベーション費用 :1,000万円
・経費 :約400万円(本体価格+リノベ費用10%)
・買取再販による利益 :約440万円(本体価格+リノベ費用+経費10%)
総額 :約4,840万円
仲介物件
・中古マンションの本体価格:3,000万円
・リノベーション費用 :1,000万円
・経費 :約240万円(本体価格8%)
総額 :約4,240万円
同じ工事を施しても、買取再販物件は約600万円高くなることがわかります。
もちろん、すべてのリノベーション物件が割高というわけではありません。
買取業者の中には、一般価格よりも安価で物件を仕入れたり、リフォームコストを抑えるため工夫しているケースもあります。
ただし、中にはこのシミュレーションのように価格が割高になっている物件も存在し、それが中古マンション価格の高騰要因の一つになっています。
リノベーション中古マンション購入時に注意するポイント
リノベーション物件は、新築マンションより比較的安価に購入できるうえ、内装が新築同様であるという点が魅力です。
しかし、通常の「仲介」取引と比べて、利益や工事の企画料が上乗せされることにより、割高になる可能性があります。
そのため、中古マンション価格が高騰している現在、リノベーション物件を購入する際には、損をしないように事前に確認すべきポイントがあります。
市場相場の確認
再販物件の市場相場を把握することが重要です。
相場を知らずに検討を進めてしまうと、その物件が適正価格かどうかを判断できません。
市場相場を確認する方法として、近隣エリアの成約履歴を調査し、類似物件と価格を比較することが有効です。
具体的には、同じ地域内で買取再販により成約された物件の価格を確認し、検討中の物件と照らし合わせて判断します。
成約事例の調査については、買取再販業者に依頼したり、信頼できる不動産会社に相談するのも良いでしょう。
リノベーション工事内容と費用の確認
もう一つの重要な確認事項は、リノベーション工事内容と費用の内訳です。
工事内容だけを見ても、実際にどの程度の費用がかかっているのか判断するのは難しい場合があります。
そのため、どのような工事が行われ、どれくらいの費用がかかったのかを、業者から資料で提示してもらい、詳細に検討することが必要です。
これらのポイントを押さえることで、リノベーション中古マンションの高騰要因を正しく理解し、割高な物件を避ける判断材料にできます。
まとめ
「中古マンションの価格高騰」をテーマに、マンション価格の動向と、注目されているリノベーション物件の仕組みについて解説しました。
これまで、マンション市場の相場は右肩上がりで上昇を続けてきましたが、今後も同様の傾向が続くとは限りません。
実際には、エリアによって価格が下落している例も見られます。
中古マンションの購入を検討されている方は、同一エリア内の成約事例を調査したうえで、市場相場と比較し、検討中の物件価格が妥当かどうかを見極めたうえで判断することが重要です。
本記事を今後の購入判断の参考にして、住まい探しをしましょう!
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