はじめに
家を買おうと思われている方は聞いたことがあるという方が多いかもしれませんが、住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んで家を買うと、支払った所得税や住民税が戻ってくるというものです。これがある年に制度がガラッと変わったり、建物についての条件が複雑だったりで、全容を理解するのが結構難しい。YOUTUBEの動画や税制大綱なんかを見てても、分かりにくい。なので税制の話をするのではなく、具体的な物件を提示して、実際この物件の場合は使えるの?使えないの?使えるとしたらいくら使えるの?と、物件側から学んでいく、逆引きの視点でローン控除について解説しています。今回は中古マンション編です。
本編
床面積は登記簿面積が対象。広告上の面積と異なるので注意!
1991年築なので築30年経っています。床面積が52.03m2。価格は4580万円(税込)です。まず、価格が(税込)となっていますので、ローン残高4000万円×1%が使える物件です。消費税8→10%の影響を受けている物件だから、ローン控除は2000万円×1%ではなくて4000万円×1%ということです。こちらは新築戸建て編で詳しく紹介していますので、そちらを合わせてご確認ください。
次に床面積52.03m2ですが、これがまたポイントです。住宅ローン控除は床面積50m2以上の物件が対象なのですが、この対象面積は「登記簿面積」なんです。でもパンフレットとか販売上出てくる面積は壁芯面積なんです。
登記簿面積は壁の内側の面積
この図の赤い線が販売上の面積で壁芯面積なんですが、住宅ローン控除の対象は青い線の面積なので、少し登記簿面積の方が小さくなります。マンションの間取りによって、パイプスペースがあったり、構造上柱が室内に大きく入っていたり、ズレが大きい場合は5m2くらいずれることもあるので、販売パンフレットで52m2でも、登記簿面積が47m2だとローン控除使えないことがあるので注意が必要です
床面40㎡以上もローン控除対象に!ただし所得制限1000万…
この50㎡以上の要件ですが、税制大綱によって50㎡未満でも40㎡以上あれば住宅ローン控除が使えるようになることが発表されています。但し新たに拡充される50㎡未満40㎡以上の場合は1000万円の所得制限がかかります。普通の住宅ローン控除も所得制限3000万円という制限はあるのですが、所得制限1000万円なので制限にかかってしまう方も多くなるのではないかと思います。所得制限は「収入」ではなく「所得」なので、額面的には1200万円以上の年収がある方がかかってくると思います。細かいところは令和3年の4月1日以降に明らかになってくると思います。
ちなみにマンションは構造体(マンションの壁)はマンションみんなの所有物であり、壁の内側の面積を買うという考え方なので、このようなずれが生じています。マンションは勝手に壁を壊したりできないのも同じような考え方に基づくものです。一方一戸建ての場合は壁も自分のものなので、登記簿面積とパンフレットの面積は変わりません。
木造築20年、マンション築25年以上でも諦めないで。「耐震適合証明書」でローン控除対象に!
次に築年数ですが、このマンションは築後30年経ってます。ローン控除適用の条件は木造で築20年以内、マンションなどの耐火建築物の場合は築25年以内という要件があるので、その知識だけだとこの物件は30年経っていますので、ローン控除が使えないとなります。しかし、木造で20年、マンションで25年経っていても、「耐震基準に適合している」という証明書があればローン控除は使えるんです!
不動産購入を考えられている方はご存じかもしれませんが、1981年6月1日に建築基準法が大きく変わり、それ以降の建物は新耐震、それより古いものは旧耐震なんて言います。この物件の場合は築25年ですが、1981年以降の新耐震の建物ですので、そもそも耐震基準に適合しているはずなんです。なので耐震基準に適合しているよと言う書類「耐震基準適合証明書」がとれればローン控除の対象になります。特にマンションの場合は新耐震であれば築25年経過していても、とれるケースが多いので絶対トライした方がいいです。そして大事なことがもう1点。「耐震基準適合証明書」は基本的に決済する前にとる必要があります。なので気に入った物件は不動産会社さんに「耐震基準適合証明書」とれるか、契約前に確認しておく必要があります。
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まとめ
Point.
1
物件価格の消費税の有無によって、還付金額が半分になることもある
Point.
2
床面積50m2、40m2に注意。ローン控除対象面積はパンフレット面積ではなく登記簿面積で、50m2未満には所得制限がある
Point.
3
木造は築20年、マンションは築25年に注意。それより古くても耐震基準適合証明書でローン控除が使える場合がある。
今回の内容は不動産屋さんでも住宅ローン控除や税金に明るくないと良く分かっていない方もいらっしゃるので、ぜひこの動画を見て予備知識を持って頂き、お得な不動産購入をして頂ければと思います。
Point.
4
記事監修者
朝倉 大樹(宅地建物取引士)
株式会社ウィローズ 代表取締役
2000年不動産ベンチャー企業入社、28歳で最年少営業部長、29歳で最年少役員に抜擢。上場準備にも携わるが、リーマンショックによる倒産危機を経験するなど激動の20代を送る。
2012年株式会社ウィローズを創業。「お客様の利益を第一に」を理念に、売上高30億円を超えるグループ企業に成長。
不動産業界とお客様との情報の非対称性を解消するべくYouTube「不動産ポリス」を配信中。