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【中古マンション】築30年以上のマンション購入の成功&失敗5選
はじめに
「築30年以上は買って良いの?」と迷っていませんか?不動産ポリスの朝倉です。築30年程度のマンションには、「買って成功した!」というプラスの面と、「買って失敗だった…」というマイナスの面が両方同じくらい存在します。良い面と悪い面、そのどちらかの情報しか知らなかったことで、購入の選択肢から外してしまったり、注意すべき点を見逃して購入したりしてしまうと、後々後悔してしまうかもしれません。そこで今回は、「【中古マンション】築30年以上のマンション購入の成功&失敗5選」というテーマで、築30年以上のマンションのメリット・デメリットを次の4つのパートに分けて解説していきます。
①築30年以上のマンションの現状
②築30年以上マンションの成功例5選
③築30年以上マンションの失敗例5選
④失敗しないために注意すべきポイント
購入を失敗しないために注意すべきポイントを動画の後半で解説していきますので、最後までお見逃しなくなく!
本編
築30年以上のマンションの現状
築30年以上のマンションの成功例や失敗例をお話しする前に、まずこの築年数のマンションの現状からお話ししていきます。東日本不動産流通機構の「中古マンション築年帯別構成比率」(図1)のデータを見てみると、年々築31年以上のマンションの新規登録物件数と成約数が年々増加しており、2022年には近年でもっとも多い数となっています。
新規登録物件数は2012年に登録物件全体の23.3%でしたが、2022年には46.9%に増加しています。そして、成約数は2012年に成約数全体の20.6%でしたが、2022年には31.5%まで増加しています。まず、新規で売りに出されるマンションの約半数が築31年以上というのに驚きですよね。つまり、中古マンションの購入を検討する場合、この全体に対する売り出し数の割合の高さから見て、築30年以上のマンションが選択肢に入ってくる、あるいは入れざる得ない状況になってきているということが考えられます。ここ数年は、新築物件や築浅物件の価格が高騰していたため、なかなか手が届かない状況であったことから、築年数が経過している物件を検討しているという方も多いかと思います。そして、成約件数も年々増えていることから、実際に購入している方も多くなっているというのが現状です。
具体的に物件を探し始める前に、マンション市場がどのような状況になっているかを知ることで、価格面や選択肢の多さなどの観点から、どれくらいの築年数を狙うべきなのかなどを把握することが出来ます。そのため、まず、マンション市場の現状を知るということは、購入においてとても大切になってきます。
図1
築30年以上のマンションを買ったときの成功例
築30年以上のマンションの現状をお話ししたところで、本題の成功例についてお話ししていきます。築年数が経過しているマンションはメリットが少ないというイメージを持っている人も多くいるようですが、そのようなことはありません。実は、意外とメリットが多く、購入してよかったと思っている人も多くいます。買って良かったと感じている成功例は次のとおりです。
①価格が比較的割安で値崩れしにくい
②駅近・好アクセスなど立地条件が良いことも多い
③管理状態を把握しやすい
④1回は大規模修繕が完了している
⑤物件の選択肢が多い
それでは、築30年以上のマンションを購入した人の成功例を詳しくみていきましょう。
①価格が比較的割安で値崩れしにくい
成功例の1つ目は、「価格が比較的割安で値崩れしにくいこと」です。東日本不動産流通機構の「中古マンションの築年帯別平均㎡単価」(図2)のグラフからも分かるように、マンションの価格は、築年数が経過するにつれて下落していきます。
築31年以降の物件価格というのは、新築時と比較して3割程になっているため、比較的割安で購入することができます。また、こちらのデータでは、築31年以降の推移に関しては記載されていませんが、旧耐震基準に切り替わる築42年くらいまでは価格がじわじわと下落し続け、築42年をポイントにして下げ止まると推測されます。一方で、新築マンションの場合は、新築から20年以内程度で価格が半分になってしまうことがこちらのグラフからも分かるかと思います。購入したときには高額だったのにも関わらず、時間経過とともに資産価値がどんどん下落してしまって、購入時よりも低い価格でしか売れないということが起こってしまうんですね。このようなことから、築30年以上のマンションは比較的割安で購入でき、購入後も大きく資産価値が下落するとは考えにくいため、値崩れしにくいというのがメリットになります。
図2
②駅近・好アクセスなど立地条件が良いことも多い
成功例の2つ目は、「駅近・好アクセスなど立地条件が良いことも多いこと」です。マンションは駅近などのアクセスの良い場所から開発されていくため、築年数の経過したマンションは、一般的に新しいマンションよりも立地が良いケースも多くあります。現在はマンション建設用地が少なくなってきているといわれていますが、30年ほど前は、駅前に多くの土地があったからですね。マンション購入を検討する際に、「立地が良いかどうか」を重要視して探す人が多いため、好立地条件のマンションというのは需要が高く、資産価値が下がりにくいと言われています。そのため、自分たちが住みやすいだけでなく、将来的に売却する際にも売りやすいという点からも、立地条件が良いマンションというのは狙い目であり、そのような物件が築30年以上に比較的多く、選択肢が豊富である点がメリットになります。
③管理状態を把握しやすい
成功例の3つ目は、「管理状態を把握しやすいこと」です。マンションの管理状態は入居者の質や管理組合の体制などよって変わってきます。新築や築浅マンションの場合は、まだ年数が経過していなく、建物自体が物理的に綺麗な状態であることや管理状態の良し悪しがまだ表面的に現れていないことから、良好な管理がなされているかが、なかなか見てわかりません。しかし、築30年くらい経過していると、建物の経年劣化や共用部分、修繕積立金の状態に、管理体制の良し悪しが現れてくるため、これらの歴史的事実を確認することで、どのような管理をされているのかが判断しやすくなります。
例えば、共用部分のゴミ置き場が汚れているままであったり、外観のひび割れやクロスの剝がれなどが修理されていなかったりする物件は、管理組合や住民のマンション管理に対する意識が低く、管理状態が良いとは言えません。また、修繕積立金の積立状況や長期修繕計画書を確認することでも、管理状態を把握することができます。築30年経過しても修繕積立金がまだ計画通りに貯まっていたり、長期修繕計画書通りに修繕がされていたりする場合は、管理組合がしっかり機能している管理状態の良い物件であると言えます。管理状態は物件の資産価値に大きく影響してきますので、どのような管理がされているかを把握しやすいというのは、大きなメリットになります。
④1回は大規模修繕が完了している
成功例の4つ目は、「1回は大規模修繕が完了していること」です。マンションは、定期的に補修しないと建物の寿命が短くなってしまいます。そのため、10年~15年に1回大規模な補修をおこないます。築30年経過していると少なくても1回、マンションによっては2回大規模修繕がおこなわれているはずです。大規模修繕には多額の費用がかかり、マンションによっては1回の工事で数千万円~数億円もかかるので、工事をおこなうには修繕積立金が貯まっていないといけません。そのため、大規模修繕が終わっているという実績があれば、修繕計画書通りに工事が実施されている、かつ滞納などがなく修繕積立金がしっかり貯められているマンションということがわかります。また、大規模修繕が終わっていればマンションの外装や共用部分の設備が新しくなっているため、築年数が経過していても快適に過ごすことができます。つまり、大規模修繕が1回は完了しているマンションであれば、しっかり計画通りに修繕を行える管理体制であり、居住中の快適性も確保することが出来るので、修繕が行われているかどうかをチェックするようにしましょう。
⑤物件の選択肢が多い
成功例の5つ目は、「物件の選択肢が多いこと」です。今回の動画の冒頭でも解説したとおり、2022年には築30年以上のマンションの新規物件登録数・成約数ともに過去最高を記録しました。新しく売りに出される物件にしめる築31年以上の物件の割合が多いので、必然的に築31年以上の物件の選択肢が多くなっていくという状態です。そのため、「駅近のマンションを探している」「4LDK以上の広さを探している」など、見つかりにくい条件で物件探しをしている方にとっても、希望する条件に合う物件に出会える可能性が高くなります。
築30年以上のマンションを購入したときの失敗例
ここまでは、築30年以上マンションの「購入して成功した」という点を5つ紹介してきました。しかし、これくらいの築年数のマンションにはデメリットもあるため、人によっては購入に失敗したと感じてしまう人がいるのも事実です。築30年以上マンションの失敗したと感じた事柄の代表例は、次のとおりです。
①修繕積立金が高くなってしまった
②購入後すぐに大規模修繕工事が始まってしまった
③想定よりもリフォーム費用がかかった
④耐震面への不安を感じた
⑤実際に住むと細かい生活上の不便を感じた
それでは、築30年以上マンションを購入したときに失敗したと感じるのは、どのような時なのかみていきましょう。
①修繕積立金が高くなってしまった
失敗例の1つ目は、「修繕積立金が高くなってしまった」ということです。築30年くらい経過すると大規模修繕をおこないますが、修繕積立金が貯まっていないと工事できません。しかし、修繕積立金が貯まっていないからといって工事をしないと、建物が傷んでしまうため、不足分を修繕積立金の値上げで対応することが多くあります。不足金額によっては相当な値上げが実施されたり、修繕積立一時金と呼ばれるお金が修繕積立と別に徴収されたりします。また、築年数が経過するにつれて、外壁のひび割れやクロスの剝がれなど、経年劣化が進んでいくため、修繕の必要性も増していきます。そうなると、その修繕にかかる費用も増えていくため、新築時の徴収額は低めに設定して、年月が経過するにつれて、段階的に修繕積立金を値上げしていくという方法をとっているマンションもあります。「マンションを購入した直後に徴収額が高くなった!」という事態を避けるためにも、購入する前に、これから値上げの予定がないか、修繕積立金は予定通りに貯まっているかなどを確認するようにしましょう。
②購入後すぐに大規模修繕工事が始まってしまった
失敗例の2つ目は、「購入後すぐに大規模修繕工事が始まってしまったこと」です。築30年以上のマンションは定期的に大規模修繕をおこなうため、タイミングによっては、購入直後に大規模修繕工事が始まってしまうということがあります。大規模修繕はその名の通り、大規模な工事であるため、費用面や生活面で負担を感じることがあります。例えば、これまで貯めた修繕積立金では足りないという場合に、修繕費用を臨時で徴収されたり、足場を掛けるためにバルコニーや窓の前を工事する人が通って気になったり、騒音や振動に悩まされてしまったりというものです。更に、工事の規模によっては、仮住まいへの引っ越しが必要になることもあります。夢のマイホームを手に入れた後すぐに、このような負担を感じた生活を送るのは避けたいですよね。大規模修繕の実施時期は、不動産会社を通して長期修繕計画書を確認することで把握することができますので、あらかじめ確認しておきましょう。
③想定よりもリフォーム費用がかかった
失敗例の3つ目は、「想定よりもリフォーム費用がかかった」ということです。築30年以上のマンションは、水回りの設備や配管などが寿命を迎えて故障してしまったり、クロスやフローリングのメンテナンスが必要になったりします。予め売主側でリフォームされているケースもありますが、住み始めてからそのような不備が発生してしまうこともあります。また、新築同様の内装にしたい、水回りなども最新設備を備えたいとなった場合にも、購入後に自分たちでリフォームをする必要が出てくるケースがあります。小さいリフォームであれば、100万円程度のものもありますが、内容によっては1000万円近くかかることもあり、想定よりもリフォーム費用が高くて、理想のリフォームが出来なかったという後悔の声も、実際に現場で耳にすることがあります。
そのため、購入する際には、物件価格だけでなく、リフォームを行う可能性もあることを見越した資金計画をしておくようにしましょう。そうすることで、いざリフォームが必要となった時にも、自分たちの希望する工事が出来る可能性が高くなりますので、頭に入れておくと良いかなと思います。内見時に営業マンだけでなくリフォーム会社にも立ち会いをしてもらいリフォームにかかる費用感をあらかじめ知っておくことことも大切ですね。
④耐震面への不安を感じた
失敗例の4つ目は、「耐震面への不安を感じた」というものです。建物の建築方法は1981年を境に大きく変わっており、1982年以降の建物を「新耐震基準」、1981年以前の建物を「旧耐震基準」と呼びます。2024年時点で見れば築42年くらい以上の建物は、旧耐震基準です。1981年に建築基準法の内容が改正され、新耐震基準で建てられた建物は、旧耐震基準よりも鉄筋コンクリート造の耐震性が強化された造りになっており、震度6~7程度の大規模地震でも倒壊、崩壊しないことが基準となっています。しかし、この後に発生した、阪神淡路大震災と東日本大震災の被害の状況を見てみると、旧耐震でも新耐震でも軽微な損傷の割合が多く、旧耐震においても大破した例は10%未満であったと言われており、旧耐震のマンションがが必ず倒壊したわけではありませんでした。
また、年明けに発生した、能登半島地震でも、倒壊した建物のうち、新耐震基準と旧耐震基準の割合はほとんど同じだったとのことです。このことから、建物の構造だけでなく、その土地の地盤や地質の良し悪しも被害の度合いに影響してくるのかもしれません。そのため、耐震面だけでみれば、旧耐震が絶対にダメとは言えないのかなと思います。しかし、「そうは言ってもやはり災害が発生した時に心配…」と心理的に不安を感じてしまうという方もいらっしゃいます。このような不安を抱えたまま生活するのは、精神的に良くないですので、不安感を拭えないという方は、旧耐震基準の物件はやめた方が良いかなと思います。
⑤実際に住むと細かい生活上の不便を感じた
失敗例の5つ目は、「実際に住むと細かい生活上の不便を感じた」というものです。築年数が経過したマンションは、やはり新しいマンションと比較すると設備や構造が劣り、実際に生活し始めると、不便を感じてしまうということがあります。たとえば、壁や床の厚みが薄く隣戸からの音が気になる、窓ガラスが一枚ガラスで寒い、結露しやすい、配管に虫止め網がなく室内に虫が入ってくるなどです。他にも、設備が古くなってきており、性能が低下し使い勝手も悪かったということもあります。そのため、内覧時には、遮音性や設備の状態などの細かい部分や配管の管理体制に問題がないかなどをしっかり確認するようにして、快適に過ごせるようにしましょう。
失敗しないために注意すべきポイント
ここまで、築30年以上のマンションの成功例と失敗例を紹介してきました。誰しも失敗はしたくないものですよね。そこで、ここからは、購入を失敗しないために注意すべきポイントについて解説していきます。そのポイントというのは、「マンションの管理状態」です。マンションの管理状態というのは、長期修繕計画書や議事録、現地を確認することで判断ができます。長期修繕計画書は、30年程度の修繕計画や収支をまとめたものであり、これを確認すれば、定期的に適切な修繕が行われいるか、必要な資金が計画的に積立出来ているかが分かります。
また、マンションの管理組合では、年1回以上、定期的に総会が行われており、そこで話し合われた管理状況やその他の議題に関する内容に関しては、議事録に記載がされています。この内容を確認することで、マンション管理を良くしていくため議論がされているか、住民の管理に対する意識がどれくらいなのかを確認することができます。他にも、内覧時に共用部分の状態や経年劣化の状況などを確認することで、管理組合がしっかり機能していて、住民が快適に過ごせる住環境なのかどうかを判断することができるんですね。これらの内容を確認して、管理体制が整っており、大規模修繕工事が定期的に行われていたり、修繕積立金も計画通り貯蓄されていたりするマンションであれば、築30年以上でも安心して暮らすことが可能ですので、検討する際には必ず確認するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、「【中古マンション】築30年以上のマンション購入の成功&失敗5選」というテーマで解説してきました。築30年以上のマンションというのは、直近の不動産価格の状況から購入を検討する人が増えてきています。しかし、今回解説したように築古マンションを選ぶことで成功する点もあれば、選ぶ物件によっては失敗してしまうケースも多いため、購入するときには注意しなければなりません。特にマンションの管理状態や修繕積立金の状況には気を付けましょう。管理状態と修繕積立金の状況が悪いと、大規模修繕工事がおこなえずマンションの寿命が短くなり、資産価値が低くなってしまうということにもなりかねません。そのため、今回の動画の後半で解説した注意すべきポイントをしっかり押さえることで、後悔しないマイホーム購入を実現していただければと思います。
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