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2023.05.192023.05.19

【中古マンション】築年数別の特徴を知らないと危険です!

はじめに

中古マンションの築年数を考えるのであれば、マンションがどのような時代に建てられて、どのような時代背景があったのかを掴んでおくこと。これが結構重要なんですね。建てられた時代背景を理解しておくことで、中古マンションの選び方にも幅が増え、失敗を避けたり、資産価値の高いマンション購入、お宝物件の購入にも繋がってきます。そこで、今回は、「【中古マンション】築年数別の特徴」について解説していきます。

本編

【中古マンション】築年数別の特徴を知らないと危険です!

突然ですが、中古マンションの購入を検討している方であれば、「築年数」に焦点を当てて探しているという方も多いのではないでしょうか?確かに、築年数というのは、客観的に見てもわかりやすい指標であるので、「築何年以内」とか、「築年数」に焦点をあてながら探していくことも大切だと思います。築年数が経過している中古マンション販売状況は、年々増加傾向にあり、これからも古い物件の販売が増えていくことが予想できます。実際に、ある機関の「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況」(図1)によると、築30年以上の中古マンションの取引件数が最も高い数値になっています。しかし、一概に築年数だけを基準にマンション探しをするのはおすすめできません。新しければ新しいほどいい、という訳ではなさそうなんですね。築年数を考えるのであれば、マンションがどのような時代に建てられて、どのような時代背景があったのかを掴んでおくことが結構重要になります。

 

中古マンションの築年数について、もっと詳しく知りたい人は、こちらの記事も参考にしてください。
◆【中古マンション】寿命・築年数の限界
◆【中古マンション】おすすめの築年数

【中古マンション】築年数別の特徴を知らないと危険です!

図1

築年数60~50年代(1960年~1970年代)

それでは、古い年代から順に解説していきましょう。築60年〜50年代の中古マンションは、マンションが建てられ始めてすぐの時代であり、日本もまだ戦後復興を続けている状況でした。状況としては1953年に戦前の経済水準を上回り、1956年には経済白書にて「もはや戦後ではない」と宣言され、高度経済成長の段階へとどんどん移って行くわけですよね。そこで、現在も有名な「多摩ニュータウン」のような郊外の大型住宅地の開発もどんどん進んでいくんですね。いわゆる団地のようなタイプですね。とにかく住宅が足りないので、「質」よりも「量」を重視しよう。増やしていこう。とにかく多く建てて行こうという趣旨の開発が進められていきました。

この1960〜1970年代の中古マンションの特徴として、大量に生産されていたことから、マンションの構造の要である「コンクリート」の質があまり良くなかった。なんて言われております。また、天井が低い物件が多かったり、エレベーターがついてなかったりという特徴もあります。まさに団地ですね。基本的には、この時代に建設されたマンションは、「旧耐震基準」となっているので、現在のマンションよりも耐震性が落ちているので、これからこの年代の物件を長い期間住み続ける為にマイホームを探しているんだよ。なんていう方にはおすすめはできないかもしれません。

築年数35~40年代(1981年~1987年代)

1981〜1987年代には、日本も経済成長の真っ最中でした。マンションもこのあたりから少しづつ、「とりあえず量を追及してたけど、そろそろ質にもこだわった方がいいんじゃないか?」みたいな形で建物のクオリティを重視するような時代に移り変わっていくんですね。そのため、この時代に建てられた建物は耐震性も高く、まだまだ住める現役のマンションが多いです。狙い目と言えるかもしれないですね。

この時代の住宅業界の最大のトピックスとしてあげられるのが「新耐震基準」が出て来たことです。1978年に発生してしまった「宮城県沖地震」の影響により、1981年6月に耐震基準が大幅に改正されました。これまでの「旧耐震基準」では「震度5程度の地震で倒壊しないこと」が基準とされていました。しかし、この改正によって「新耐震基準」では「震度6〜7程度の地震で倒壊しないこと」と規定されています。不動産業界でもこの改正は大きく受け止められて、改正前の建物を「旧耐震」、改正後の建物を「新耐震」などと呼んだりしています。耐震性のみでなく、給排水管設備などの機能も向上していますので、中古マンションの購入を検討するのであれば、この時代以降の新耐震の物件から探すのがおすすめかなと思います。

築年数30~34年代(1988年~1993年代)

1986年ごろから日本では「バブル景気」と呼ばれるような、好景気になりました。この時代の日本では、株価だけでなく土地の価格もどんどん大幅に上昇し、土地が少ない日本では、土地の価格は上昇し続けるものだ。みたいな今から考えると信じられないような土地神話のようなものもまかり通っていた時代になります。マンションについても価格がかなり高騰しておりました。また、先ほども解説した通り、建物は新耐震基準による設計がされているため、地震などの災害に対して強い、長く住めるマンションとなっています。

また、1988〜1993年代の中古マンションになると、マンションの大規模修繕工事が1〜2回ほど完了していることが多いとも思います。実際に、国土交通省のマンション長期修繕計画書作成ガイドラインにおいては、1回目の修繕工事は築12〜15年目程度、2回目の修繕工事は築24〜30年目程度で実施するように定められています。大規模修繕工事が実施されている中古マンションは、適正にマンション管理が行われているということがわかるため、資産価値が高いマンションであることがうかがえます。また、1988〜1993年代はちょうど日本のバブル崩壊の時期と重なってくるため、土地・建物が安く購入できた時代背景からも、利便性が高いにもかかわらず、居住空間が広い中古マンションが多く供給された時期ですので、他の時代に比べて広い中古マンションが多いのもこの時代の特徴です。この時期に建てられたマンションには、今では当たり前のオートロック・宅配ボックスも設置されている物件も多いので、共働きの夫婦や、防犯性の高いマンションが欲しいという方にもおすすめできます。

築年数25~29年代(1994年~1999年代)

1994年〜1999年代に入ると、日本の「バブル景気」は崩壊し、好景気から不況の流れになってきます。そういう時代背景もあり、この時代では、女性の社会進出も注目されるような時代になっています。共働き世帯が増え始め、住宅に求められることは、高級思考ではなく、利便性を追求したマンションが人気になってきます。共働きですから、駅からの距離利・生活のしやすさ・セキュリティの高さが重要になっていきました。たとえば、今ではあたりまえに感じるような、「床暖房」「浴室乾燥機」「食洗機」が主流になっていったのも、この時代のマンションからでしょう。高級思考から利便性とか快適性を追求したマンションでは、住環境の向上から、エアコンではなく、床暖房がリビングの暖房器具として主流になっていきました。また、女性の社会進出から、「共働き夫婦」の増加によって、「浴室乾燥機」や「食洗機」の需要も高くなり、この時代の中古マンションにはよく設置されています。そのため、「夫婦共働き」で生活している方にとっては、1994年〜1999年ごろの中古マンションは設備的にも価格的にも狙い目のマンションと考えてもいいかもしれませんね。

築年数20~24年代(2000年~2004年代)

2000年〜2004年代に入ると、インターネットの普及が加速していき、「携帯電話」での通信も向上していきました。携帯電話を利用して、ニュースなどの情報を得られるような時代となり、「防犯面」の意識が高まった時代になります。そのため、マンションには住宅設備の向上と「セキュリティの強化」が求められる時代になりました。また、2000年4月1日に施工された「品確法」によって、1990年まで手抜き工事・欠陥住宅などを未然に防ぐために施工され、住宅についての知識がない方々を守ることで、より公正に取引ができ、品質の高い住宅を供給することに繋がりました。「品確法」は「瑕疵担保責任の特例」「住宅性能の表示」「紛争処理体制の整備」から成り立っており、中古マンション購入検討者であれば、「住宅性能の表示」によって、あいまいな品質表示から、わかりやすく、どのような品質を持った住宅なのかを見極めることができるようになっています。そのおかげで、この時代に建てられた中古マンションは初心者の方でも、マンションがどの程度の性能を持っているのかを確かめることが可能になっているんですね。

さらに、多くのマンションでは、オートロックはすでに主流となっていましたが、この時代に入ると、さらに「セキュリティの強化」が求められるようになり、エントランスのオートロックを潜り抜けても、さらにエレベーター・階段などにもオートロックがある「ダブルオートロック」のシステムが追加されてきました。もちろん、マンション共用部には防犯カメラも設置されている事が多くなってきたため、「子育て世代」の方でもより安心して暮らせる住環境となったのではないでしょうか。また、このあたりの時代から高齢化問題が顕在化してきましたので、マンションも入居者の年齢も考慮するようになり「バリアフリー」などの意識も高まってきてきました。具体的には、「エントランスのスロープ」「階段の手すり」、「住居内の段差の解消」などがあげられるかなと思います。

築年数15~19年代(2004年~2009年代)

2004年〜2009年には、アメリカのリーマンショックをきっかけに、世界的な不況に突入した時代になりました。日本においても、株価の下落・土地・建物の下落がおきました。また、土地価格が高い時代にマンションを購入した方が、不況によって収入が上がらないことによって、ローン返済が滞り、マンションを手放す人や、そもそもマンションを購入できないこともあり、なかなかマンションが売れにくい時代であったと言えると思います。しかしながら、先ほど解説した「品確法」の施行によって、建物自体のグレードは上がっているので、今から見ると品質のいいマンションが多いのが特徴です。また、このころにはペットブームも起こっているため、ペットの飼育を条件付きで可能にしているマンションが多いのも特徴です。ペットと暮らすライフスタイルを実現したい方には、古いマンションほどペット不可が多いので、この2004年〜2009年代以降のマンションは狙い目です。

築年数14年未満(2010年~)

2010年以降になると、マンションも分譲し尽くした感が出て来ましたので、そもそも大規模に開発できるような土地が少なくなってきます。また、東日本大震災を経験した日本は、さらに「耐震性」には注目が集まってきていた時代になります。この時代のマンションには、現在でも利用されているような「免震構造」「制振構造」などの耐震性の高いタワーマンションが建てられていることが多いです。こういった、最新の住宅技術を活用しているため、マンションの価格も高くなりがちですが、この時代には「円高」の影響もあり、住宅用の材料を輸入するのには、適した時代でした。そのため、材料費が安くなっているため、値段の割に性能が高いマンションとなっていることが多いです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。「【中古マンション】築年数別の特徴を知らないと危険です!」というテーマで解説してきました。中古マンションのなかでも、築30年代のマンションであれば、購入を検討するには十分の資産価値があり、駅近にもかかわらず、リーズナブルで購入することも可能なマンションがあります。また、気になる耐震基準についても、築30年程度であれば、「新耐震基準」をクリアしている物件も多いため、安心してマンションに住むことができます。しかし、中古マンションは「管理を買え」と言われるため、管理状態を調べて購入しなければなりません。実際に購入を検討するのであれば、信頼できる不動産会社の方と一緒に「長期修繕計画書」「修繕積立金」について調査する必要があります。初心者の方であれば、中古マンション選びの基準がなかなか掴めないという方も多いはずですので、信頼できる不動産会社に相談してみて下さい。

 

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Point. 1

記事監修者

朝倉 大樹(宅地建物取引士)
株式会社ウィローズ 代表取締役

2000年不動産ベンチャー企業入社、28歳で最年少営業部長、29歳で最年少役員に抜擢。上場準備にも携わるが、リーマンショックによる倒産危機を経験するなど激動の20代を送る。
2012年株式会社ウィローズを創業。「お客様の利益を第一に」を理念に、売上高30億円を超えるグループ企業に成長。
不動産業界とお客様との情報の非対称性を解消するべくYouTube「不動産ポリス」を配信中。

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